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梅酒屋は、大阪・都島に酒店「酒高蔵」を構える、上田が運営している。酒店の3代目にあたる上田久雄社長が会社を継いだのは2000年のこと。ネット販売進出のきっかけとなったのは2000年代前半の焼酎ブーム。「飲食店に営業に行っても『珍しい焼酎を持ってきてくれ』という要望ばかりで、他のお酒を置いてもらう余地がない。例えば食前酒なら梅酒など、飲み分けできるのにもったいない」(上田社長)。
そこで、店で珍しい梅酒を提案したところ、女性客を中心に評判は上々だったという。「梅酒は女性やお酒の飲めない人でもたしなめる。意外と裾野が広いのだなと感じた」(同)ことから、06年3月に梅酒専門店を楽天市場にオープンした。
後発となるだけに、売れ筋商品だけを扱っていたのでは集客は難しい。梅酒というジャンルはニッチではあるものの、他店との差別化はできている。地元の大阪に近い和歌山は梅の産地。地元の酒蔵のオリジナル梅酒を扱えば反響はある、と考えた。上田社長は「『梅酒だけでは厳しいのでは』という声もあったが、需要はあると見込んでいた」と話す。
急成長の理由について、上田社長は「特別なことはしていない。とにかくおいしい梅酒を売ることを心がけてきた」と語る。販売する商品は、すべてスタッフで試飲してコメントを付けている。上田社長は「当たり障りのない感想でなく、きちんと自分の言葉で伝える姿勢が重要。お酒を飲んだことがない人にもイメージできる書き方を心がけている」という。また、店舗の接客ノウハウをネット販売に活かすなど、店舗があることが強みにもなっているようだ。
現在取り扱う商品は約250。このうち、50商品ほどがオリジナルだ。地域の特産品を使ったものなど、上田社長が各地の酒蔵を訪れて話を聞いているうちにアイデアが生まれることも多いという。
梅酒という商品の特性上、顧客層は女性が中心で、20~30代が多いのが特徴だ。近年は酒類の消費量が減少しているが、「酒好き」以外もターゲットとしているだけに。まだまだ伸びる余地があるといえる。
上田社長は「梅酒があるライフスタイルを提案したい」と語る。例えば、オリジナル商品のラベルやパッケージは同社のデザイナーがデザインしたもの。顧客の中心である20~30代女性の生活スタイルを想像しながらデザインしているのだという。
今後は海外展開を視野に入れる。「リキュール類はどの国にもあるし、受け入れられる素地はある。日本の材料を使った安全な梅酒はアピールしやすいのでは」(上田社長)。まずはアンテナショップの活用などを考えているが、ネット販売を展開する可能性もあるという。
また、梅酒・リキュール類以外の酒類の取り扱いについては「顧客にとってコンセプトが分かりづらい店になってしまう」(上田社長)として、行わない方針だ。