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百貨店通販の現状と成長への一手は?㊦  髙橋豊・高島屋クロスメディア事業部長に聞く

2014年 9月18日 10:07

 2-1.jpg前号に引き続き、高島屋の髙橋豊クロスメディア事業部長に各通販チャネルの課題と成長への一手について聞いた。



──カタログでファッション商材を強化する。
 
 「ゼネラルカタログで婦人ファッションのページを増やす。アクティブ顧客を分析するとファッション商材を購入している消費者が多く、ファッションを軸にカタログを強化すべきと強く感じる。やはりカタログで利益を出すにはファッションが強くなければダメだ
 
──今下期はカタログも増収になるのか。
 
 「婦人ファッションの宣伝費効率はリビングや食料品に劣るため、ファッションのページを増やすと売り上げは一時的に減るが、利益は増える。顧客のグループインタビューを実施して生の声をもう一度聞き直したが、やはりファッションへの関心は高い。また、ゼネラルカタログの顧客層は60代半ばから70歳くらいが中心だが、当社が思い描く顧客像と少しずれていて、実際には山歩きをしたり、スポーツジムに通ったりとアクティブな消費者が多い。そうしたアクティブミセスに合った商品を増やしていきたい
 
──ネット販売の課題については。
 
 「売り上げ計画に届いていないことが課題だ。上期(3~8月)の『高島屋オンラインストア』の売上高はギフトなどが好調で前年同期比25%程度伸びているが、期待されている数値には5ポイント程度足りない。『セレクトスクエア』は下期にブランド数を増やす。オムニチャネル化のスピードを上げるためにも百貨店店頭とのMD共通化率を高める必要があるし、販促費も投下する
 
 「また、『高島屋オンラインストア』からの送客にも力を入れている。現状、『セレクトスクエア』の売り上げに占める高島屋カード会員の比率は8%くらい。これをもっと増やしたい。百貨店通販サイトからはバナーを貼って送客しているが、その内容も、例えば『50%オフセール実施中』という告知が高島屋の顧客に本当に響くのか考えないといけない。もっと顧客が求めるブランド軸のバナーに変えていく必要がある
 
──競合のECモールも力をつけている。
 
 「『セレクトスクエア』単体で競合と戦っていくことにはならない。百貨店が目指すオムニチャネル化の中で消費者とのタッチポイントを増やし、全社で顧客生涯価値を高める。そのためには店頭で扱うブランドをネットでも購入できる環境を作ることが大事。その次のフェーズでは、商品データベースの統合や倉庫在庫管理システムにも手をつけることになる
 
──百貨店通販サイトのギフトは好調だ。
 
 「上期は、電話で相談に乗る『コンシェルジュサービス』をテストした。繁忙期の6月後半から7月にかけてサイト上にフリーダイヤルを記載し、消費者の問い合わせを受けところ、総じて好評だった。サイトの操作に関する質問や店頭在庫の確認など多いときで1日40件の問い合わせがあった。百貨店に必要なサービスとして下期はもう少し告知を強化し、対応できる日数を増やしたい。顧客の声をサイト改修の際の参考にもする
 
──食品宅配事業の出だしは。
 
 「かなり積極的な予算を組んでおり、数字としては苦戦している。まだ名簿を作っている段階だ。4割弱が新規客だが、もっと横浜店や日本橋店、玉川店などの店頭顧客を獲得しないといけない。店頭の媒体物を利用した訴求も必要だ。百貨店品質の商品をそろえていかないと顧客開拓にはつながらないため、食料品宅配のバイヤーは当事業部ではなく高島屋MD本部の所属とし、デパ地下の商品を提供しやすくしたところだ
 
──経営指標は。
 
 「食品宅配は毎月のリピート率40%が目標だが、その水準には届いていない。ただ、平均客単価は約7700円で、計画より高い金額で推移しており、優良顧客が利用しているのは確かだ
 
──百貨店の宅配事業は成功事例が少ない。
 
 「オムニチャネルのひとつの形として見るべき。現状、展開エリアは1都3県のため商圏は限られるが、顧客には実店舗か宅配かツールとして利便性の高い方を選んでもらい、高島屋のファンでいてもらうことが大事だ」  (おわり)


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