貿易商社の井上通商が「楽天市場」で運営するネットショップ「HAPTIC(ハプティック)」では、楽天グループのショッピングSNS「ROOM」のインフルエンサーとコラボレーションした「お掃除スリッパ」の販売が好調に推移している。インフルエンサーが既存の商品に抱いている不満を解決するための手立てを製品に取り入れたことなどが奏功し、新たな顧客層の開拓につながっているようだ。
楽天が運営するROOMは、ユーザーが楽天市場で購入した商品やお気に入りの商品に関して、写真やコメントをつけて投稿できるSNS。投稿を閲覧したユーザーが楽天市場に飛び、商品を購入すると、購入金額の2~4%が「楽天ポイント」として還元される仕組み。
ハプティックが開発したのは、「arbol 本革 お掃除スリッパ」(価格は税込1980円)。ROOMで多数のフォロワーを抱える、「オギャ子さん」と「ドキ子さん(yukiさん)」、通称「オギャドキさん」とのコラボ商品だ。「お掃除スリッパ」とは、靴底がマイクロファイバーのモップになっており、歩くだけで部屋が掃除できるという商品。「お掃除スリッパにはおしゃれなものが少ないので、気に入ったデザインのスリッパを作ってみたい」という2人の思いから生まれた商品だ。
同店では昨年3月、担当のECコンサルタントから「お掃除スリッパを作らないか」という話があり、コラボを決めたという。同店の嘉村愛氏は「自社開発のアパレルをメインに扱っているので、スリッパは全く作ったことがなく、畑違いであることから、試行錯誤を重ねた。『お掃除機能がある、おしゃれなスリッパ』というお題だったので、2人がどんな商品を作りたいか、ということを細かく聞いて、商品として形にしていった」と振り返る。
当初は対面で商品開発の打ち合わせを行っていたが、コロナ禍を受けてオンラインでのやり取り中心に移行した。まず、商品のイメージ図を見せ、インフルエンサーとのすり合わせを行ってからサンプルを作成。オンラインで何度もサンプルを見せ、改良を重ねることで製品化に至った。デザインだけではなく、カラーにもこだわった商品という。
「インフルエンサーが抱く理想の商品のイメージが、きちんとこちらに伝わっているか、それをすり合わせるのが大変だった。また、好きなように作っていくと、どんどん値段が上がるので、兼ね合いにも苦労した」(嘉村氏)。
こうして完成した、お掃除スリッパを発売したのは昨年9月5日。知名度の高いインフルエンサーとのコラボであることから、2万5000足を用意した。インフルエンサーによるブログでの宣伝も奏功し、2日で1万2000足を販売。楽天総合ランキング1位に入るという上々の立ち上がりだった。
10月までには2万足を販売。ところが、使っていくうちにポリウレタン(PU)レザーの表面部分に亀裂が生じる恐れがあることが、ユーザーレビューから発覚した。不良品ではないものの、強度に問題があり、洗濯することで劣化が早まるケースがあったという。一部のユーザーからは厳しいレビューもあったことから、店舗と楽天、インフルエンサーの3者で協議し、改良を図った上で第2弾商品の開発を決定。また、一部ユーザーには、返金や交換対応を早急に実施し、店舗で使える半額クーポンを提供するなどの対応も行った。
嘉村氏は「どうすれば強度に問題が起きないスリッパが作れるのか、かなり悩んだが、アッパー部分の素材をPUレザーから天然皮革に変えた。インフルエンサーからは『おじさんが使うようなイメージの商品になるのでは』という懸念もあったのだが、サンプル品を見せたら『とてもいい』との反応だった」と話す。
第1弾と同様に2万5000足を発注。2月の発売以降「前回ほどのスピード感はないが売れている」(嘉村氏)とのことで、5月末時点で1万4000足を販売した。価格は据え置きで素材を天然皮革にしたほか、型崩れを防ぐために、配送時にはクリアボックスに入れた。第1弾と比べると利益率は落ちたものの、品質向上に全力を注いだ。
靴底のマイクロファイバー部分や中敷きは取り替えが可能となっており、これら消耗品の販売で利益の回収を図る。コラボスリッパは今後も継続して販売する見通しで、6月には麻を使った夏用のお掃除スリッパの発売も予定している。
2人のインフルエンサーとは、他の商品でもコラボを実施。4月に発売した、デザイン性と紫外線遮へいや撥水性などの機能性も備えたUVパーカーは、用意した7000枚を初日に売り切ったという。嘉村氏はインフルエンサーとのコラボについて「コロナ禍ということもあり、ファッションの新商品を発売しても、発売日に大きく動くことは考えにくい。それが1日7000枚も売れるのだから、影響力はすごい」と驚く。
コラボ商品の購入者は、インフルエンサーのファンが大半とみられる。新規顧客が多く、楽天で初めて買い物をするユーザーもいたようだ。コラボ商品の購入にとどまらず、店舗のリピーターとなるユーザーも出てきている。嘉村氏は「コラボ商品に関しては、いろいろなインフルエンサーと話し合いながら作っていきたい。経験が他の商品にも活きてくる部分がある。インフルエンサーは商品への思いがすごく強いので、細かいところへのこだわりが非常に参考になるし、梱包なども今まで以上に気を使うようになった」と話す。
