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〈フェリシモ「犬七番飯店の会」 ①〉 「かわいい姿」引き出す、犬が好む要素〝料理〟に反映

2025年 3月20日 12:00

 フェリシモが1月23日から販売している、犬用おもちゃがヒット商品となっている。中華料理を模した玩具で、小型犬の好きな触感、音、動きにこだわったもの。「犬が中華料理を食べているみたいでかわいい」とSNSなどで話題となり、約1カ月で1万4000個の予約を受注。当初見込んでいた販売数の3倍となるなど、大きな反響を呼んでいる。

 「わんこのための本格中華を好きなだけ、犬七番飯店の会」(月1個または1セット1100円)は、「パリパリ春巻き」「のび~るラーメン」「ひとくち小籠包」「大きな小えび天」「皮かためのシューマイ」「コロコロごま団子」「くせになる餃子」の全7種類。「転がす」「投げる」「引っ張り合う」「おやすを隠す」など、愛犬と飼い主が一緒に遊べるのが特徴。7つあるため、1週間毎日異なる玩具で遊べる。購入者には、7種類のおもちゃを載せて、中華料理風の円卓を楽しめる「包むと餃子になる犬七番飯店の円卓マット」をプレゼントするという特典もある。

 商品を企画したのは、同社ビジネスプラットフォーム本部IT推進部WEBビジネスGの浅野莉彩氏。開発の背景には、愛犬とのエピソードがあるという。「まだ小さくいたずらをするから、しつけが大変な時期で疲れてしまうこともある。そんなときに愛犬がおもちゃで遊んでいる姿を見たら、うれしそうな顔がかわいらしくて疲れも一遍に吹き飛んでしまう。私が一緒に遊ぶともっとうれしそうな顔をしてくれるので、『人間と犬との間でもコミュニケーションが大事なんだな』と気付いた」(浅野氏)。

 ただ、浅野氏が既製のおもちゃに抱いた不満は「機能性重視で、見た目がかわいくないこと」。そこで、「犬のしつけやいたずらに悩んでいる飼い主にも、私と同じことを感じてもらうべく、愛犬のかわいい姿を引き出せるようなおもちゃを作りたいと考えた」(同)。中華料理風にしたのは「中華は円卓を家族で囲んでワイワイ食べるイメージ。 楽しそうな雰囲気を出したくて」という理由だ。また「両手でおもちゃを抑えて噛んでいる」愛犬の姿を見て、「これを食べ物にしたら面白いかも」という発想もあった。

 春巻き風のおもちゃは、犬が両手で押さえて噛みやすい形とサイズ。皮の部分はパリパリとした音が鳴るのが特徴。また、小籠包風のおもちゃは、レンゲ柄の靴下と、音が鳴る小籠包のセット。靴下の甲部分に面ファスナーで小籠包を取り付けられる。飼い主が靴下を履いて足を動かしたり、小籠包を取り外して投げて遊んだりできるというユニークな商品だ。

 浅野氏は「それぞれのおもちゃに犬が好きそうな要素を入れることを意識した」と話す。音も単に出るだけではなく、春巻きはパリパリと鳴るし、ごま団子は中の鈴が鳴って犬の好奇心が刺激される仕組みに。 遊び方についても、飼い主との引っ張り合いや投げて遊べるようにした。また、ギョウザの間や皿のポケットにおやつを隠して、食べ物や匂いを探し当てて楽しめるおもちゃもあるなど、さまざまな工夫を施した。浅野氏の愛犬の場合、引っ張り合うおもちゃや投げるおもちゃなど、飼い主と一緒に遊ぶおもちゃが好きだったことから、既存のおもちゃを参考に、中華料理へと落とし込んだという。

 ただ、開発には苦労した面もある。「メーカーとやり取りをする際には、イメージしていた音や色を伝えるのが大変だった」(同)。例えば「えび天」の場合、当初はエビのフリー画像から色を転写してサンプルを作成したが、あまりにも「おいしくなさそう」なえび天ができあがったことから、赤の発色にはこだわった。

 浅野氏の愛犬の反応も参考にしながらサンプルを何度も作成し、現在の商品が生まれた。ちなみに、浅野氏の愛犬が特に好きなのは、「ひとくち小籠包」だという。浅野氏は「今まで靴下型の犬用おもちゃは見たことがなかったが、私の犬が靴下好きということもあってアイデアが浮かんだ。実際に作ってみたら思った通りにはしゃいで遊んでくれた」と破顔する。    (つづく)
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