前回に続き、エクスプライスの稲積憲社長(=
写真)に今後の取り組みなどを聞いた。
◇
――4月に社名を変更し、ショップ名も「エクスプライス」に変えた。
「これまではショップ名が『A―PRICE』と『プレモア』で、社名が『MOA』とブランドが3つ存在し、名前に意味づけもできていなかった。今回、意味を込めた社名に変更し、ショップ名も基本的にはエクスプライスに統合した」
――消費者に浸透していたショップ名を変更することにはリスクもある。
「大きな認知度の下落はなかったようだ。ただ、それはあまり知名度が高くなかったということでもある。これまでは仮想モールや価格比較サイトに集客してもらってきた面が強かったということを改めて感じた。そのため、エクスプライスの認知度を上げていくことが必要になってくる。4月には、サッカーJ1の『ヴィッセル神戸』と今年12月末までのスポンサー契約を締結したが、コミュニティーに訴えかけていくのも1つの手段。ただ、一番大事なのは、一人ひとりの顧客に満足してもらい、ファンになってもらうことだ。リピート購入はもちろん、くちコミで周囲の人たちに広めてもらえるという波及効果もある。まだマス媒体を使ってアピールしていくフェーズではないので、地道にやっていきたい」
――2021年6月期の業績は。
「売上高は前期比約20%増の640億円程度で着地したようだ。もちろんコロナ禍による追い風はあったが、それが全てではない。コロナ禍がなくても2桁増収は達成できたのではないか。足元でいえば、家電市場はあまり活況とはいえないが、こうした中でも当社は伸びている。ネット専業の中でも、価格のみならず、大型家電を中心とした品揃えの面でも顧客にアピールできているのではないか。追い風だけにはとどまらず、エクスプライスの認知を拡大するとともに、顧客満足度を高め、ファンを作るという取り組みを続けることで成長を続けていきたい」
――家電以外の商材の売り上げ比率は。
「20%程度で、比率は徐々に伸びている。スポーツ用品やアウトドア用品、家具、ベビー用品などが人気だ」
――プライベートブランド「マクスゼン」について。
「前期の売上高は50億円を超えた。アイテム数は64となっている。理美容家電や、まだ扱っていない生活家電、さらには非家電商品にもトライしていきたい」
――現状の課題は。
「やはりファンづくりだろう。1つは『顧客から見てどうなのか』ということ。長年商売していると凝り固まってしまう部分がるので、顧客視点が重要だ。もう1つは、システムが全体的に古く、足かせになっている部分がある。基幹システムとECシステムの刷新が終わればレベルアップできると思っている。この両面を変えていくことで、より顧客に満足してもらえるようになるのではないか」
「システム刷新は今期中には終える予定だ。顧客が買いやすいサイトになる。細かい設定やセット販売など、今のシステムだと表現できない部分が多いので、分かりやすいサイトになるのではないか。サポートという点でも、これまで以上に顧客の情報理解した上で対応できるようになる。また、ショッピングアプリも開発する予定だ」
――今期の業績見通しは。
「少なくとも2桁増収は達成したい。24年6月期には売上高1000億円を目指しており、そのためには成長を加速しなければいけない。新しい商品ジャンルの取り扱いや、リピート率の向上も目指したい。精度の高いレコメンデーションと、クーポンを含めた販促が重要になってくる」
――どんなジャンルを扱うのか。
「家電量販店を見ても、さまざまなジャンルの商材を扱っている。どのジャンルと決めているわけではないが、良い仕入れ先を開拓するのが重要になってくる」
――配送関連の取り組みは。
「5月には大阪に拠点を設けた。各地にサテライトの拠点を作ることで、スピード配送に対応したい。8月には基幹物流センターとして千葉県船橋市に『船橋物流センター』をオープンしており、拠点づくりは来年度以降取り組んでいきたい」
――上場の時期は。
「審査の状況にもよるが、今期は上場直前期と位置づけている」(おわり)
