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ギフティ ファンが贈る電子ギフト、SNSからできる匿名の〝応援〟

2025年 3月27日 12:00

 物価高の影響などを受けて消費者の財布の紐が堅くなる中、比較的、ポジティブな消費意欲が見られるのが〝推し活〟市場だ。年齢、性別を問わず、幅広いジャンルで起きている近年の新しい消費行動の形でもあり、通販業界においてもその関連需要を取り込む動きが盛んになっている。

 電子ギフトサービスなどを手掛けるギフティでは、昨年11月より推し活需要に対応した電子ギフトの発売を開始している。元々、互いの本名や住所といった個人情報を公開せずとも贈ることができる電子ギフトであるため、ファンと推しをつなぐプラットフォームとして利用される機会が多かったという。

 「直接会わなくてもSNS上のDMなどから気軽に贈れるため、この界隈の人たちに刺さっている印象があった」(第一事業本部竹内綾子副本部長)と説明。同社では2023年ごろから推し活需要を開拓するプロモーションを本格的に開始。その利用傾向としては、ユーチューバーやⅤチューバー、イラストレーター、同人作家といったウェブ上で活躍するクリエイターのほか、比較的小規模なコミュニティで活躍しているアイドルなどに対して、コアなファンが応援する形でギフトを贈るケースが見られているという。

 年々利用者数が拡大する状況を踏まえ、昨年には〝いい推し〟の日でもある11月4日に向け、「giftee Box for 推し活」を専用ギフトとして発売。同ボックスは、一つのギフトテーマに沿って商品ラインアップを揃えているもので、推し活に関しては、「推しに気兼ねなく贈れる」、「ファンからもらって嬉しい」をテーマに、飲食店・コンビニで利用できるチケットやスイーツの電子ギフト、体験チケットなど最大で約450種類のギフトをラインアップ。また、推し活をさらに楽しむアイテムとして、推しを〝祀る〟神棚や応援うちわ用のケースなども取り揃えている。

 ギフトに添えるカードには「尊い」や「沼りました」、「幸せをありがとう」といった推し活にまつわるキーワードもデザインにしてメッセージを演出。発売に合わせて期間限定で、同社が選んだ注目のクリエイター50人を紹介するランディングページも公開し、推し活ギフトの利用を促すプロモーションとして行った。

 また、同社の電子ギフトの場合、受取り手が自身のプロフィールを登録することができ、あらかじめ「ほしいものリスト」を設定して贈り手などに対して公開することができる。受取個数の上限も設定できるため、贈り手側は相手の望むアイテムや量を事前に知って適切に対応できるため、ギフトのミスマッチが生じにくいことも特徴だ。

 さらに、顔の見えない相手から高額なギフトを受け取りにくいという声もある中、同ギフトは数百円単位の少額からあるため、心理的な抵抗感を覚えずに、気軽に受け取ることができるとしている。

 加えて、推し側がファンに対してお礼ギフトを贈るケースもあることから、直近では一度にまとめて決済手続きができる仕組みも導入。複数のファンに対して簡単に返礼ギフトが贈れる仕組みとして利用が拡大している。

ファン同士でギフト交換も

 なお、推し活消費の範囲として、単に自分の推しに対してだけ贈るのではなく、ファン同士が互いに贈り合う需要も見られている。一つの推しを起点にファン達が繋がり、そこで新しいギフト需要が生まれるというケースをヒントに、同社では今後、ペット業界などコミュニティが形成されやすい界隈をターゲットとした推し活ギフトの提案も強化していく。「ペットへのお悔やみギフトの利用シーンも少しずつ見られるようになった。誕生日なども含め、直接会えずに気持ちを伝えるギフトは増えている印象」(竹内副本部長)とする。

 その上で、「Vチューバーを見ていると卒業されたり、その一方で新しい人も次々と生まれている背景がある。一定の規模感を保ちながらジャンルが横に広がる可能性はある」(同)とし、推し活自体が、新陳代謝の盛んな市場であることから、今後も誰もが参加する可能性のある開かれた消費の形になると見ており、更なる拡大が続くと予想している。
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