レディースアパレルを手がけるレイ・カズンは、当面の目標であるEC売上高20億円の達成に向け、昨年10月にはEC限定ブランド「エマリンバー」を立ち上げたほか、既存ブランドでもECチャネルを重視したMD展開やデジタル活用を推進中だ。コロナによる会社業績へのダメージはあるが、「ECへの投資は緩めない」と語る足達成幸社長(
顔写真)に中期的なEC強化策を聞いた。
――会社全体の中期経営計画は。
「コロナ以前に2023年9月期が最終年度となる中計で全社売上高100億円という目標を立てた。19年9月期の売上高は72億円だった。100億円を目指す上で、既存の『レイカズン』と『ダブルネーム』『ミューカ』『フレームスレイカズン』という4ブランドの成長に加え、将来的なコンテンツの育成という観点からEC限定ブランドの『エマリンバー』と『エンスモール』を昨年秋に立ち上げるなど、新たな業態開発に挑戦している」
――現状のECは。
「19年9月期のEC化率は7・8%で、中期的に10%を目指している。一方、100億円という全社目標とは別にECで20億円を稼ぐにはどうするかを踏まえて組織も含めたEC事業の立て付けを考えている。今後のECへの投資などを含め、3年後に全社100億円を描いたときにEC売上高が10億円ということはないだろう。20億円を達成できるくらいのスピード感で成長を目指したい」
――システムなどへの投資は。
「昨年11月に店頭のポイントクラブ会員とEC会員を統合してEC会員に寄せた。メルマガを軸に店頭でも告知してECの会員登録を促した。大きなトラブルもなくEC側に一本化できたが、ECと実店舗の併用率はまだまだ。そこが課題で、LTV向上やカスタマージャーニーの構築を急いでいる」
――EC限定ブランドを立ち上げた。
「『エンスモール』はスモールSという小さいサイズの女性をターゲットに、当初はインフルエンサーと契約してその人の影響力を生かしてブランド認知を広げようとしたがうまくいかず、20年春夏シーズンは一旦休止した。来春の再始動をメドに、ブランディングを練り直している」
――「エマリンバー」については。
「当社が取り組むべき新しい事業の形を具現化したブランドだ。20代前半向けの『レイカズン』のデザイナーだった女性が年齢を重ねたことで『レイカズン』では満足できなくなり、今の自分の等身大のブランドを手がけたいという話があった。当社にはアラサー女性をターゲットにしたブランドがなく、彼女の感性の高さを生かしたかった。そこで、プレス担当の女性を含めたふたりをディレクターに立ててブランドを立ち上げた」
――D2Cブランドとしたのは。
「実店舗主体のブランドに比べてコストがかからない上に、表現の自由度が高いからだ。スモールスタートで、彼女たちの表現を固めていくことを優先してきた。『エマリンバー』は等身大のブランドとしてディレクター自身が買える価格に設定していて、実際にアラサーに近いお客様が多い。3シーズン目に入ったところで、売り上げはまだ小さいが、ふたりの思いを具現化した商品は本物だと感じる」
――新たに挑戦していることは。
「『エマリンバー』の生産背景は、品質を担保した上で既存ブランドとは異なる取引先と組んだ。パターンもディレクターのこだわりを形にできる外部のパターンナーさんにお願いしている」
――デジタル施策の部分は。
「ブランドとしての力はついてきているが、デジタルをうまく使い切れていないことが課題で、結果的にブランド認知がまだ足りないのだと思う。展示会などのリアルの場は経験も豊富で、接点を持ったお客様には関心をもってもらえるが、デジタル上でのつながりが構築し切れていない。インスタライブなどを含め、デジタル施策の頻度とクオリティーが足りない」
――8月下旬から9月上旬まで新宿ルミネ2にポップアップストアを出した。
「これまでも本社周辺での展示会と同時に実物が見られる場を設けてきたが、商業施設にポップアップを出したのは今回が初めて。新宿ルミネ2のお客様とはターゲット層がしっかり重なる」
――ポップアップでの成果や課題は。
「売り上げは計画値の8掛けくらいだった。コロナの影響でお客様の数が戻り切っていない中で、ポップアップ店まで興味を持ってもらうのは難しかったし、言い換えれば、『エマリンバー』だけで呼べるお客様が少なかった。ただ、初めて『エマリンバー』の商品を購入して頂いたお客様には喜んでもらえた」
――今後の展開は。
