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メイク落としの「洗浄率予測システム」の構築を念頭に、16年からキリンホールディングス、慶應義塾大学と共同研究を進めていた。ファンケルが蓄積したメーク落としに関する500以上の実験データに、キリンの機械学習技術、慶應義塾大学の分子シミュレーション技術を組み合わせた。洗浄剤のメイク落とし性能を高い精度で予測できる可能性があるという。
構築したシステムを使い10万通りの計算を行った結果、主力のマイルドクレンジングオイルにも採用する独自の洗浄成分(ヘキサカプリル酸ポリグリセリルー20)が最も高いメイク落とし性能を示した。また、いくつかの特定の保湿成分との組み合わせが高い洗浄率を示す傾向があった。予測洗浄率の結果を用いた試作品の性能を評価したところ、実際の洗浄率とほぼ一致したという。
分子シミュレーションの解析では、洗浄率の高い洗浄剤と低いものでは、水中で形成される分子構造にも特徴的な違いがあることが分かった。今後も予測システムの精度向上と実用化に向けた検討を継続する。
製品開発では、1万種を超える素材・成分の探索、原料の組み合わせを検討する必要がある。実際の製品化には、使用感などほかの要素を検討する必要はあるものの、予測システムを活用することで、最も時間を要する成分選定を効率的にスピーディーに行えるようになる。
昨今、女性の社会進出に伴う時短ニーズで、クレンジングと洗顔の機能を併せ持つ洗浄剤のニーズが高まっている。
ファンケルでは20年、20~30代向けの新ブランド「mogu(モグ)」を立ち上げ、2機能を併せ持つ製品で、時短ニーズに応える。今後、これらクレンジングの製品開発プロセスに、予測システムの活用を検討する。メーク以外の製品開発にも独自の予測システムの構築を視野に入れる。
予測システムが導き出した洗浄率の結果等をプロモーションに用いるかは「現時点で未定」(同社)としている。
研究成果は、今年9月に開催した「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)ロンドン大会2022」で共同発表した。