東日本旅客鉄道(=JR東日本)では、運営している仮想モールの「JRE MALL」が、開設から間もなく5年を迎える。鉄道サービスだけにとどまらず、より幅広いシーンで人々のライフスタイルを支えるサービスとして展開。出店者数や利用者数は年々右肩上がりで拡大している。鉄道会社ならではのEC戦略について、運営担当の寺迫浩司氏(
写真(左))、百瀬祐二氏の両マネージャーに聞いた。
――現在の取扱商品数や出店数について。
寺迫「公表している2022年9月時点の数字で、会員数は64万人で対前年比145%、出店店舗数は450店で同167%。ここにはふるさと納税の出店自治体も含まれていて、それが大幅に伸びており、22年3月時点では約150自治体だったのが、同9月で約250自治体まで増えた。
取扱商品数は122万点。以前からビックカメラさんに出店していただいていて、同9月からデータ連携を本格化したことで、そこで100万点以上増えたということがある。ビックカメラさんでは家電だけでなく、雑貨関係など幅広く取り扱っていてそちらの商品も入ってきている」
――出店開拓を強化している印象だが、その方法や基準とは。
寺迫「基本的にはこちらから営業の声がけをさせていただくケースが多い。モールという業態なので、デイリーな商材を強化したい面があり、まだまだ欠落している部分や十分に賄えていないカテゴリーがあるので、そこを考えながら取り組んでいる」
――利用者数の推移や特に好調だった商品とは。
寺迫「セッション数や注文数で見ると、前年の1・5倍程度になった。また、22年度は鉄道開業150周年という記念イヤーでもあったので、そこでの関連グッズは独自企画の商品として好評だった。鉄道150周年の記念Suicaをモール限定で販売したり、非常に高額な商品では1500万円の純金製モデルの機関車なども発売した。
特徴的なところでは、体験イベントの販売に力を入れた。JRで言うと、以前から行っていた車両基地の公開などをチケット制にしたもの。撮影会や体験ツアーなどを商品として販売し、非常に好評だった。そういった商品の一部はふるさと納税の返礼品としても取り扱われていた。駅長体験など独自性を高めたものもある」
――体験イベント商品などのターゲット層や狙いとは。
寺迫「年齢などを絞ったわけではないが、ファミリー向けと、いわゆる(鉄道)マニア向けというケースでプランをそれぞれで変えて展開している。鉄道ファンは大きく分けるとこの2つになるので、今後はもっと細かく、例えば女性向けなども含めてアプローチできれば。
もともとは無料でイベントを公開していたが、コロナでそれらの機会が無くなってしまった。イベント再開に当たって、(コロナ禍で)鉄道事業が落ち込んでいたこともあり、しっかりと収入を作るという意図がある。また、イベントを行う上で、参加者の人数を絞って(情報を)把握したいことからもチケット制とした。今回、150周年ということで、各現場の社員の方たちも熱を入れてイベント企画に取り組んでいるので実績としてあがっている」
――販売元となるのは。
寺迫「モール内ではJR東日本が直接販売をしている。当社にあるそれぞれの支社が『支社ショップ』として出店していて、例えば高崎であれば高崎支社が(その現場に関する)商品を販売しているという形。イベント商品は好評の企画となり、リピーターも見られている。だいたいボリュームゾーンの価格帯は1万5000円くらいで、ライトな内容のものでは撮影会が人気だ」
――地産品のような食品の人気は。
寺迫「特産品も含めて継続的に伸びているカテゴリー。一般的にモールでは水や米などが売れやすく、こちらも売れ筋となる」
会員外からの集客も強化へ
――22年のEC市場は全体的にコロナ特需の反動減があったが、こちらでは伸びている。
寺迫「まだまだ成長段階のモールであり、出店者数やふるさと納税が拡大していることでセッション数や注文数が伸びている面もある」
――モールへの集客施策について。
百瀬「前年までは(グループの共通ポイントサービスである)『JRE POINT』を利用促進するためのモールだった(22年10月末時点でのポイント会員数は1319万人)。今期は外部向けのモールとしても展開していこうとする部分が大きい。そこでJR東日本が持つアセットを最大限に活かしていくということになる。リアルでの分かりやすいところでは、駅や電車内の広告をしっかりと活用することがある」
――具体的には。