「商品に触れてもらうポップアップストアだけでなく、外部ECモールへの出店や専門店向けの卸も視野にある。ビューティー系の異業種とのコラボも検討している。『エマリンバー』と協業先の商品をかけ合わせることで互いの面白さが出て、認知にもつながる取り組みをしていきたい。今後1年くらいはそうした活動と、デジタル上での作り込みを強化する」(つづく)
――会社全体の中期経営計画は。
「コロナ以前に2023年9月期が最終年度となる中計で全社売上高100億円という目標を立てた。19年9月期の売上高は72億円だった。100億円を目指す上で、既存の『レイカズン』と『ダブルネーム』『ミューカ』『フレームスレイカズン』という4ブランドの成長に加え、将来的なコンテンツの育成という観点からEC限定ブランドの『エマリンバー』と『エンスモール』を昨年秋に立ち上げるなど、新たな業態開発に挑戦している」
――現状のECは。
「19年9月期のEC化率は7・8%で、中期的に10%を目指している。一方、100億円という全社目標とは別にECで20億円を稼ぐにはどうするかを踏まえて組織も含めたEC事業の立て付けを考えている。今後のECへの投資などを含め、3年後に全社100億円を描いたときにEC売上高が10億円ということはないだろう。20億円を達成できるくらいのスピード感で成長を目指したい」
――システムなどへの投資は。
「昨年11月に店頭のポイントクラブ会員とEC会員を統合してEC会員に寄せた。メルマガを軸に店頭でも告知してECの会員登録を促した。大きなトラブルもなくEC側に一本化できたが、ECと実店舗の併用率はまだまだ。そこが課題で、LTV向上やカスタマージャーニーの構築を急いでいる」
――EC限定ブランドを立ち上げた。
「『エンスモール』はスモールSという小さいサイズの女性をターゲットに、当初はインフルエンサーと契約してその人の影響力を生かしてブランド認知を広げようとしたがうまくいかず、20年春夏シーズンは一旦休止した。来春の再始動をメドに、ブランディングを練り直している」
――「エマリンバー」については。
「当社が取り組むべき新しい事業の形を具現化したブランドだ。20代前半向けの『レイカズン』のデザイナーだった女性が年齢を重ねたことで『レイカズン』では満足できなくなり、今の自分の等身大のブランドを手がけたいという話があった。当社にはアラサー女性をターゲットにしたブランドがなく、彼女の感性の高さを生かしたかった。そこで、プレス担当の女性を含めたふたりをディレクターに立ててブランドを立ち上げた」
――D2Cブランドとしたのは。
「実店舗主体のブランドに比べてコストがかからない上に、表現の自由度が高いからだ。スモールスタートで、彼女たちの表現を固めていくことを優先してきた。『エマリンバー』は等身大のブランドとしてディレクター自身が買える価格に設定していて、実際にアラサーに近いお客様が多い。3シーズン目に入ったところで、売り上げはまだ小さいが、ふたりの思いを具現化した商品は本物だと感じる」
――新たに挑戦していることは。
「『エマリンバー』の生産背景は、品質を担保した上で既存ブランドとは異なる取引先と組んだ。パターンもディレクターのこだわりを形にできる外部のパターンナーさんにお願いしている」
――デジタル施策の部分は。
「ブランドとしての力はついてきているが、デジタルをうまく使い切れていないことが課題で、結果的にブランド認知がまだ足りないのだと思う。展示会などのリアルの場は経験も豊富で、接点を持ったお客様には関心をもってもらえるが、デジタル上でのつながりが構築し切れていない。インスタライブなどを含め、デジタル施策の頻度とクオリティーが足りない」
――8月下旬から9月上旬まで新宿ルミネ2にポップアップストアを出した。
「これまでも本社周辺での展示会と同時に実物が見られる場を設けてきたが、商業施設にポップアップを出したのは今回が初めて。新宿ルミネ2のお客様とはターゲット層がしっかり重なる」
――ポップアップでの成果や課題は。
「売り上げは計画値の8掛けくらいだった。コロナの影響でお客様の数が戻り切っていない中で、ポップアップ店まで興味を持ってもらうのは難しかったし、言い換えれば、『エマリンバー』だけで呼べるお客様が少なかった。ただ、初めて『エマリンバー』の商品を購入して頂いたお客様には喜んでもらえた」
――今後の展開は。
「商品に触れてもらうポップアップストアだけでなく、外部ECモールへの出店や専門店向けの卸も視野にある。ビューティー系の異業種とのコラボも検討している。『エマリンバー』と協業先の商品をかけ合わせることで互いの面白さが出て、認知にもつながる取り組みをしていきたい。今後1年くらいはそうした活動と、デジタル上での作り込みを強化する」(つづく)