ピーチ・ジョンは今年4月1日、中国ワコールの売り上げ急拡大や上海ピーチ・ジョンの立て直しなどに手腕を発揮してきた杤尾学氏(=
顔写真)が新社長に就任した。前期(2019年3月期)は、のれんの減損損失もあって58億円の営業赤字を計上するなど苦戦しているが、グループ内では”黒字請負人”と称される杤尾社長の旗振りのもと、今期は利益を重視して黒字化を図る。「通販ビジネスをブラッシュアップして伸ばしていく」と語る同氏に、再成長に向けた基本戦略などを聞いた。
――再成長に向けて重視することは。
「ピーチ・ジョンのビジネスはマーケットにどう合わせるかだけでなく、ニーズを作る部分もある。当社の原点である『元気・ハッピィ・セクシー』を時代に合わせて商品に反映させていく。ムーブメントを作れるように商品や広告展開を見直していく」
――改めてピーチ・ジョンの強みは。
「当社の強みは通販の会社であることだ。付帯して実店舗があるが、お店ではしっかりブランド表現ができている。通販部門をブラッシュアップしてどれくらい伸ばせるかになる」
――下着市場のニーズの変化や事業環境は。
「少子化もあって日本のマーケットは縮小し、引き続き百貨店での売り上げが落ちていくと卸ビジネスは違うスタイルが求められるだろう。通販チャネルは伸びるだろうが競争が激しい。当社の持ち味である広告まわりで他社との差を出せれば、縮小するマーケットの中でも成長するチャンスはある」
――中国の市場は。
「中国市場はあまりにも変化が激しい。GDPは増えて消費も盛んだが、ファッションセンスはなかなか上がらない。中国の消費者が好きな色や、下着の着用感も緩めが好きなど、日本人とは好みが違う。そうした違いを理解しながら対応することが求められている」
――昨今の業績苦戦の要因は。
「売上高を落としてしまったことはマーケットの変化もあったと思う。ファストファッションなどが出てきてアウターのカテゴリーでは負けてしまった部分もある。マーケットで売れている価格帯は二極化し中価格帯が抜けていることに、これまで十分に対応できていなかったのではないか。当社の商品は高級品ではなく中級品ゾーンで、毎シーズンお客様に買い換えを促す中で、プライスや商品の内容が合っていたのか、買ってみたくなる伝え方、コミュニケーションの取り方に、面白さや楽しさが少し足りなかったのではないかと感じている。ただ裏を返せば、そこにしっかり取り組めばチャンスはある」
――売り場ごとに施策も変わる。
「各チャネルやプラットフォームによってお客様が違うと認識している。通販のお客様であればどういう商品を買いやすいか、お店ではどういうサービスを求めているのか、また外部のプラットフォームではどういうお客様が来ているのか、それらによって差別化戦略をとろうとしている。お客様が異なるそれぞれの売り場に合わせた商品で差別化すれば、売り場ごとに喧嘩することはない。どこの売り場を優先するかではなく、どの売り場のお客様も優先する。これまで、国内ではプラットフォームやチャネルによって大きな変化はつけていなかったが、商品面だけでなく広告の打ち方も含めて差別化しないとお客様には届かない」
――就任後の2カ月で取り組んできたことは。
「仮説が正しいかどうかを実際の数字を見て分析し、検証しているところだ。例を挙げると、当社は約2000品番を展開しているが、その中で売り上げがほとんどない商品がどれくらいあるのか調べてみると、ある程度答えが見えてくる。売れない理由は見にくいとか、探しにくい、あるいは場所が悪いなどいろいろな理由がある。そうであれば2000品番もいらないのではないか」
――スマホユーザーが多い。
「スマホサイトでは見ることができる商品数は限られる。品番数や見せたい商品の量をコントロールすることが大事になる。その次にすることは、どうすれば楽しく疲れずに探してもらえるかを考えることだ」
――今期の品番数は。
