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【バロックジャパン ECブランドに挑む㊤】 自社ECで定価販売重視、専任チームは外部から招へい、高感度商品を毎週投入

2020年 1月 9日 13:20

 「マウジー」や「スライ」などレディース衣料を中心に展開するバロックジャパンリミテッドは、2018年4月に始動したECチャネルだけで展開するブランド「スタイルミキサー」が好評を得ているようだ。

 「スタイルミキサー」は、人気ブランドを立ち上げた松本恵奈さんがディレクションする新業態で、品質はもちろん、日本人やアジア人に合ったサイズ感の衣料品を毎週投入。ラグジュアリーブランドにも合わせやすい高感度の商品を手頃な価格で提供しているのが特徴だ。

 現状、ECチャネルでのみ展開しており、売り場は自社のモール型通販サイト「シェルターウェブストア」と「スタイルミキサー」の単独通販サイト(画像)のふたつで、セールには極力頼らずプロパー販売を重視している。

 認知拡大の観点から大手衣料品ECモールに出店することも検討したが、モール主導の施策や割引販売などではブランド価値を守れないと判断した。また、ECノウハウも蓄積していることから、自社ECでの販売に限定。同社の主力ブランド群は「シェルターウェブストア」での売上高がECチャネルではメインだが、、「スタイルミキサー」はブランド単独サイトでの販売を重視する。

 同ブランドの専任チームはすべて外部から招へいし、商品の企画・生産やクリエイティブ、SNS活用なども自社の他ブランドに比べて比較的に自由度が高いという。

 例えば生産面については、バロックジャパンは小売業ながらも生産本部を持ち、他ブランドは同本部を介して外部の複数サプライヤーと商品ごとに取り引きしているが、「スタイルミキサー」ではあえてサプライヤーを1社に絞り、両者がブランドと一緒に成長する体制とした。

 自社の生産本部を活用するとサプライヤーの選定も含めて生産までに半年近くかかってしまうケースもあるが、「スタイルミキサー」の商品はすべてQR(クイックレスポンス)対応で、発注後1カ月~1カ月半で生産できるスキームが整いつつあるという。QR対応はコスト増になるものの、プロパー消化率が高いため利益を確保でき、ブランド価値も守れるという好循環が生まれてきているようだ。

 ブランドのスタート時こそ多くの商品を一度に投入したが、約半年後からは新作を毎週提案する形にした。在庫は一カ所で減るため機会ロスは少なく、しかも縦売れすることでセールに頼らなくても消化できることがECチャネルだけで展開するブランドのメリットだという。

 新作の投入時期は”今この時期に売りたい商品”を優先。在庫を持つ商品もあれば、サンプル品の写真だけで予約販売できるECのメリットも最大限生かす。少し先の時期に売れると判断した商品は在庫が入っても2~3週間アップしないケースもある。

 また、実店舗とは異なり、シーズンのピークを少し過ぎたアイテムもECでは売れることから、商品の販売期間に幅を持たせて発注量を決定。完売したら再発注し、予約販売に切り替えてオーダーを受ける。

 商品単品の利益よりも集客を重視した価格戦略商品も定期的に開発して投入し、新客開拓や既存顧客のリピート化につなげている。

 同社によると、当初は在庫リスクを回避する目的でフリーサイズの商品が多かったが、顧客向け受注会でフリーサイズでは着丈などが合わないという声が多く上がったことからサイズ展開を増やし、売り上げの拡大に直結しているようだ。

 現状、商品構成はアパレルが約9割、ピアスやバッグなどのファッション小物が1割程度だ。最近ではセレクト品として食器など陶芸家の一点物も扱っており、新規客のエントリー商材としても機能している。(つづく)

 
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