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ヤマダモール、出足苦戦か――店舗から失望の声も

2010年11月24日 18:45

yamada.jpg  11月15日にオープンした、家電量販店最大手のヤマダ電機(本社・群馬県高崎市、山田昇会長)が運営する仮想モール「ヤマダモール」。さっそくテレビCMの放映を開始したほか、店頭にもチラシを設置し、「今月のオススメ商品!」として、モールで販売する食品などを掲載した。しかし、出店店舗からは早くもモールの集客力に関して失望の声が上がっている。

 オープン時に揃ったのは、食品や衣料品、雑貨を扱う店舗など、約350。ただ、個々の店舗をみると、楽天市場で売り上げ上位に来るような、いわゆる有名店舗は数えるほど。消費者に対するアピール不足の感は否めない。さらに問題なのは、「在庫なし」の商品が非常に目立つこと。商品すべての在庫がなく、画像も表示されていないという店舗も少なくない。

 雑貨などを販売するA店もその一つ。担当者は「ヤマダから話があったのが9月で、審査に合格したのは10月中旬。商品登録が間に合わなかった」と明かす。つまり、直前に出店を決めた店舗が多く、商品がそろわないままオープン日を迎えてしまったというのが真相のようだ。

 モールでは家電関連は原則として扱わない方針としていたが、実際には液晶テレビなどを販売する店舗も出店している。AV関連商品を扱うB店は、商品登録の仕組みについて「事前に担当者に連絡し、許可が出たものは翌日以降に商品コードが発行される」と話す。つまり、ヤマダで販売する商品と重なる場合は、事前チェックの段階で許可が降りないとみられる。B店のオープン後5日間の販売実績はゼロ。担当者は「認知度の高い会社ということもあり契約したが、今のところは期待はずれだ」と話す。

 1000余りの商品を登録したC店も状況はほぼ同じ。19日までの5日間で販売した商品はわずかに一つ。C店はヤマダモール出店店舗の中でも数少ない有名店だけに、他店舗の販売状況も推して知るべしだ。

 C店の担当者は「ヤマダはネット販売ではあまり実績がなく、ウェブプロモーションが良く分かっていないのでは」と指摘する。商品の多くが在庫切れという状態では、来訪した消費者も直帰してしまい、二度と訪れない可能性が高い。

 携帯電話向けサイトのみのオープンというのも集客がおぼつかない原因の一つ。ネットショップにとっては「プロモーションはPCサイトの方が仕掛けやすい」(C店)からだ。来年2月にPCサイトも開設予定とはいえ、同時オープンで大々的に仕掛けた方が話題を呼んだのでないか。

 商品価格の設定も出店店舗の懸念となっている。価格の決定権はヤマダが持つが、現状は「卸販売と同様に、こちらが提示した価格にヤマダが上乗せして販売している」(C店)。B店、C店ともに、今のところ提示した価格で交渉は成立しているようだが、モール内では同じ商品を複数の店舗が販売することはないだけに、今後同じ商品を別の店舗がより安い価格で出してきたらどうなるのか。そのため、C店では他店と重ならない商品を選んで販売しているという。

 売上高2兆円超を誇る同社は圧倒的なバイイングパワーを持つが、それは店舗があってこそ。現状のヤマダモールは売り場としての魅力は薄い。「見切り発車」の感も拭えないだけに、まずは利用者が買い物をしたくなるモールを作り上げるのが先決だろう。

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