「今期はすでに生産計画が進んでいるため減らないが、いまある商品を整理すれば捨てる商品と足さなければいけない商品が出てくるだろう。いったんは2000品番から絞っていく。各プラットフォームに共通で置く商品と、売り場限定の商品を展開することでお客様の買う理由ができる。各売り場を分析しそれぞれの役割を明確にする。当社の売上高構成比は自社ECが50%、実店舗が40%、卸が10%と自社ECが強い。それを補完する形で外部プラットフォームの利用方法も考えていく」
――商品の探しやすさの部分は。
「そこは少し先になる。カタログには見る楽しさがあるが、スマホサイトは離脱されやすい。カタログの面白さをスマホサイトにどう移植するかが大事で、仕組みの部分に投資が必要になるかもしれない」
――通販チャネルと実店舗で強化する商品は。
「機能商品なので実際に着用して確認したいというお客様は実店舗に来店されるため、お店では機能性の高い商品を強化する。通販であれば写真がいいとか選びやすいとか、買い方にも違いがあるためデザイン性の高い商品を展開するというやり方もある。それぞれお客様の顔が違うだけでなく欲しいものも違う。一度買ったことのある商品は通販でいいという傾向もあり、定番商品は通販で、新しい商品はお店でという分け方もできる」
――実店舗の提案力については。
「お店の品ぞろえはそこまで豊富ではないが、3カ月ごとにリフレッシュして新しい商品に切り替えている。提案力を高め、もっと楽しい売り場にするために、インナーに限らずいろいろなアイテムを追加していくことも考えている」
――カタログに必要な変化は。
「カタログの作り方には自信を持っている。カタログのページネーションとしても、読み進めるためのコンテンツをたくさん持っている。課題はそれを利用してECの売上高をどう上げるかだ。そのときにEC用のコンテンツがいるだろうし、カタログの内容にも変化が必要かもしれない」
――今後の品番数についての考え方は。
「通販のビジネスは品番数が多いからダメというわけではない。2000品番を一度絞るが、また次に伸ばそうとするときは増やすしかない。そのときに『探しやすさ』という機能を持っているかどうかだ。品番数が増えれば規模を拡大できるチャンスもある。それが品種なのかブランドなのかはターゲットをしっかり分析して考えていく」(つづく)
――再成長に向けて重視することは。
「ピーチ・ジョンのビジネスはマーケットにどう合わせるかだけでなく、ニーズを作る部分もある。当社の原点である『元気・ハッピィ・セクシー』を時代に合わせて商品に反映させていく。ムーブメントを作れるように商品や広告展開を見直していく」
――改めてピーチ・ジョンの強みは。
「当社の強みは通販の会社であることだ。付帯して実店舗があるが、お店ではしっかりブランド表現ができている。通販部門をブラッシュアップしてどれくらい伸ばせるかになる」
――下着市場のニーズの変化や事業環境は。
「少子化もあって日本のマーケットは縮小し、引き続き百貨店での売り上げが落ちていくと卸ビジネスは違うスタイルが求められるだろう。通販チャネルは伸びるだろうが競争が激しい。当社の持ち味である広告まわりで他社との差を出せれば、縮小するマーケットの中でも成長するチャンスはある」
――中国の市場は。
「中国市場はあまりにも変化が激しい。GDPは増えて消費も盛んだが、ファッションセンスはなかなか上がらない。中国の消費者が好きな色や、下着の着用感も緩めが好きなど、日本人とは好みが違う。そうした違いを理解しながら対応することが求められている」
――昨今の業績苦戦の要因は。
「売上高を落としてしまったことはマーケットの変化もあったと思う。ファストファッションなどが出てきてアウターのカテゴリーでは負けてしまった部分もある。マーケットで売れている価格帯は二極化し中価格帯が抜けていることに、これまで十分に対応できていなかったのではないか。当社の商品は高級品ではなく中級品ゾーンで、毎シーズンお客様に買い換えを促す中で、プライスや商品の内容が合っていたのか、買ってみたくなる伝え方、コミュニケーションの取り方に、面白さや楽しさが少し足りなかったのではないかと感じている。ただ裏を返せば、そこにしっかり取り組めばチャンスはある」
