.jpg)
ダイアモンドヘッドは昨年10月1日、同社が存続会社、SCSKプレッシェンドを消滅会社とする吸収合併を行い、新生ダイアモンドヘッドとしてスタートを切った。合併によって提供するサービスの幅が広がり、ECサイトの構築から撮影、デザイン、ロジスティクス、カスタマーサポートまでを一気通貫で伴走する。現在の売上高100億円規模を2030年までに数倍に伸ばすという同社の寺山太郎執行役員アカウントサービス部門担当(写真㊧)と、山岸祥成アカウントサービス部長(同㊨)に合併の経緯や新生ダイアモンドヘッドの強みなどを聞いた。
――ダイアモンドヘッドとSCSKプレッシェンドは古くから付き合いがある。
寺山「ダイアモンドヘッドとSCSKプレッシェンド(以下、プレッシェンド)とは10年以上前からの付き合いだ。撮影業務やサイト制作の協業からスタートし、共同での営業活動をしてきた。お互いにファッション・アパレル領域を得意として、それぞれASP型のECプラットフォームやEC周辺業務サービスを提供していた。その後、両社にて、現在のSaaS型ECプラットフォーム『F.ACE(フェイス)』を共同開発し、17年に提供を開始した」
「また、両社の関係性のさらなる強化として、20年にSCSKがダイアモンドヘッドに出資するに至った。その後もロジスティクスやカスタマーサポート機能の共同化などを進めてきた」
――統合のメリットは。
寺山「統合メリットとしては、大きく3点あると考えている。一つ目は、お互いの強みの領域を補完することにより、提供サービスが拡張した点だ。ダイアモンドヘッドは、撮影、EC周辺領域のSaaSサービス、デザインの領域が強く、プレッシェンドは大規模のECシステム開発、ロジスティクスが強い」
「二つ目として、両社で保有していた機能を統合することによりさらなる効率化が図れることだ。例えば、カスタマーサポートやロジスティクス、システムインフラなどがこれに該当する」
「三つ目は、クロスセルが推進できることだ。同じファッション・アパレル業をターゲットにしているものの、顧客の重複は限定的で、その効果は今後も期待できる」
――合併前の準備については。
寺山「昨年4月末に合併に向けた基本合意の上、約5カ月間かけて準備を進めてきた。従前より協業関係にあったこと、事前の協議を重ねていたこともあり、双方の理解が進んでいたため、合併後の組織を先に決めた上で、PMI(Post Merger Integration=合併後の統合プロセス)を推進した。結果、組織機能に関しては、完全に統合した形で新会社の運営をスタートしている」
――合併によって事業規模は。
山岸「事業としては売上100億円規模となり、約500名の社員に専門性を持つパートナーが加わる体制となった」
――新会社におけるサービスの提供方針は。
山岸「EC運営で求められるすべてのシステム・業務を利用型サービスとして提供可能だ。システムについては情報連携基盤などを含めた広範囲な機能をSaaS化し、業務についてはウェブデザイン、マーケティング、撮影、バックオフィス(カスタマーサポート、オペレーション、ロジスティクス)を標準化したシェアリングプロセスとしてサービス化している」
「市場の変化に対応した高付加価値な仕組みを最適なコストで、タイムリーに提供し、顧客のビジネス目標の実現に〝共走〟することを目指している」
――コロナ禍以降、ファッション・アパレル企業のニーズはどう変化しているか。
山岸「顧客より求められるサービスは多岐に渡るが、大きく二つの領域で引合いが増加している」
「一つ目は、ECプラットフォームのリプレイスとして『F.ACE』への引合いだ。顧客のリプレイス理由は、システム老朽化が主な理由だが、システム更新と同時に店舗とEC連携、いわゆるOMOに関する相談も増えている。OMOについては、各社の成熟度が異なっている。例えば、店舗在庫表示や会員アプリ導入にとどまっており、期待した成果が出せずに悩んでいる企業も多いと認識している。当社が持つファッション・アパレル領域のOMO事例、ノウハウを付加価値として顧客に提案していきたい」
「二つ目は、より専門性が高い業務領域における委託ニーズが高まっている。具体的には、EC事業の成熟化の過程において、スタジオ撮影やカスタマーサポートの内製化を進めていたものの、より高い品質を求め、当社にご相談頂くケースが増えている。改めて、当社の高いサービス品質をご評価頂き、採用されている」
