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カタログハウスの独自発熱肌着が2シーズン目も売れ行き好調、累計購入者数30万人超へ

2025年 2月27日 00:00

 カタログハウスが販売する独自開発の発熱肌着シリーズ「フジヒート」の売れ行きが好調だ。本格販売を開始した昨シーズンから順調に販売数を伸ばし、2シーズン目となる今年もさらに販売数が伸び、累計購入者数は本格販売から今年度末で30万人を超える見通し。テレビを活用した認知促進や新規顧客獲得の強化、掴んだ新規顧客や愛用者に追加購入およびまとめ買いを促す訴求の工夫などが奏功しているようだ。2シーズン目を迎えた「フジヒート」。売れ行き好調の理由とは――。
 


 



 「フジヒート」は2023年4月から夏の冷え対策用に一部商品を発売後、同10月からラインアップを拡充して本格販売を始めたカタログハウスが独自で企画・開発した発熱肌着ブランドだ。酸化鉄が豊富に含まれていることなどから、 着用した人の体温を吸収して放射する力が強い富士山の溶岩を粉砕機で5ミクロン以下にまで砕き、微粒粉にしたものを吸湿発熱性の高いレーヨンのわたなどに混ぜ込んで糸にした「フジヒート糸」を使って腹巻や靴下、肌着などを展開している。富士山溶岩とレーヨンのダブル発熱効果によって各商品とも着用後すぐに暖かさを実感でき、また、暖かさを持続する特徴があるため、「これまでにない暖かさ」など購入者からの反応も上々。昨シーズンは一部の商品で生産が追い付かない状況となるなど、当初計画を上回る売れ行きをみせていた。

 本格展開から2シーズン目の今期はさらに売れ行きが好調なよう。「フジヒート」の開発を担当する通販生活商品開発部の辺見知美氏によると「気温が下がった11月以降、(購入者が)毎週1万人のペースで増えている状況で非常に手ごたえを感じている」と語る。

 好調な売れ行きの理由の1つはさらに強化したプロモーションの効果だ。同社では〝雪女〟を起用した広告宣伝を今秋からスタート。吹雪の中、白い着物の下に「フジヒート」を着た雪女が「寒くない」とその温かさをアピールする内容だ。11月下旬から各地上波テレビ局各社で30秒尺の〝雪女のテレビCM〟を放送。同時にBS局を軸に地上波でも「フジヒート」の中で特に売れ筋の腹巻とレッグウォーマーは120秒のインフォマーシャルの放映を始めた。なお、昨シーズンの「フジヒート」のプロモーションは新聞広告やネット広告が中心でテレビを使った本格的な広告は今シーズンから。需要が高まる秋口から冬にかけては同社が各局で放映しているCM、インフォマーシャルの放送枠の多くを「フジヒート」の訴求のために投下した。

 テレビによる訴求にあわせて新聞広告による訴求も強化。テレビと同様に〝雪女〟を打ち出しつつ、腹巻とレッグウォーマーを中心に訴求したほか、ウェブでの広告出稿に加えて12月には1週間にわたって同社の通販サイトのトップページのすべての画像、アイコンを〝雪女〟がジャックするなど特別仕様とした。「テレビで『フジヒート』を認知した人に効果的に購入頂けるようにクロスメディア展開を強化した」(辺見氏)とし、テレビ・新聞・ウェブを連動させた広告宣伝効果で新規顧客獲得が進んだという。

 並行して主力の通販媒体「通販生活」など紙媒体での訴求についても広告で獲得した新規顧客および既存顧客にさらに「フジヒート」の購入および追加購入を促す工夫を施した。9月発行の「通販生活・初秋号」では「フジヒートと私」と題して「フジヒート」を愛用している著名人の感想を大きく打ち出した訴求を、11月発行の「初冬号」では「フジヒート惚れ込み読者たちにその理由を聞きました」と題して「フジヒート」の腹巻を14枚購入した人や靴下を22足購入した人といったフジヒートの大量購入者にその理由と魅力を語ってもらうなど販売を開始したばかりの昨シーズンではできなかった説得力のある「愛用者の声」を軸とした内容とした。なお、1月発刊の「新春号」では〝雪女〟と「現代の雪女はちっとも寒がらない」というコピーを表紙として「フジヒート」の訴求をさらに強化している。

