「多く利用されているのはブログとツイッター」。通販新聞社がこのほど、通販実施企業を対象に「利用する販促手法」についてアンケートを実施したところ、「販促ツール」として、ブログとツイッターがほぼ同程度利用されていることが分かった。クーポン共同購入や動画サービスなど新しいサービスも続々登場している今、通販事業者にとって今後も「使える」サービスとは何か。調査結果を見ながら、今後を占ってみる。
ツイッター、7割が利用 アンケート
では、まず「新たな販促手法への取り組み」として、通販実施各社に現在活用している販促手法について質問。「ブログ」「SNS」「ツイッター」などのソー
シャルメディアから「ユーチューブなどの動画共有サービス」「ユーストリームなどの動画配信サービス」といった動画サービスまで、実際に販促ツールとして
活用しているものを複数回答可で選択してもらい、集計結果をグラフ化した(
表①参照)。
アンケートの結果、「販促ツール」として通販事業者が最も利
用しているのは「ブログ」と分かった。全回答に占める割合は71・7%と多く、今や通販事業者にとって欠かせない販促ツールとして「定番」化している現状
が浮き彫りになった。「ブログ」はユーザーとコミュニケーションを取れると同時に新商品の紹介も行えるなど、多目的な活用ができる便利なツール。今回のア
ンケート項目の中では以前からある「古株」だが、依然、必須ツールとして利用されているようだ。
2位は「ツイッター」で、全回答に占める利用比率は「ブログ」とほぼ同程度の69・2%。ツイッターは一昨年末ごろから徐々に注目を集め、ドラマの効果などもあり、昨年に入って一気にブレイク。通販事業者もその高い速報性と情報伝播力に着目し、導入する動きが相次いだ。
まだ本格的に流行し始めてから1~2年足らずだが、顧客とのコミュニケーション、新商品の紹介・誘導、独自キャンペーン、リアルイベントや他のネットサー
ビスとの連動......などさまざまなシーンで活用できる利便性の高さから、早くも欠かせない「販促ツール」として定着したようだ。これまでの流れから、今後も
利用する企業は増加し続けると予想できるため、今年「最も利用される販促ツール」の最右翼と言えるかもしれない。
動画サービスが躍進 3
番目は、ミクシィやフェイスブックに代表されるコミュニティ型サービスの「SNS」。ただ、全回答に占める割合は41・2%と、「ブログ」や「ツイッ
ター」に比べるとだいぶ落ちる。これらのサービスに比べると開始するのに手間とコストがかかるのが一因と見られるが、ユーザーを「囲い込む」ツールとして
は高い効果が期待できるのも確か。海外SNSのフェイスブックを通販で活用する動きも一部で出始めており、今後も注目しておくべきツールだ。
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位は「ユーチューブなど動画共有サービス」(30・7%)。動画は商品を立体で見せることができるなどのメリットがあり、多くの説明が必要な商材では、特
に効果を発揮する。「ユーチューブ」など既存のサービスを活用することで手軽に開始できるため、近年通販事業者の利用が増加している。
また、注
目したいのは6位に「ユーストリームなど動画配信サービス」が10・2%で入っていること。これを足した「動画関連サービス」は40・9%となり、SNS
に迫る勢いだ。誰でもカメラとPCさえあれば「テレビ通販」ができる「ユーストリーム」は、まだ通販に利用しているのはネットプライスやケンコーコムなど
数社だが、「ツイッター」との連動もできるなど、高いポテンシャルを秘めている。これらの動画サービスが今年以降、大流行する可能性は高いだろう。
ツイッターは「商品誘導」が大多数
5位には「デジタルサイネージ」が12・8%で入った。時間や設置場所によって配信内容をコントロールできるため、消費者を"待ち伏せ"できるメディアと
して通販事業者からも徐々に注目を集め始めている。コマーシャル映像を流すテレビCMのような使われ方が今後、一般化するかどうか、注視しておくとよいか
もしれない。
そして7位が「クーポン共同購入サービス」。比率は5・1%と今回の選択肢の中では最も少なかったが、リクルートやUSENなど大
手も続々と参入するなど市場は拡大の一途を辿っており、今後、通販事業者の活用が増加するのは必至だ。まだ多くの企業は「様子見」の段階だが、差別化策の
ひとつとして検討する余地はありそうだ。
以上が、通販事業者が利用している販促手法の現状だが、では、ここで急速に普及しており、おそらく今年、最も利用されるであろう「ツイッター」の活用状況について詳しく見ていきたい。
ツイッターの活用方法について、各社に編集部が用意した複数の項目から選択してもらったところ、最多は「自社サイトで販売する商品への誘導」で、全回答数
に占める割合は79・1%と、約8割の通販事業者がツイッター経由で商品紹介を行っていることが分かった(
表②参照)。
2番手は「フォロワー限定キャンペーンの告知」で45・8%。次に「質問窓口など顧客とのコミュニケーション」(25・0%)、「その他」(20・8%)が続く。また、目的をひとつに限定せず、複数のアカウントを使い分ける手法を採用しているケースもあるようだ。
"フェイスブック"の可能性は?
