フジ・メディア・ホールディングスは、第三者委員会の報告を受け、コンプライアンス体制の強化や企業風土改革に取り組む。女性トラブルへの対応をめぐり、フジテレビのCM中止が相次いでいた。大手各社は再発防止策の実施状況が確認された段階を、CM再開検討の基準にする。多くは、早くても6月以降になりそうだ。



 
　フジテレビ問題は、大手スポンサーのトヨタ自動車や日本生命保険がCM中止を決断したことで、対応が各社に広がった。判断は、一般的に大手の対応を受け、横並びで進むケースが多い。大手の判断が再開にも影響する。トヨタ自動車は、再開のめどに「お客様や関係先の共感が得られる形で行う」とする。

　通販事業を行う大手メーカーは、「調査が十分に行われ、事実が明らかにされた上で、適切な対応がなされるまで中止の方針を継続」(食品・飲料A社)、「現時点で対応に変更はない」(食品・飲料B社)、「4月から再開の予定はない」(製薬C社、30日時点)とする。そのほかの通販大手も4月再開は予定していない。

　5月以降は、「第三者委で明らかにされた人権侵害における被害者救済、類似事案の事実解明、人権方針に則ったガバナンス体制の整備や再発防止策、その実効性を確認する。再開は、確認できた段階で検討」(A社)、「フジテレビが今後どのように人権問題に対応していくか、さらにそれが実現されているかを確認した後に検討」(A社)、「未定」(C社)などと回答した。

　フジ・メディア・ホールディングスは、第三者委の指摘を受け、今年6月までに、経営層による人権尊重に関する意志表明、実効性確保に向けた体制強化、全社員アンケートによる社内課題の把握、研修実施等を行う。

　企業風土改革と並行して進めるが、6月までは人権方針や各種規定の見直しが中心。年内は人権方針の社内周知や啓発活動、進捗を受けた見直しを進める。大手メーカーからは、経営体制の刷新に、「新体制のもと、被害者救済と人権方針に沿った適切な取り組みが行われることを期待したい」といった声が聞かれた。

　フジテレビ問題では、人権方針を持つ大手、中堅・中小の通販企業で対応が割れている。上場企業など大手は、イメージ悪化の懸念から中止。通販企業は、レスポンス等を判断基準に継続する企業が多い。