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ニュースの断層・大阪府 薬ネット販売で刑事告発、薬局の1類ネット販売「対面と同等」主張

2011年 4月28日 19:19

 対面販売が義務付けられている第1類医薬品などをネット販売していたとして大阪府は4月19日、三牧ファミリー薬局を運営する光漢堂を大阪府枚方警察署に告発したと発表した。再三にわたる改善指導に、同社が従わなかったことから刑事告発に踏み切ったもので、医薬品ネット販売に関する刑事告発は、2009年6月の改正薬事法施行後、初めてのケースだという。

 三牧ファミリー薬局は、光漢堂が大阪府から薬局開設許可を得て運営する薬局で、1995年11月から医薬品のネット販売を開始。現状、ネット会員数は約22万人で、年商約8億円のうち、「ほとんどがネット販売の売り上げ」(三牧敬子取締役)。改正薬事法施行以降、ネット販売は会員数、売り上げとも徐々に拡大しているという。

 大阪府によると、刑事告発の直接的な要件は、「第1類医薬品と医療用医薬品のネット販売」(健康医療部薬務課医薬品流通グループ)。09年12月と10年7月の2回にわたり改善指導を行ったが、これに従わなかったため刑事告発したもので、このほかに、経過措置で過去に購入履歴のある離島居住者や継続利用者に限定されている第2類医薬品を新規顧客に販売していた可能性もあると見ている。

 一方の光漢堂では、大阪府の改善命令に対し改善箇所を報告するとともに、弁護士と相談し異議申し立てをしていたとし、改正薬事法の施行で禁止された第1類医薬品のネット販売を続けてきた理由として、対面販売の矛盾を指摘する。

 現行の医薬品販売制度で第1類医薬品は、薬剤師等の専門家による対面販売を義務付けるが、実際には利用者本人が高熱で外出できない場合などは、代理人が購入することもできる。

 これに対し光漢堂側は、問診票などを使い利用者本人から必要な情報を収集して薬剤師が対応するネット販売の仕組みは、対面と同等以上の安全性確保ができるとの考え方。「対面の定義が曖昧」(三牧取締役)で、自社の行う医薬品ネット販売は、"ネットによる対面販売"と捉えているわけだ。

 無論、理由はどうあれ、現行の医薬品販売制度で禁止されている第1類医薬品のネット販売を行うのは行き過ぎで、ルールを守り医薬品ネット販売を行う他のネット販売事業者の存在を考えても、同社の対応に問題があるのは明らか。

 一方で今回の事件は、医薬品ネット販売に対する顧客ニーズの根強さや、中小単独薬局にとってネッ
ト販売の重要性をうかがわせる側面もある。同様の事件を起こさぬためにも厚労省による医薬品通販の制度整備に向けた検討の早期開始が望まれるところだ。

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