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イーザッカマニアのECとオフラインの現状は?㊤  ズーティーの今石社長と浅野取締役に聞く

2015年 9月 3日 14:35

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ファッション通販サイト「イーザッカマニアストアーズ」を運営するズーティーは「楽天市場」に出店して約13年経つが、衣料品カテゴリーでは常にランキングに登場するなど人気店として知られる。今年はスタイリングの相談に乗るラボを都内にオープンするなどオフラインの取り組みも活発だ。同社の今石雄介社長(=写真㊧)と浅野かおり取締役に、8月上旬に開催された「楽フェス」の成果や今後のネット販売事業の取り組みなどについて聞いた。

 ──スタイリングの相談に乗るラボ開設や、着こなしの指南本を出すなどオフラインの取り組みが目立つ。初開催の「楽フェス」にも参加した。

浅野 「楽天が新しいことに挑戦しようとしているときに、『楽天市場』で長く商売をさせてもらっている当社が『自分たちは知りませんよ』という顔はできない。楽フェス開催に当たって開かれたサミットに数社が呼ばれたが、当社もそのうちの1社だった。いざ話を聞いてみると、楽フェスに参加するにはたくさんの課題があった。とくに最初は、ファッションカテゴリーのブースはショールームの役割だけで物販はないということだった。楽フェスにスタッフを張り付けて売り上げが立たないのでは、EC事業者にとっては厳しいイベントになると感じた。責任感から参加を決めたが、物販も含めていろいろと意見を聞いてもらった

──イベントで利益を確保するは難しい。

今石 率直に言って採算の問題ではない。当社が参加を決めたのは、『イーザッカマニア』の名前を広めたかったからではない。リアルとネットの融合をテーマに楽天が初めて企画した大型イベントだが、グルメは『うまいもの大会』での経験からある程度の成果を見込んでいたと思うが、ファッションは未知数だったはず。当社が参加せず、意見も言わずにいて、『楽天市場は食品や消耗品を買うのは良いが、ファッションは違うな』とイベントに来た消費者に思われてはファッション領域で商売をする当社にとっては痛手だ。当社が犠牲になるくらいの覚悟で参加を決めた

浅野 楽天市場が悪く言われることは当社にとても面白いことではない。『うまいもの大会は良いけど楽フェスは...』となってしまったら自分たちの首を絞めかねない。当社の場合は神戸から毎日スタッフを送り出したし、商品の手配など後方支援も含めると楽フェスには約15人のチームで参加した。来場者がブースを見て『楽天市場ってファッションもいいよね』と言ってもらえるようにしたかった

──モール内の老舗として責任感もあった。

今石 楽天肝いりのイベントというのは理解していた。2回目、3回目と盛り上がっていくには最初が肝心。当社が他の衣料品店舗の手本になり、イベントを盛り上げるためにも、楽天にはたくさん意見を出した

──出店ブースではどんなことをしたのか。

浅野 売り方としては、詰め放題企画やタイムセール、フィッティングルームを予約できる大試着会、着こなしの相談に乗る『ズーティースタイリングラボ』の楽フェス版としてプチラボを設置したりもした。楽フェス開催期間中に通販サイトで使えるクーポンが当たるスクラッチカードを配布したりと、手作業で売り上げを作った感じだ

──大所帯での参加となった。

今石 「今回は楽フェスに参加したいスタッフに挙手してもらった。メルマガやシステム担当、ウェブデザイナー、実店舗の販売員、新入社員まで部署の垣根を越えて集まり、ブースのデザインから企画までメンバーが自主的に決めた。実際に消費者と向き合って、普段は見えにくい購入までの過程を体験すると物販の重みが分かる。そうした経験が少なからず通販サイトに反映されるはずだ。部署をまたいだチームのため、今後は会社全体の底上げにつながればいい。いまや楽天のスタッフも『楽天市場』が有名になってから入社した社員が多く、出店すれば売れる、イベントでブースを構えれば売れると思っているスタッフも少なくない。そういう立ち位置ではダメで、物販の難しさを楽フェスで実感できたのではないか

──第2回に向けての要望は。

浅野 楽フェスが『うまいもの大会』の延長ではなく、いかに"お買い物フェスティバル"にできるかが大事だ。今回はフラッと来ているお客さんも多かったと感じる。もっと朝から晩まで楽しめるイベントになっていけば、わざわざ東京まで駆けつける人も増えるのではないか
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