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――4月に社名を変更し、ショップ名も「エクスプライス」に変えた。
「これまではショップ名が『A―PRICE』と『プレモア』で、社名が『MOA』とブランドが3つ存在し、名前に意味づけもできていなかった。今回、意味を込めた社名に変更し、ショップ名も基本的にはエクスプライスに統合した」
――消費者に浸透していたショップ名を変更することにはリスクもある。
「大きな認知度の下落はなかったようだ。ただ、それはあまり知名度が高くなかったということでもある。これまでは仮想モールや価格比較サイトに集客してもらってきた面が強かったということを改めて感じた。そのため、エクスプライスの認知度を上げていくことが必要になってくる。4月には、サッカーJ1の『ヴィッセル神戸』と今年12月末までのスポンサー契約を締結したが、コミュニティーに訴えかけていくのも1つの手段。ただ、一番大事なのは、一人ひとりの顧客に満足してもらい、ファンになってもらうことだ。リピート購入はもちろん、くちコミで周囲の人たちに広めてもらえるという波及効果もある。まだマス媒体を使ってアピールしていくフェーズではないので、地道にやっていきたい」
――2021年6月期の業績は。
「売上高は前期比約20%増の640億円程度で着地したようだ。もちろんコロナ禍による追い風はあったが、それが全てではない。コロナ禍がなくても2桁増収は達成できたのではないか。足元でいえば、家電市場はあまり活況とはいえないが、こうした中でも当社は伸びている。ネット専業の中でも、価格のみならず、大型家電を中心とした品揃えの面でも顧客にアピールできているのではないか。追い風だけにはとどまらず、エクスプライスの認知を拡大するとともに、顧客満足度を高め、ファンを作るという取り組みを続けることで成長を続けていきたい」
――家電以外の商材の売り上げ比率は。
「20%程度で、比率は徐々に伸びている。スポーツ用品やアウトドア用品、家具、ベビー用品などが人気だ」
――プライベートブランド「マクスゼン」について。
「前期の売上高は50億円を超えた。アイテム数は64となっている。理美容家電や、まだ扱っていない生活家電、さらには非家電商品にもトライしていきたい」
――現状の課題は。
「やはりファンづくりだろう。1つは『顧客から見てどうなのか』ということ。長年商売していると凝り固まってしまう部分がるので、顧客視点が重要だ。もう1つは、システムが全体的に古く、足かせになっている部分がある。基幹システムとECシステムの刷新が終わればレベルアップできると思っている。この両面を変えていくことで、より顧客に満足してもらえるようになるのではないか」
「システム刷新は今期中には終える予定だ。顧客が買いやすいサイトになる。細かい設定やセット販売など、今のシステムだと表現できない部分が多いので、分かりやすいサイトになるのではないか。サポートという点でも、これまで以上に顧客の情報理解した上で対応できるようになる。また、ショッピングアプリも開発する予定だ」
――今期の業績見通しは。
「少なくとも2桁増収は達成したい。24年6月期には売上高1000億円を目指しており、そのためには成長を加速しなければいけない。新しい商品ジャンルの取り扱いや、リピート率の向上も目指したい。精度の高いレコメンデーションと、クーポンを含めた販促が重要になってくる」
――どんなジャンルを扱うのか。
「家電量販店を見ても、さまざまなジャンルの商材を扱っている。どのジャンルと決めているわけではないが、良い仕入れ先を開拓するのが重要になってくる」
――配送関連の取り組みは。
「5月には大阪に拠点を設けた。各地にサテライトの拠点を作ることで、スピード配送に対応したい。8月には基幹物流センターとして千葉県船橋市に『船橋物流センター』をオープンしており、拠点づくりは来年度以降取り組んでいきたい」
――上場の時期は。
「審査の状況にもよるが、今期は上場直前期と位置づけている」(おわり)