百瀬「私自身千趣会から来たが、今回、効果があったと感じたものでは、駅の改札口の放送でモールのキャンペーン内容を告知するというもの。直営でないとできない取り組みであり、その放送した内容がさらに(駅構内などの)デジタルサイネージでも掲載されていて、認知拡大につながっている」
(つづく)
――現在の取扱商品数や出店数について。
寺迫「公表している2022年9月時点の数字で、会員数は64万人で対前年比145%、出店店舗数は450店で同167%。ここにはふるさと納税の出店自治体も含まれていて、それが大幅に伸びており、22年3月時点では約150自治体だったのが、同9月で約250自治体まで増えた。
取扱商品数は122万点。以前からビックカメラさんに出店していただいていて、同9月からデータ連携を本格化したことで、そこで100万点以上増えたということがある。ビックカメラさんでは家電だけでなく、雑貨関係など幅広く取り扱っていてそちらの商品も入ってきている」
――出店開拓を強化している印象だが、その方法や基準とは。
寺迫「基本的にはこちらから営業の声がけをさせていただくケースが多い。モールという業態なので、デイリーな商材を強化したい面があり、まだまだ欠落している部分や十分に賄えていないカテゴリーがあるので、そこを考えながら取り組んでいる」
――利用者数の推移や特に好調だった商品とは。
寺迫「セッション数や注文数で見ると、前年の1・5倍程度になった。また、22年度は鉄道開業150周年という記念イヤーでもあったので、そこでの関連グッズは独自企画の商品として好評だった。鉄道150周年の記念Suicaをモール限定で販売したり、非常に高額な商品では1500万円の純金製モデルの機関車なども発売した。
特徴的なところでは、体験イベントの販売に力を入れた。JRで言うと、以前から行っていた車両基地の公開などをチケット制にしたもの。撮影会や体験ツアーなどを商品として販売し、非常に好評だった。そういった商品の一部はふるさと納税の返礼品としても取り扱われていた。駅長体験など独自性を高めたものもある」
――体験イベント商品などのターゲット層や狙いとは。
寺迫「年齢などを絞ったわけではないが、ファミリー向けと、いわゆる(鉄道)マニア向けというケースでプランをそれぞれで変えて展開している。鉄道ファンは大きく分けるとこの2つになるので、今後はもっと細かく、例えば女性向けなども含めてアプローチできれば。
もともとは無料でイベントを公開していたが、コロナでそれらの機会が無くなってしまった。イベント再開に当たって、(コロナ禍で)鉄道事業が落ち込んでいたこともあり、しっかりと収入を作るという意図がある。また、イベントを行う上で、参加者の人数を絞って(情報を)把握したいことからもチケット制とした。今回、150周年ということで、各現場の社員の方たちも熱を入れてイベント企画に取り組んでいるので実績としてあがっている」
――販売元となるのは。
寺迫「モール内ではJR東日本が直接販売をしている。当社にあるそれぞれの支社が『支社ショップ』として出店していて、例えば高崎であれば高崎支社が(その現場に関する)商品を販売しているという形。イベント商品は好評の企画となり、リピーターも見られている。だいたいボリュームゾーンの価格帯は1万5000円くらいで、ライトな内容のものでは撮影会が人気だ」
――地産品のような食品の人気は。
寺迫「特産品も含めて継続的に伸びているカテゴリー。一般的にモールでは水や米などが売れやすく、こちらも売れ筋となる」
会員外からの集客も強化へ
――22年のEC市場は全体的にコロナ特需の反動減があったが、こちらでは伸びている。
寺迫「まだまだ成長段階のモールであり、出店者数やふるさと納税が拡大していることでセッション数や注文数が伸びている面もある」
――モールへの集客施策について。
百瀬「前年までは(グループの共通ポイントサービスである)『JRE POINT』を利用促進するためのモールだった(22年10月末時点でのポイント会員数は1319万人)。今期は外部向けのモールとしても展開していこうとする部分が大きい。そこでJR東日本が持つアセットを最大限に活かしていくということになる。リアルでの分かりやすいところでは、駅や電車内の広告をしっかりと活用することがある」
――具体的には。
百瀬「私自身千趣会から来たが、今回、効果があったと感じたものでは、駅の改札口の放送でモールのキャンペーン内容を告知するというもの。直営でないとできない取り組みであり、その放送した内容がさらに(駅構内などの)デジタルサイネージでも掲載されていて、認知拡大につながっている」(つづく)