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ネット販売健全化目指し連携せよ

2016年 4月25日 10:09

有名通販サイトに見せかけるなどして消費者から注文を受け、実際には商品を発送せずに、クレジットカード情報や代金をだまし取る「偽サイト」や、空き家を受け取り先にしての不正注文などが社会問題となっている。ネット販売の健全化を進めるためには、公的機関や他業界との連携が必要だ。

 楽天ではこのほど、仮想モール「楽天市場」で取り組む安心・安全対策を公表した。偽サイト対策は、ユーザーが検索しそうなワードを入力し、人力で該当するかどうかを確認。こうしたサイトのアドレスを検索サイトに申告し、検索サイトから排除するほか、セキュリティベンダーに情報を提供する。ベンダーが対策すれば、ユーザーが仮に当該サイトのリンクをクリックしてもブロックされる。こうした対策が奏功し、今年に入ってからは偽サイトが検索結果に現れなくなってきたという。

 不正なカード情報によるなりすまし購入については、受け取らせないような工夫を行っている。送付先住所を名寄せし、不特定多数のユーザーが注文した商品が1カ所に集まるようなら不正な取り引きと判断、出荷を止めるよう店舗に通告している。近年は空き家での受け取りが目立っていることから、大手不動産情報サービス「ホームズ」から空き家情報が受け取れるよう連携を進めている。この事例が示すように、一企業だけで犯罪者からの攻撃を防ぐのは難しくなっているのが実情だ。関連業界と情報交換し、対策を進めていく必要があろう。

 また、犯罪者の動きも把握する必要がある。楽天によれば、以前はブランド品やデジタルカメラ、ゲーム機といった高額商品が不正注文されるケースが多かったものの、最近目立つのは化粧品や健康食品、青汁、粉ミルク、目薬といった比較的単価の低い商品。これは、国内で換金すると足がつきやすいため、海外で転売すれば数倍になる人気商品を狙っているためだ。ネット販売企業は安全対策に目を配り、必要とあれば公的機関や他業界との連携を進めることで、反社会的勢力がつけ入る隙をなくさなければならない。

 そのため、関連する商品を扱っている通販サイトでも、十分な対策を進める必要がある。楽天が行っている商品配送の防止以外にも、3Dセキュアのような本人認証サービスの導入、さらには過去の取引情報などに基づいた属性・行動分析による不正取引の判定など、重層的な対策を導入しなければならない。

 ネット販売を利用するユーザーが正しい知識を身に付けることも重要だ。最近は、セキュリティーコードや3Dセキュアのパスワードを入力させ、盗み取る偽サイトも増えており非常に危険だ。こうした危険性を周知するとともに、個人情報を通販サイトに入力する場合は、URLや記載内容を慎重に確認する、といったことを習慣づける必要がある。また、ID・パスワードをサイトごとに使い分けることも重要だ。

 ただ、こうした啓蒙活動はネット販売企業だけでできるものではない。ユーザーのリテラシーを高めるためにはどうするべきか、社会全体で議論していく必要がある。

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