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ロート製薬がステマ規制で措置命令、企業サイト「転載」で3例目

2025年 3月27日 12:00

 消費者庁は3月25日、景品表示法のステルスマーケティング規制で、ロート製薬に措置命令を下した。企業サイトの「転載」を問題にした処分は、3例目。消費者庁は調査の端緒を明らかにしていないが、「♯PR」等のない企業サイトへの投稿転載からステマを見極めている可能性がある。同社が加盟する日本通信販売協会は、「内容精査の上でしかるべく対応していく」としている。



 
 ステマ規制は、「事業者の表示」であることを認定した上で、「広告を隠す行為」を取り締まる。ロート製薬は、モニター募集サイトで商品の無償提供を条件に、インスタグラムへの投稿を依頼していた。

 無償提供や投稿自体は、「第三者の自主的な意思」であれば問題にならない。ただ、モニター募集サイトで、ロート製薬が指示する方針に沿って投稿を依頼したことが確認されたため、「事業者の表示」と認定された。

 ロート製薬は、①「♯PR、♯企業名、♯ブランド名」等の表示を行うこと、②粒をつまむなど粒度が分かる画像、③感想に合わせた投稿--などを依頼していた。画像例や文章例も示していた。

 SNS投稿で「♯PR」等の表示があることは、「すべて確認済」(同社)としている。一方で、自社サイトへの「転載」では、「♯PR」等の表示を行わず、代わりに「元投稿へのリンク」で内容が確認できるようにしていた。広告が行われた昨年6月から7月末の約2カ月で約26万個を販売。9億6000万円を売り上げていた。

 消費者庁は、昨年10月のステマ規制導入以降、ロート製薬を含め5件の行政処分を行っている。ただ、数多あるSNS投稿からステマの可能性を見極めるのは難しい。3件は、SNS投稿の企業サイトへの転載、「♯PR」表記がない点を問題視しており、これを端緒に、事案を精査しているとみられる。モニター募集サイトで企業の依頼内容を確認した例が明らかになったのは、初めて。

 処分を受け、ロート製薬は、役員、従業員への周知、関連法規の研修を行いコンプライアンス体制を強化する。消費者には新聞社告で周知を図る。品質等の問題ではないため、「今のところ返金対応は予定していない」(同社)。
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