では、肝心のツイッターの効果はどうだろうか。アンケートの回答は、「効果はある」は29%、「どちらともいえない」が63%、「効果を感じない」が8%
という結果だった(
表③参照)。ツイッター経由での販売以外は効果が可視化しづらいため、「効果はあると思うがはっきりとは分からない」というのが各
社の本音のようだ。
具体的な成果の例としては、「数量限定商品が即日完売した」「コンバージョンレートが高い」など直接販売に結びつくものや、「フォロワーからのリクエストで新分野とのコラボレーションができた」など新企画に結びつくものがあった。
最後に、今年国内でのブレイクが予想される海外SNS最大手の「フェイスブック」について。
今後の活用について聞いたところ、半数以上が現時点では「あまり興味がない」(55%)と回答した(表④参照)。
次に「活用したいと考えている」(28%)、「すでに活用している」(17%)。ただ、「活用したい・している」という肯定的な意見も45%と半数近くになるため、国内での利用者の母数が増加すれば、ツイッターのように一気に活用が進む可能性もある。
◇記者の視点◇〝フェイスブック〟に注目 今回調査では「利用されている販促ツール」の上位3つをブログ、ツイッター、SNSの「3大ソーシャルメディア」が独占。今や"くちコミ"が通販では欠かせない販促手法となっていることが分かった。そこで、今後、こうした「くちコミを誘発する販促ツール」がどうなるか、その動向を大まかに予想してみたい。
まず、より利用が進むと思われるのはツイッター。手軽にリアルタイムの情報を配信でき、他のソーシャルメディアとの連携も可能で応用が利くため、「代表的な販促ツール」として定着すると考えられる。コミュニティ型の「SNS」も、代表格のミクシィが簡単に商品などを「くちコミ」できる「チェックボタン」を導入するなど活発な動きを見せており、利用が広がる可能性が高いだろう。
そして、SNSで最も注目したいのは海外最大手の「フェイスブック」だ。ミクシィ同様、簡単にくちコミできる機能を実装しており、楽天やヤフー、ニッセンなどの大手企業も専用ページを開設した。まだ通販事業者の利用は多くないが、国内におけるユーザー数が拡大すれば「最有力」な販促ツールとなる可能性もある。今年はこれらのサービスの動向を注視しておく必要があるだろう。
ツイッター、7割が利用
アンケート では、まず「新たな販促手法への取り組み」として、通販実施各社に現在活用している販促手法について質問。「ブログ」「SNS」「ツイッター」などのソー シャルメディアから「ユーチューブなどの動画共有サービス」「ユーストリームなどの動画配信サービス」といった動画サービスまで、実際に販促ツールとして 活用しているものを複数回答可で選択してもらい、集計結果をグラフ化した(表①参照)。
アンケートの結果、「販促ツール」として通販事業者が最も利 用しているのは「ブログ」と分かった。全回答に占める割合は71・7%と多く、今や通販事業者にとって欠かせない販促ツールとして「定番」化している現状 が浮き彫りになった。「ブログ」はユーザーとコミュニケーションを取れると同時に新商品の紹介も行えるなど、多目的な活用ができる便利なツール。今回のア ンケート項目の中では以前からある「古株」だが、依然、必須ツールとして利用されているようだ。
2位は「ツイッター」で、全回答に占める利用比率は「ブログ」とほぼ同程度の69・2%。ツイッターは一昨年末ごろから徐々に注目を集め、ドラマの効果などもあり、昨年に入って一気にブレイク。通販事業者もその高い速報性と情報伝播力に着目し、導入する動きが相次いだ。
まだ本格的に流行し始めてから1~2年足らずだが、顧客とのコミュニケーション、新商品の紹介・誘導、独自キャンペーン、リアルイベントや他のネットサー ビスとの連動......などさまざまなシーンで活用できる利便性の高さから、早くも欠かせない「販促ツール」として定着したようだ。これまでの流れから、今後も 利用する企業は増加し続けると予想できるため、今年「最も利用される販促ツール」の最右翼と言えるかもしれない。
動画サービスが躍進
3 番目は、ミクシィやフェイスブックに代表されるコミュニティ型サービスの「SNS」。ただ、全回答に占める割合は41・2%と、「ブログ」や「ツイッ ター」に比べるとだいぶ落ちる。これらのサービスに比べると開始するのに手間とコストがかかるのが一因と見られるが、ユーザーを「囲い込む」ツールとして は高い効果が期待できるのも確か。海外SNSのフェイスブックを通販で活用する動きも一部で出始めており、今後も注目しておくべきツールだ。
