悠香が"次の成長"に向け始動した。昨年、トイレタリー関連12アイテムの販売を終了し、"シミ対策"に特化した企業へ大きく舵を切ると、今年1月には同社の各業務部門を事業会社として分社化。研究開発部門の「悠美科学研究所」、システム開発の「アエラス」、広告制作の「ジーナ」、フルフィルメントの「リンクリング」として独立させ、人事、総務、経理を担う統括会社として「STGホールディングス」を立ち上げている。少子化や新規参入の増加を背景に化粧品業界の競争激化が進む中、これら戦略を打ち出す背景と狙いはどこにあるのか。中山慶一郎社長に話を聞いた。(聞き手は本社記者・佐藤真之)
――昨年5月、トイレタリー関連12アイテムの販売を終了した経緯は。 「これまで当社の商品は無農薬茶葉を使用していることなど素材中心の商品訴求を行い、愛用者から茶葉を使った別の商品の要望があればその都度、シャンプーなどの商品を開発してきました。ただ、素材に惹かれて購入されているのかを突き詰めた時、"ちょっと待てよ"と。喜びの声の多くはシミの悩みが解消したというものです。にもかかわらずこのままシミ対策以外のラインを広げていくと"お茶の商品を扱う会社"というイメージを持たれるのではないかと。これでは顧客が望むことからかい離していくと考えました」
――売り上げの拡大を図る上では商品ライン拡充や、マルチチャネル化に顧客との新たな接点を見出す企業もあります。逆にコンセプトを絞り、メッセージ性を強める道を選ばれた。 「集中こそが力を生むという考えです。(コンセプトにしろ商品にしろ)分散化すれば社員教育の浸透も遅れますし、在庫数が増えれば配送効率も悪化していかざるを得ません。何より顧客が離れ、数ある会社のうちの一つになってしまう。顧客に存在価値を見出してもらえる業態とは何かを考えた時、顧客の一番深い悩みに徹底的にフォーカスした会社が今後残るのではないかと考えました」
――『茶のしずく』でこれまでのような伸びに限界を感じたということはないか。 「成長は続くと思いますが、鈍化すると考えています。広告媒体はほぼ出し尽くした感がありますし、従来のような成長は期待できません。今後は『シミ対策化粧水』『シミ対策クリーム』などシミ対策に特化した商品ラインの拡充を図りつつ、500億円の規模までじわじわ伸ばしていくイメージを持っています」
――単品での成長は難しい。 「『茶のしずく』で400億円、石けん市場のシェア40%程度は確保できるかと思います」
――
それが限界だと。 「それ以上はマーケティングコストが嵩み、費用対効果が合わなくなると思います」
――
シミ対策化粧水と同クリームの販売動向は。 「売り上げに占める割合は『茶のしずく』が6~7割、それ以外の商品群が3~4割になりますが、その大部分を占めているのが2商品です」
――
今期の見通しは。 「微増となる310億円前後の売り上げを見込んでいます」
――
今年1月、各業務別に分社化した狙いをお聞きしたい。 「一つは部門間に生じてきた"馴れ合い"など内製化が生んだ弊害を解消し、人材育成を図ることです。顧客に迷惑をかけるようなミスがあっても『すみません』の一言で済んでしまい、それが社全体にどういう影響を及ぼすことになるか考えなくても業務が回っていく。内製化にはそうした風土を醸成してしまう側面があります。分社化により明確な取引関係ができますし、管理者はより管理者意識を持つようになると考えました」
――
そのほかには。 「専門性の高い人材を確保することです。研究開発やシステム開発分野の技術者の方たちが当社に何を求めるかと考えた時、よく分からない。各業務に特化した会社であれば人材が確保しやすいと考えました」
――
分社化によって各業務の質を高めていくことは分かりますがもう一つ、悠香で培ったノウハウを外販されていくのか。 「将来的には考えています」
――
今後の成長を考えた時、めざすところは「外販」による成長なのか、各事業会社の質を高めることによる通販会社としての成長なのか。 「何年後か分かりませんが外販は行いたいと考えています。ただ、まずはグループの基盤づくりから始めます」
――
「外販」は目標なのか。 「目標ではありません。ただやるからには各事業会社で日本一の会社を目指したい。そう考えた時、委託業務をこなすことで経験を積まなくては会社も育ちません。ですから外販も必要と考えます」
――
今後、通販の新規事業展開は考えているのか。 「進出する分野は固まっていませんが、単品通販モデルの事業は考えています。イメージとしては悠香のようにカテゴリーキラーとなる会社を立ち上げ、グループとして成長をめざします」
――
方法としては業務別の分社化ではなく、単品商材ごとに完結した通販会社を作っていくことも考えられた。 「悠香のノウハウを活かすことでトータルディスカウントを実現できる形を選びました。新たな通販会社を一から立ち上げようとするとコスト面の負担が大きい」
――
新規事業の構想は。 「健康食品や高級ラインの化粧品、逆に低価格の化粧品を中心に取り揃えるような会社も考えられます」
