米菓などの製造販売などを手がける三州製菓が販売する、インドネシア発のポテトチップスが若い女性を中心に注目されている。男性アイドルグループをイメージキャラクターに起用。東京・竹下通りに横断幕とバナーを掲示、アイドルが出演するライブ会場で商品を販売するなど、ユニークなプロモーションで反響を呼んだ。

　「TRICKS(トリックス)」は小麦粉とジャガイモを使用したノンフライチップス。インドネシアでは高級菓子として知られ、航空会社での機内提供も行われている。1箱12袋入りの個包装で、しょうゆベースの「オリジナル」、「キムチ」、「アジアンBBQ」の3種類を展開している。

　2023年11月、親会社のミクシオホールディングスがインドネシアの菓子メーカー・TAYS BAKERS商品の日本独占販売権を取得。24年1月からTAYS BAKERSの主力商品「トリックス」の販売を開始した。三州製菓の通販サイト「三州総本舗」を中心にEC、卸で販売している。

　プロモーションでは、かつて芸能事務所STARTO ENTERTAINMENTに所属していたアイドルグループ・7MEN侍(セブンメンサムライ)をイメージキャラクターに起用。インドネシアの有名俳優に似ているメンバーや、スケボーを得意とするメンバーがいたことが、インドネシア発でスケボーモチーフの同商品にマッチしていたことから起用を決めたという。

　同社は「イメージに即したアイドルの起用で必然性のあるプロモーションが行えた。商品が個包装で配りやすかった点も、ファン層のニーズに合致していた」とヒットの要因を分析する。

　斉之平一隆社長は、自ら7MEN侍のファンを公言し、〝トリックス愛〟溢れるポストをX(旧Twitter)上に投稿。同社とファンが一丸となり、くちコミ等を通じて商品を広めた。

　顧客からは「(ライブ)現場のたびに売ってくれて嬉しかった」「大好きなグループを通じてこんなに美味しいお菓子に出会えて幸せ」など感謝の言葉が寄せられた。

　従来は30代以降の顧客が中心だったが、「トリックス」の販売をきっかけに10代後半～20代にも支持が広がった。パスタスナックなど他商品の売り上げ拡大にも寄与し、24年度6月期の売上高は前年比約145%に伸長した。

　現状、菓子専門店に米菓を製造販売するtoB事業が売り上げの約9割を占めるが、今後はtoC事業を強化していくとする。

　3月には「トリックス」の新フレーバー「サワークリームオニオン味」の発売も予定。TAYS BAKERSとともに試作を重ねて共同開発した一品だ。