 10月や12月など「通販生活」本誌を発行しない月には「フジヒート」の購入者向けに「通販生活フジヒート通信」(A4判12ページ)を、また、「フジヒート」購入者に商品を配送する際に「通販生活のフジヒート商品説明書」(B5判、16ページ)の小冊子を同梱。両冊子とも「フジヒート」の特徴について説明しつつ、「フジヒート」の主なラインアップを掲載、紹介している。なお、「フジヒート通信」では商品購入時に決済時の代金に充当できる独自ポイント「ネットポイント」を通常の2倍付与する特典をつけるなど工夫している。

 広告で訴求した腹巻やレッグウォーマーを購入して「フジヒート」の「これまでにない暖かさ」を実感した顧客に対し、さらに洗い替え用などリピート購入を、また、肌着やスパッツ、ショーツ、さらに、今シーズンから投入したストールやネックウォーマーといった他の「フジヒート」商品の追加購入を促す狙いだ。「昨シーズンから洗い替え用や『フジヒート』の別の商品を追加購入するシリーズでリピートして頂く傾向があったが今シーズンはより顕著になった」(辺見氏)とする。

 価格も手ごろで初回購入を促しやすい腹巻やレッグウォーマーで、まずは「フジヒート」の暖かさを認識してもらい、当該顧客にさらにまとめ買いや価格の高い肌着などの別商品を訴求するという拡販戦略が奏功したことに加えて、「通販生活」の年間発行回数が22年までの4回から今年度は隔月発刊の6回に増えたこともあり、発熱肌着のニーズが高まる秋冬に「フジヒート」を訴求できる媒体が1号分増えたこと。また、通常、肌着では行っていない使用後の返品について「フジヒートの暖かさに満足できなかったときは着払いで遠慮なく返品してください」として受け付ける施策を今シーズンも続けて実施したことが初回購入時の顧客の「暖かさへの不安」を払拭できた。さらに今シーズンから「フジヒート」のパッケージを富士山のイメージしたイラストをあしらったデザインに変更したこともあり、「もともとあった家族や友人へのギフト需要がさらに高まったのではないか」(辺見氏)とする。

 こうしたことから「フジヒート」の愛用者(累計購入者)の数は昨シーズン(昨年3月時点)は10万人だったのに対して、昨年11月時点で19万人、3月の今シーズン末には30万人を大きく超える見通し。

 2シーズン目も好調な売れ行きをみせる「フジヒート」はすでに来シーズンに向けた準備を進めている。昨シーズンから展開する商品群に加えて、今シーズンからネックウォーマーやストール、膝ウォーマーなどの新商品も投入し「基本的なインナーアイテムはそろった」(辺見氏)とし、「次のステップとして、インテリア雑貨、衣料品などへの展開拡大を検討中」(同)として「フジヒート」の愛用者への拡販を進めていくという。

 また、「フジヒート」の一部の購入者を対象に、フジヒートファンイベントを実施した。火山学者の馬場章氏による歴史や自然科学の解説とともに山梨・青木ヶ原樹海を散策したり、富士山溶岩プレートで焼いた焼肉を食べる食事会、「フジヒート」の原料となる富士山溶岩を粉砕する工場を見学するバスツアーだ。こうした愛用者向けのイベントを来シーズンも検討しつつ、愛用者との関係性を構築していきたいとする。

 このほか、「富士山溶岩」という素材を原料にした「フジヒート」シリーズは海外の消費者にも訴求できることから、インバウンド需要の取り込みを図ることができる小売店などへの卸販売や海外での販売も視野に入れているよう。

 カタログハウスを代表する戦略商品として立ち上げ、全社を挙げて拡販に挑む「フジヒート」。次年度以降もさらに拡販を強化していく考えだ。
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