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千趣会 地デジ対応の通販展開手法確立へ、とちぎテレビとデジタル放送通販

2009年11月20日 11:48

 千趣会は、とちぎテレビと組み、デジタル放送を活用したテレビ通販を始めた。2011年の地上波デジタル放送完全移行を睨んだ取り組みで、夕方の地元情報番組内に専用コーナーを設け、動画での商品紹介と並行して、デジタル放送で商品の詳細やレビューなどの情報を提供。顧客の購買行動を検証する。同社では、地デジ完全移行が大きな商機になると判断、その特性を活かした商品の見せ方や購買意欲喚起の手法などの早期確立を目指す構えだ。

 千趣会では、07年にプロジェクトチームを設け、ユビキタス時代に対応した事業展開の方向性を検討してきた。その中で11年の地上波デジタル放送への移行に伴う環境変化が商機になるとの方向性が示されたことを受け、08年から関連情報の収集を推進。さらに実証実験として、とちぎテレビと連携によるテレビ通販の展開に乗り出した。一方のとちぎテレビ側では、広告収入が減少傾向にある中、データ放送を活用した新たな事業展開を検討。データ放送を活用したテレビ通販の展開を構想していた千趣会と思惑が一致し今回の取組みに至った。

 今回の実証実験は、とちぎテレビが毎週月曜から金曜の帯で夕方六時から放映している情報番組「イブニング6」内に、「ハローベルメゾン!」の名称で5分間の通販コーナーを設けて展開。同コーナーは毎週水曜日の夕方6時30分頃からの放映で、商品紹介の映像と合わせ、データ放送で商品に関連した情報を提供するというのが基本的な構成だ。

 商品紹介の映像は栃木県内にある「ベルメゾンマーケット宇都宮店」内で撮影し、同店の店長ととちぎテレビのアナウンサーの掛け合で商品の機能などを紹介。「イブニング6」の別の曜日を担当するアナウンサーを起用することで、視聴者が親近感を持てるようにした。

 デジタル放送では、商品詳細やショッピングガイド、カタログ請求などの情報を提供するほか、「ベルメゾンネット」に寄せられた顧客からの商品レビューを紹介。また、「イブニング6」の放送中にテレビリモコンの「Dボタン」を押すと、画面両脇に「ハローベルメゾン!」の告知を表示するといった仕掛けも盛り込んでいる。

 特に、今回の実証実験で力を入れているのは、データ放送での商品レビューの提供。既にネット販売で顧客の購買意欲喚起の効果が実証されているが、これをデジタル放送テレビ通販に移植した場合に、顧客がどのような購買行動をとるのかを検証していく。

 今回のテレビ通販では、電話とテレビ画面に表示するQRコードを使った携帯電話からの注文に対応するが、携帯電話の場合、テレビリモコンの「Dボタン」を押してデジタル放送を表示、携帯電話のカメラでQRコードを撮影し、注文サイトにアクセスするという流れになる。顧客が実際に商品を注文するまでの手順が多いため、商品紹介の段階で強い購買意欲を喚起する必要があり、その一ツールとして商品レビューを活用する狙いだ。

 「ハローベルメゾン!」で扱う商品(毎週2商品を紹介)についても、「レビューが多い商品を選定している」(EC事業開発部)。11月4日の1回目放送では「高さが変わる子供クッション」と「どっちも花柄サンダル」、11日の2回目放送では浴室周りの商品を紹介しているが、いずれも、レビューが多い商品だという。

 一方、今回の取り組みは、リアル店舗とも連動しており、この一環として「ベルメゾンマーケット宇都宮店」にテレビ通販で紹介した商品の専用売場を設置。これまで店舗への来店促進策はチラシがメーンとなっていたが、テレビによる店舗への誘導効果も検証する。

 千趣会はこれまで、カタログ、店舗、パソコン、モバイルを連携させる形で、商品の展示機能や受注機能を提供してきたが、第5の柱としてテレビモニターの活用を推進。現状、放送回数がまだ少なく全体的な傾向は把握しきれていないが、これまでの展開では、「番組放送中に携帯電話からの注文があり、テレビを見た顧客が週末に店舗へ来店するケースもあった」(同)という。今後、商品紹介画像とデータ放送の情報量のバランスや商品価格の表示方法など、より踏み込んだ検証作業を行っていく考えだ。
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