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満生容疑者、全役職を解任【山田養蜂場 事業への影響】 経営改革の行方、今後を左右

2023年 8月24日 12:00

 山田養蜂場専務取締役の山田満生容疑者の逮捕は、多くのメディアで報道され、SNSを中心に騒動が拡散する。事業への影響はどの程度か。

社員としても在籍しない

 同社は8月18日、山田英生社長名の文書を更新。次男である満生容疑者について、同社専務だけでなく、山田みつばち農園代表取締役社長をはじめ全役職の解任を決定したことを公表した。今後、満生容疑者は、社員としても在籍しないという。

 取引先業者からは、満生容疑者の印象について「人懐こく明るく社交的な印象」との声が聞かれる。

 長男の一紀氏は、山田養蜂場、コールセンター業務を行うヤマダビーコミュニケーションズの取締役を兼務する。ただ、別の取引先業者からは、「あまり見かけることは少なかった。グループ中核企業の専務取締役であり、満生氏に後継者として期待していたのではないか」との声もある。選任の理由や後継者としての期待について、同社は「期待されていたかどうかは分かりかねる」(広報室)とするが、いずれにしても失望感は計り知れない。

盤石な顧客基盤が下支え

 事業への影響について、業界関係者からは「景品表示法処分よりイメージが悪い」との声が聞かれる。容疑は、盗撮や児童ポルノ製造など東京都迷惑防止条例違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(本紙1906号既報)。「昼の情報番組でも大々的に取り上げられていた。主婦層への影響も大きい」(別の業界関係者)とみる。SNSでは、パワハラ問題が拡散したビッグモーターの二代目副社長の騒動と重ねられ、企業イメージに深刻な影響を与える。

 一方、「減収は2割程度にとどまるのでは」とみる関係者もいる。

 2010年、製品による小麦アレルギー発症から全国的な集団訴訟に発展した悠香(福岡県大野城市)は、300億円をピークに売り上げが急減した。

 ただ、民間信用調査機関の調べによると、直近売上高(22年12月期)は、前年比1・2%増の96億8000万円。ここ数年、90億円台で安定推移する。前出関係者は、「企業、製品のファンと強固な関係性を築く通販の底堅さがある」と話す。山田養蜂場もシニア層への顧客対応に強みを持つ。新規獲得、積極的な広告展開は当面難しくなるだろうが、盤石な顧客基盤が下支えするだろう。

「バチカン市国のようなもの」

 それだけに、経営体制の思い切った改革には踏み出しにくいかもしれない。

 同社は、岡山県北部の山間、苫田郡鏡野町に本社を構え、地域社会に多大な貢献を行う。「その土地では同社なしでは成り立たないほど地域を支える企業として知られている。バチカン市国のようなもの」(前出の取引先従業員)。前段で触れたように盤石な顧客基盤を背景に、騒動が鎮まるのを待つ選択肢もある。

 ただ、将来にわたる事業の持続的な運営においては、今回の事件が尾を引く可能性はある。個人の問題とはいえ、経営の舵取りを行う創業者一族で起きた問題であり、思い切った改革を行い外部に示せるかが今後を左右することになりそうだ。
 
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