楽天が運営するROOMは、ユーザーが楽天市場で購入した商品やお気に入りの商品に関して、写真やコメントをつけて投稿できるSNS。投稿を閲覧したユーザーが楽天市場に飛び、商品を購入すると、購入金額の2~4%が「楽天ポイント」として還元される仕組み。
ハプティックが開発したのは、「arbol 本革 お掃除スリッパ」(価格は税込1980円)。ROOMで多数のフォロワーを抱える、「オギャ子さん」と「ドキ子さん(yukiさん)」、通称「オギャドキさん」とのコラボ商品だ。「お掃除スリッパ」とは、靴底がマイクロファイバーのモップになっており、歩くだけで部屋が掃除できるという商品。「お掃除スリッパにはおしゃれなものが少ないので、気に入ったデザインのスリッパを作ってみたい」という2人の思いから生まれた商品だ。
同店では昨年3月、担当のECコンサルタントから「お掃除スリッパを作らないか」という話があり、コラボを決めたという。同店の嘉村愛氏は「自社開発のアパレルをメインに扱っているので、スリッパは全く作ったことがなく、畑違いであることから、試行錯誤を重ねた。『お掃除機能がある、おしゃれなスリッパ』というお題だったので、2人がどんな商品を作りたいか、ということを細かく聞いて、商品として形にしていった」と振り返る。
当初は対面で商品開発の打ち合わせを行っていたが、コロナ禍を受けてオンラインでのやり取り中心に移行した。まず、商品のイメージ図を見せ、インフルエンサーとのすり合わせを行ってからサンプルを作成。オンラインで何度もサンプルを見せ、改良を重ねることで製品化に至った。デザインだけではなく、カラーにもこだわった商品という。
「インフルエンサーが抱く理想の商品のイメージが、きちんとこちらに伝わっているか、それをすり合わせるのが大変だった。また、好きなように作っていくと、どんどん値段が上がるので、兼ね合いにも苦労した」(嘉村氏)。
こうして完成した、お掃除スリッパを発売したのは昨年9月5日。知名度の高いインフルエンサーとのコラボであることから、2万5000足を用意した。インフルエンサーによるブログでの宣伝も奏功し、2日で1万2000足を販売。楽天総合ランキング1位に入るという上々の立ち上がりだった。
10月までには2万足を販売。ところが、使っていくうちにポリウレタン(PU)レザーの表面部分に亀裂が生じる恐れがあることが、ユーザーレビューから発覚した。不良品ではないものの、強度に問題があり、洗濯することで劣化が早まるケースがあったという。一部のユーザーからは厳しいレビューもあったことから、店舗と楽天、インフルエンサーの3者で協議し、改良を図った上で第2弾商品の開発を決定。また、一部ユーザーには、返金や交換対応を早急に実施し、店舗で使える半額クーポンを提供するなどの対応も行った。
嘉村氏は「どうすれば強度に問題が起きないスリッパが作れるのか、かなり悩んだが、アッパー部分の素材をPUレザーから天然皮革に変えた。インフルエンサーからは『おじさんが使うようなイメージの商品になるのでは』という懸念もあったのだが、サンプル品を見せたら『とてもいい』との反応だった」と話す。
第1弾と同様に2万5000足を発注。2月の発売以降「前回ほどのスピード感はないが売れている」(嘉村氏)とのことで、5月末時点で1万4000足を販売した。価格は据え置きで素材を天然皮革にしたほか、型崩れを防ぐために、配送時にはクリアボックスに入れた。第1弾と比べると利益率は落ちたものの、品質向上に全力を注いだ。
靴底のマイクロファイバー部分や中敷きは取り替えが可能となっており、これら消耗品の販売で利益の回収を図る。コラボスリッパは今後も継続して販売する見通しで、6月には麻を使った夏用のお掃除スリッパの発売も予定している。
2人のインフルエンサーとは、他の商品でもコラボを実施。4月に発売した、デザイン性と紫外線遮へいや撥水性などの機能性も備えたUVパーカーは、用意した7000枚を初日に売り切ったという。嘉村氏はインフルエンサーとのコラボについて「コロナ禍ということもあり、ファッションの新商品を発売しても、発売日に大きく動くことは考えにくい。それが1日7000枚も売れるのだから、影響力はすごい」と驚く。
コラボ商品の購入者は、インフルエンサーのファンが大半とみられる。新規顧客が多く、楽天で初めて買い物をするユーザーもいたようだ。コラボ商品の購入にとどまらず、店舗のリピーターとなるユーザーも出てきている。嘉村氏は「コラボ商品に関しては、いろいろなインフルエンサーと話し合いながら作っていきたい。経験が他の商品にも活きてくる部分がある。インフルエンサーは商品への思いがすごく強いので、細かいところへのこだわりが非常に参考になるし、梱包なども今まで以上に気を使うようになった」と話す。