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「クレンジングのあり方そのものを変える」。今年12月に行われた新商品発表会で、西野英美商品企画部長はそう話した。「ここちを美しく。」という提供価値に直結する価値観を体現した新商品「オフクリーム」(=画像、税込2530円)への共感を図り、クレンジング市場を開拓する。
クレンジング市場は、1177億円(調査会社調べ)あるとされる。市場はオイルやリキッドなど嗜好性が強く、ブランドスイッチは起こりにくい。また、これまで「メーク落ち」など機能感を中心に競われてきた。
ただ、最近では温感を特徴にしたものや、洗浄力と洗い上がりの保湿を兼ね備えた「バーム」タイプの人気も高まっている。「新しい価値を発信できればスイッチを起こせる」(西野部長)とみる。
「オフクリーム」で目指すのは、日々のクレンジングを「思わず手に取りたくなるもの」「心地よいもの」に変えること。仕事や育児、家事に追われる女性の9割は日々、「充実した時間を過ごせていない」と感じている。これを象徴するのが、クレンジングだ。
クレンジングは、「女性のオンとオフをつなぐ重大な役割を果たす商品」にもかかわらず、多くがこれを「面倒」と感じている。その時間の「質を高め、貴重な充実したものにできないか」(同)というのが出発点。商品開発に通じる理念は、「ここちを美しく。」というブランドメッセージにも通じるものがある。
機能は、女性をオフに導く「心をほぐす(リラックス)」作用と「肌をほぐす(機能感)」作用の両立を追求した。
「心をほぐす」上でとくにこだわったのが、テクスチャー(使用感)だ。ヒントは、ペットなどを撫でる手の動き。独自の試験から人が「秒速5センチ」のストロークを心地よく感じることを導き出し、これを実現するためのクリーム形状を採用した。加えて体温を感じてゆっくり溶け、適度に密着するなど、使用時の「速度」「体温」「圧」を引き出すテクスチャーを目指した。機能面も、日中に受けた外的刺激による水分蒸散を抑え、潤いを残す独自成分を配合。自社調べて使用後の角層水分量は35%上昇したという。
オルビスはこれまで、リキッドタイプとジェルタイプ(いずれも税込1467円)のクレンジングを中心に展開してきた。売り上げは2商品で年間約30億円。今後、新クレンジング中心のプロモーションで、既存顧客への商品提案によるスイッチ、新規顧客の開拓を進める。
新商品は台湾や中国、韓国など海外展開強化に向けた戦略商品として展開していく。販売動向を検証しつつ、商品ラインアップの改廃も検討していく。