4 位は「ユーチューブなど動画共有サービス」(30・7%)。動画は商品を立体で見せることができるなどのメリットがあり、多くの説明が必要な商材では、特 に効果を発揮する。「ユーチューブ」など既存のサービスを活用することで手軽に開始できるため、近年通販事業者の利用が増加している。
また、注 目したいのは6位に「ユーストリームなど動画配信サービス」が10・2%で入っていること。これを足した「動画関連サービス」は40・9%となり、SNS に迫る勢いだ。誰でもカメラとPCさえあれば「テレビ通販」ができる「ユーストリーム」は、まだ通販に利用しているのはネットプライスやケンコーコムなど 数社だが、「ツイッター」との連動もできるなど、高いポテンシャルを秘めている。これらの動画サービスが今年以降、大流行する可能性は高いだろう。
ツイッターは「商品誘導」が大多数
5位には「デジタルサイネージ」が12・8%で入った。時間や設置場所によって配信内容をコントロールできるため、消費者を"待ち伏せ"できるメディアと して通販事業者からも徐々に注目を集め始めている。コマーシャル映像を流すテレビCMのような使われ方が今後、一般化するかどうか、注視しておくとよいか もしれない。
そして7位が「クーポン共同購入サービス」。比率は5・1%と今回の選択肢の中では最も少なかったが、リクルートやUSENなど大 手も続々と参入するなど市場は拡大の一途を辿っており、今後、通販事業者の活用が増加するのは必至だ。まだ多くの企業は「様子見」の段階だが、差別化策の ひとつとして検討する余地はありそうだ。
以上が、通販事業者が利用している販促手法の現状だが、では、ここで急速に普及しており、おそらく今年、最も利用されるであろう「ツイッター」の活用状況について詳しく見ていきたい。
ツイッターの活用方法について、各社に編集部が用意した複数の項目から選択してもらったところ、最多は「自社サイトで販売する商品への誘導」で、全回答数 に占める割合は79・1%と、約8割の通販事業者がツイッター経由で商品紹介を行っていることが分かった(表②参照)。
2番手は「フォロワー限定キャンペーンの告知」で45・8%。次に「質問窓口など顧客とのコミュニケーション」(25・0%)、「その他」(20・8%)が続く。また、目的をひとつに限定せず、複数のアカウントを使い分ける手法を採用しているケースもあるようだ。
"フェイスブック"の可能性は?
では、肝心のツイッターの効果はどうだろうか。アンケートの回答は、「効果はある」は29%、「どちらともいえない」が63%、「効果を感じない」が8% という結果だった(表③参照)。ツイッター経由での販売以外は効果が可視化しづらいため、「効果はあると思うがはっきりとは分からない」というのが各 社の本音のようだ。
具体的な成果の例としては、「数量限定商品が即日完売した」「コンバージョンレートが高い」など直接販売に結びつくものや、「フォロワーからのリクエストで新分野とのコラボレーションができた」など新企画に結びつくものがあった。
最後に、今年国内でのブレイクが予想される海外SNS最大手の「フェイスブック」について。
今後の活用について聞いたところ、半数以上が現時点では「あまり興味がない」(55%)と回答した(表④参照)。
次に「活用したいと考えている」(28%)、「すでに活用している」(17%)。ただ、「活用したい・している」という肯定的な意見も45%と半数近くになるため、国内での利用者の母数が増加すれば、ツイッターのように一気に活用が進む可能性もある。
◇記者の視点◇
〝フェイスブック〟に注目
今回調査では「利用されている販促ツール」の上位3つをブログ、ツイッター、SNSの「3大ソーシャルメディア」が独占。今や"くちコミ"が通販では欠かせない販促手法となっていることが分かった。そこで、今後、こうした「くちコミを誘発する販促ツール」がどうなるか、その動向を大まかに予想してみたい。
まず、より利用が進むと思われるのはツイッター。手軽にリアルタイムの情報を配信でき、他のソーシャルメディアとの連携も可能で応用が利くため、「代表的な販促ツール」として定着すると考えられる。コミュニティ型の「SNS」も、代表格のミクシィが簡単に商品などを「くちコミ」できる「チェックボタン」を導入するなど活発な動きを見せており、利用が広がる可能性が高いだろう。
そして、SNSで最も注目したいのは海外最大手の「フェイスブック」だ。ミクシィ同様、簡単にくちコミできる機能を実装しており、楽天やヤフー、ニッセンなどの大手企業も専用ページを開設した。まだ通販事業者の利用は多くないが、国内におけるユーザー数が拡大すれば「最有力」な販促ツールとなる可能性もある。今年はこれらのサービスの動向を注視しておく必要があるだろう。