――売り場ごとに施策も変わる。
「各チャネルやプラットフォームによってお客様が違うと認識している。通販のお客様であればどういう商品を買いやすいか、お店ではどういうサービスを求めているのか、また外部のプラットフォームではどういうお客様が来ているのか、それらによって差別化戦略をとろうとしている。お客様が異なるそれぞれの売り場に合わせた商品で差別化すれば、売り場ごとに喧嘩することはない。どこの売り場を優先するかではなく、どの売り場のお客様も優先する。これまで、国内ではプラットフォームやチャネルによって大きな変化はつけていなかったが、商品面だけでなく広告の打ち方も含めて差別化しないとお客様には届かない」
――就任後の2カ月で取り組んできたことは。
「仮説が正しいかどうかを実際の数字を見て分析し、検証しているところだ。例を挙げると、当社は約2000品番を展開しているが、その中で売り上げがほとんどない商品がどれくらいあるのか調べてみると、ある程度答えが見えてくる。売れない理由は見にくいとか、探しにくい、あるいは場所が悪いなどいろいろな理由がある。そうであれば2000品番もいらないのではないか」
――スマホユーザーが多い。
「スマホサイトでは見ることができる商品数は限られる。品番数や見せたい商品の量をコントロールすることが大事になる。その次にすることは、どうすれば楽しく疲れずに探してもらえるかを考えることだ」
――今期の品番数は。
「今期はすでに生産計画が進んでいるため減らないが、いまある商品を整理すれば捨てる商品と足さなければいけない商品が出てくるだろう。いったんは2000品番から絞っていく。各プラットフォームに共通で置く商品と、売り場限定の商品を展開することでお客様の買う理由ができる。各売り場を分析しそれぞれの役割を明確にする。当社の売上高構成比は自社ECが50%、実店舗が40%、卸が10%と自社ECが強い。それを補完する形で外部プラットフォームの利用方法も考えていく」
――商品の探しやすさの部分は。
「そこは少し先になる。カタログには見る楽しさがあるが、スマホサイトは離脱されやすい。カタログの面白さをスマホサイトにどう移植するかが大事で、仕組みの部分に投資が必要になるかもしれない」
――通販チャネルと実店舗で強化する商品は。
「機能商品なので実際に着用して確認したいというお客様は実店舗に来店されるため、お店では機能性の高い商品を強化する。通販であれば写真がいいとか選びやすいとか、買い方にも違いがあるためデザイン性の高い商品を展開するというやり方もある。それぞれお客様の顔が違うだけでなく欲しいものも違う。一度買ったことのある商品は通販でいいという傾向もあり、定番商品は通販で、新しい商品はお店でという分け方もできる」
――実店舗の提案力については。
「お店の品ぞろえはそこまで豊富ではないが、3カ月ごとにリフレッシュして新しい商品に切り替えている。提案力を高め、もっと楽しい売り場にするために、インナーに限らずいろいろなアイテムを追加していくことも考えている」
――カタログに必要な変化は。
「カタログの作り方には自信を持っている。カタログのページネーションとしても、読み進めるためのコンテンツをたくさん持っている。課題はそれを利用してECの売上高をどう上げるかだ。そのときにEC用のコンテンツがいるだろうし、カタログの内容にも変化が必要かもしれない」
――今後の品番数についての考え方は。
「通販のビジネスは品番数が多いからダメというわけではない。2000品番を一度絞るが、また次に伸ばそうとするときは増やすしかない。そのときに『探しやすさ』という機能を持っているかどうかだ。品番数が増えれば規模を拡大できるチャンスもある。それが品種なのかブランドなのかはターゲットをしっかり分析して考えていく」(つづく)