東日本旅客鉄道(=JR東日本)では、運営している仮想モールの「JRE MALL」において、利用者数や出店者数が前年比で大きく増加している。グループが持つ地域ネットワークやリアルのアセットを活用しながら、鉄道会社ならではの独自企画も進行。同モールのEC戦略について、運営を担当する寺迫浩司氏(
写真(右))、百瀬祐二氏の両マネージャーに聞いた。
――現在のモールの規模感について。
百瀬「今上半期の9月現在の数字では、取扱商品数が200万点強となり、モールの登録会員数は対前年比27%増の81万人。利用者としては、(グループ共通ポイントの)『JRE POINT』保有者が多い。出店者数(ふるさと納税の登録自治体数も含め)は同53%増の687店となり、ショップの出店よりも自治体の登録数の方が伸びている状況。
商品数については、昨年7月に『Super Sports XEBIO』さんが入店したことで、拡充したいと考えていたスポーツ関連のアイテムを増やすことができ、売り上げにも顕著な伸びが見られている。
ただ、昨年はどちらかと言えばふるさと納税の自治体開拓に軸足を置いていた。ショップとの比率としては、半分以上が自治体になっている印象」
――自治体開拓に力を入れた背景は。
百瀬「やはりJR東日本として地方創生を掲げている中で、ふるさと納税という役割も踏まえて、今は伸ばしどころがこちらではないかということで動いている。東日本ということだけでなく全国で開拓した」
――アクティブ利用者については。
百瀬「昨年9月時点で前年同期での比較で言うと、(4月~3月の間で1度でも利用をした)アクティブ利用者は約1・5倍の数になっている。ふるさと納税が昨年の9月から10月にかけて、ルールが少し変わったことで、駆け込み需要があった面はあるかもしれない。
また、金額比率で見ると、前年度より女性の方が5%上がっている。これは(グループの)千趣会も含めて生活用品の品ぞろえの強化など女性が買い物しやすいサイトになったのではないだろうか。(千趣会との連携の)中でも、『ディズニー100周年Suica・記念入場券』というものが非常に大きく販売をけん引した。
加えて、他のモールで上位になるような商品が、このモールでも上位に来るようになった。日々購入されているような、送料込みで1000円、1500円のようなアイテムの販売が伸びてきているので、モールとしての認知が進んで日常的に利用されるようになったのではと感じている」
――ふるさと納税で人気の高い返礼品は。
百瀬「海産物や肉、果物といった一般的な地産品はもちろん人気が高いが、当社独自のもので言うと、『JR東日本びゅうダイナミックレールパック』という鉄道と宿泊がセットになっている旅行商品がある。宿泊先の自治体と連携して、結果的に割引クーポンになるもので、自治体からも喜ばれるし、けん引している。昨年についてはまだ東日本だけだが、今年からはさらに広がりを見せていく。そのほかにも、寄付金額100万円で『新宿駅長プレミアム体験プラン』というものを現在、取り扱っていて、ほかにはないものだと思う」
――モールの認知を高めるために取り組んだこととは。
百瀬「グループサイトのトラフィックを有効活用する取り組みを、昨年から今年にかけてより力を入れている。それぞれが持っているサイトの中でより回遊性を高めていこうというもの。
例えば、JRE POINTや『Suica』の案内、『えきねっと』のようなチケットを購入するサイトでモールの案内をするなど。まだまだ道半ばだが、バナーを貼ったりして、モールを紹介する場所や期間を増やしていったイメージ。
一番分かりやすい例では『どこかにビューーン!』という鉄道サービス商品があって、6000ポイントで新幹線チケットが手に入るガチャ企画などを行っている。そこで、(各地域の)駅の紹介ページがあり、その中でこの駅のふるさと納税をモールで行うことができるという紹介をしている。今まではただ、駅を紹介するだけだったものが、それだけで数百万円の寄付にもつながっている。
もう一つはクッキー規制があって、ファーストパーティデータをどう有効活用しようかという話もある。例えばJRE POINT会員で駅ビルを利用している人にリターゲティング広告を打つとどのような効果が出るのかなどを今試しているところ。ここがクッキー規制が出ることによって強みになるのではと考えている」
――リアルでのPRとしては。
百瀬「安全運航を前提とした駅構内での放送告知がある。直接的な効果測定は難しいが、例えば『ポイント5倍デー』のようなキャンペーン内容を生活圏内の中で聞くことによって認知してもらえる。オフラインからオンラインへのトラフィック化というものは、JRが持っている強みを生かすところでもあると思う」
寺迫「車両の中での広告などについても、ふるさと納税のピークである11、12月などは量を増やした。自分たちが持っている媒体だからこそ活用する。昨年の12月には約1カ月の期間で、山手線でふるさと納税のラッピング列車も行った。ふるさと納税自体の利用者は、首都圏の顧客が多いということはデータにも出ているため、そうしたところにリーチしていくことは自治体からも高く評価をもらえている」(