――
健食では特にどのような分野に興味を持たれているのか。 「脳卒中や心筋梗塞といった病気には血管の健康が大きく関わっていると思います。これを運動療法や健食などさまざまなアプローチによって、トータルで支援できる事業ができればという構想は持っています」
――昨年5月、トイレタリー関連12アイテムの販売を終了した経緯は。
「これまで当社の商品は無農薬茶葉を使用していることなど素材中心の商品訴求を行い、愛用者から茶葉を使った別の商品の要望があればその都度、シャンプーなどの商品を開発してきました。ただ、素材に惹かれて購入されているのかを突き詰めた時、"ちょっと待てよ"と。喜びの声の多くはシミの悩みが解消したというものです。にもかかわらずこのままシミ対策以外のラインを広げていくと"お茶の商品を扱う会社"というイメージを持たれるのではないかと。これでは顧客が望むことからかい離していくと考えました」
――売り上げの拡大を図る上では商品ライン拡充や、マルチチャネル化に顧客との新たな接点を見出す企業もあります。逆にコンセプトを絞り、メッセージ性を強める道を選ばれた。
「集中こそが力を生むという考えです。(コンセプトにしろ商品にしろ)分散化すれば社員教育の浸透も遅れますし、在庫数が増えれば配送効率も悪化していかざるを得ません。何より顧客が離れ、数ある会社のうちの一つになってしまう。顧客に存在価値を見出してもらえる業態とは何かを考えた時、顧客の一番深い悩みに徹底的にフォーカスした会社が今後残るのではないかと考えました」
――『茶のしずく』でこれまでのような伸びに限界を感じたということはないか。
「成長は続くと思いますが、鈍化すると考えています。広告媒体はほぼ出し尽くした感がありますし、従来のような成長は期待できません。今後は『シミ対策化粧水』『シミ対策クリーム』などシミ対策に特化した商品ラインの拡充を図りつつ、500億円の規模までじわじわ伸ばしていくイメージを持っています」
――単品での成長は難しい。
「『茶のしずく』で400億円、石けん市場のシェア40%程度は確保できるかと思います」
――それが限界だと。
「それ以上はマーケティングコストが嵩み、費用対効果が合わなくなると思います」
――シミ対策化粧水と同クリームの販売動向は。
「売り上げに占める割合は『茶のしずく』が6~7割、それ以外の商品群が3~4割になりますが、その大部分を占めているのが2商品です」
――今期の見通しは。
「微増となる310億円前後の売り上げを見込んでいます」
――今年1月、各業務別に分社化した狙いをお聞きしたい。
「一つは部門間に生じてきた"馴れ合い"など内製化が生んだ弊害を解消し、人材育成を図ることです。顧客に迷惑をかけるようなミスがあっても『すみません』の一言で済んでしまい、それが社全体にどういう影響を及ぼすことになるか考えなくても業務が回っていく。内製化にはそうした風土を醸成してしまう側面があります。分社化により明確な取引関係ができますし、管理者はより管理者意識を持つようになると考えました」
――そのほかには。
「専門性の高い人材を確保することです。研究開発やシステム開発分野の技術者の方たちが当社に何を求めるかと考えた時、よく分からない。各業務に特化した会社であれば人材が確保しやすいと考えました」
――分社化によって各業務の質を高めていくことは分かりますがもう一つ、悠香で培ったノウハウを外販されていくのか。
「将来的には考えています」
――今後の成長を考えた時、めざすところは「外販」による成長なのか、各事業会社の質を高めることによる通販会社としての成長なのか。
「何年後か分かりませんが外販は行いたいと考えています。ただ、まずはグループの基盤づくりから始めます」
――「外販」は目標なのか。
「目標ではありません。ただやるからには各事業会社で日本一の会社を目指したい。そう考えた時、委託業務をこなすことで経験を積まなくては会社も育ちません。ですから外販も必要と考えます」
――今後、通販の新規事業展開は考えているのか。
「進出する分野は固まっていませんが、単品通販モデルの事業は考えています。イメージとしては悠香のようにカテゴリーキラーとなる会社を立ち上げ、グループとして成長をめざします」
――方法としては業務別の分社化ではなく、単品商材ごとに完結した通販会社を作っていくことも考えられた。
「悠香のノウハウを活かすことでトータルディスカウントを実現できる形を選びました。新たな通販会社を一から立ち上げようとするとコスト面の負担が大きい」
――新規事業の構想は。
「健康食品や高級ラインの化粧品、逆に低価格の化粧品を中心に取り揃えるような会社も考えられます」
――健食では特にどのような分野に興味を持たれているのか。
「脳卒中や心筋梗塞といった病気には血管の健康が大きく関わっていると思います。これを運動療法や健食などさまざまなアプローチによって、トータルで支援できる事業ができればという構想は持っています」