つづく)
――現在のモールの規模感について。
百瀬「今上半期の9月現在の数字では、取扱商品数が200万点強となり、モールの登録会員数は対前年比27%増の81万人。利用者としては、(グループ共通ポイントの)『JRE POINT』保有者が多い。出店者数(ふるさと納税の登録自治体数も含め)は同53%増の687店となり、ショップの出店よりも自治体の登録数の方が伸びている状況。
商品数については、昨年7月に『Super Sports XEBIO』さんが入店したことで、拡充したいと考えていたスポーツ関連のアイテムを増やすことができ、売り上げにも顕著な伸びが見られている。
ただ、昨年はどちらかと言えばふるさと納税の自治体開拓に軸足を置いていた。ショップとの比率としては、半分以上が自治体になっている印象」
――自治体開拓に力を入れた背景は。
百瀬「やはりJR東日本として地方創生を掲げている中で、ふるさと納税という役割も踏まえて、今は伸ばしどころがこちらではないかということで動いている。東日本ということだけでなく全国で開拓した」
――アクティブ利用者については。
百瀬「昨年9月時点で前年同期での比較で言うと、(4月~3月の間で1度でも利用をした)アクティブ利用者は約1・5倍の数になっている。ふるさと納税が昨年の9月から10月にかけて、ルールが少し変わったことで、駆け込み需要があった面はあるかもしれない。
また、金額比率で見ると、前年度より女性の方が5%上がっている。これは(グループの)千趣会も含めて生活用品の品ぞろえの強化など女性が買い物しやすいサイトになったのではないだろうか。(千趣会との連携の)中でも、『ディズニー100周年Suica・記念入場券』というものが非常に大きく販売をけん引した。
加えて、他のモールで上位になるような商品が、このモールでも上位に来るようになった。日々購入されているような、送料込みで1000円、1500円のようなアイテムの販売が伸びてきているので、モールとしての認知が進んで日常的に利用されるようになったのではと感じている」
――ふるさと納税で人気の高い返礼品は。
百瀬「海産物や肉、果物といった一般的な地産品はもちろん人気が高いが、当社独自のもので言うと、『JR東日本びゅうダイナミックレールパック』という鉄道と宿泊がセットになっている旅行商品がある。宿泊先の自治体と連携して、結果的に割引クーポンになるもので、自治体からも喜ばれるし、けん引している。昨年についてはまだ東日本だけだが、今年からはさらに広がりを見せていく。そのほかにも、寄付金額100万円で『新宿駅長プレミアム体験プラン』というものを現在、取り扱っていて、ほかにはないものだと思う」
――モールの認知を高めるために取り組んだこととは。
百瀬「グループサイトのトラフィックを有効活用する取り組みを、昨年から今年にかけてより力を入れている。それぞれが持っているサイトの中でより回遊性を高めていこうというもの。
例えば、JRE POINTや『Suica』の案内、『えきねっと』のようなチケットを購入するサイトでモールの案内をするなど。まだまだ道半ばだが、バナーを貼ったりして、モールを紹介する場所や期間を増やしていったイメージ。
一番分かりやすい例では『どこかにビューーン!』という鉄道サービス商品があって、6000ポイントで新幹線チケットが手に入るガチャ企画などを行っている。そこで、(各地域の)駅の紹介ページがあり、その中でこの駅のふるさと納税をモールで行うことができるという紹介をしている。今まではただ、駅を紹介するだけだったものが、それだけで数百万円の寄付にもつながっている。
もう一つはクッキー規制があって、ファーストパーティデータをどう有効活用しようかという話もある。例えばJRE POINT会員で駅ビルを利用している人にリターゲティング広告を打つとどのような効果が出るのかなどを今試しているところ。ここがクッキー規制が出ることによって強みになるのではと考えている」
――リアルでのPRとしては。
百瀬「安全運航を前提とした駅構内での放送告知がある。直接的な効果測定は難しいが、例えば『ポイント5倍デー』のようなキャンペーン内容を生活圏内の中で聞くことによって認知してもらえる。オフラインからオンラインへのトラフィック化というものは、JRが持っている強みを生かすところでもあると思う」
寺迫「車両の中での広告などについても、ふるさと納税のピークである11、12月などは量を増やした。自分たちが持っている媒体だからこそ活用する。昨年の12月には約1カ月の期間で、山手線でふるさと納税のラッピング列車も行った。ふるさと納税自体の利用者は、首都圏の顧客が多いということはデータにも出ているため、そうしたところにリーチしていくことは自治体からも高く評価をもらえている」(つづく)