――新領域のサービスにも取り組む。
山岸「AIを活用したEC運用の業務効率化を図る『aico(アイコ)』や、デジタルオーダーメイドサービス『オンプリ』をスタートする。『aico』は〝EC運用は、AIでもっとスマートに。〟をコンセプトに、EC運営で手間のかかる受注管理やカスタマーサポート業務、集客業務、分析業務、撮影業務などについてAI活用で業務負荷を軽減することを目指している。テクノロジー先行型ではなく、本当に使えるAIを見極めたい。当社は、自社で撮影スタジオやカスタマーサポートなどの現場を持っているので、エンジニアが現場で会話しながら業務の効率化につながるAI活用を進めている」
「一例を挙げると、通販サイトのモデル着用画像に関するスペックの入力作業といった業務負担を軽減するために、画像認識AIで身長を入力する手間を省くことができる」
――「オンプリ」については。
山岸「『オンプリ』は、Tシャツやバッグ、タオルなどのオリジナルグッズを必要な分だけ作るオンデマンドプリントサービスで、4月にスタートする予定だ。オンラインストアで商品を選択し画面上でデザインを行い、数量を決めて注文すると、当社倉庫でプリントして届ける」
――「オンプリ」の将来性は。
山岸「一般消費者が好きなデザインの商品を購入するだけでなく、自社で漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターの知的財産権を持っている企業とコラボレーションする展開も考えている。また、この取組みで培ったノウハウを今後の当社サービスにも活かす予定だ」
――新生ダイアモンドヘッドとして大事にしていることは。
寺山「新会社のフィロソフィーとして『新しい買い物を創造し 人と地域と社会をつないでいく』、ビジョンとして『Create New Fitting 人とひと、人とモノとの新たな出会いを彩る』と定義している」
「自社の視点だけでなく、身近な人々や地域、クライアント、顧客を含む広い社会、現代を生きる人々の目線で新しい風潮や兆しを見つけ出し、自社の技術力と推進力を活かして、その将来と未来を共に創り出し、分かち合っていけるよう取り組んでいきたい」
――今後の売上などの目標は。
寺山「今ある事業を伸ばすだけでなく、外部の類似事業や関連サービスを取り込むことも視野にあり、100億円規模の売上高を2030年までに数倍に成長させたい」
――ダイアモンドヘッドとSCSKプレッシェンドは古くから付き合いがある。
寺山「ダイアモンドヘッドとSCSKプレッシェンド(以下、プレッシェンド)とは10年以上前からの付き合いだ。撮影業務やサイト制作の協業からスタートし、共同での営業活動をしてきた。お互いにファッション・アパレル領域を得意として、それぞれASP型のECプラットフォームやEC周辺業務サービスを提供していた。その後、両社にて、現在のSaaS型ECプラットフォーム『F.ACE(フェイス)』を共同開発し、17年に提供を開始した」
「また、両社の関係性のさらなる強化として、20年にSCSKがダイアモンドヘッドに出資するに至った。その後もロジスティクスやカスタマーサポート機能の共同化などを進めてきた」
――統合のメリットは。
寺山「統合メリットとしては、大きく3点あると考えている。一つ目は、お互いの強みの領域を補完することにより、提供サービスが拡張した点だ。ダイアモンドヘッドは、撮影、EC周辺領域のSaaSサービス、デザインの領域が強く、プレッシェンドは大規模のECシステム開発、ロジスティクスが強い」
「二つ目として、両社で保有していた機能を統合することによりさらなる効率化が図れることだ。例えば、カスタマーサポートやロジスティクス、システムインフラなどがこれに該当する」
「三つ目は、クロスセルが推進できることだ。同じファッション・アパレル業をターゲットにしているものの、顧客の重複は限定的で、その効果は今後も期待できる」
――合併前の準備については。
寺山「昨年4月末に合併に向けた基本合意の上、約5カ月間かけて準備を進めてきた。従前より協業関係にあったこと、事前の協議を重ねていたこともあり、双方の理解が進んでいたため、合併後の組織を先に決めた上で、PMI(Post Merger Integration=合併後の統合プロセス)を推進した。結果、組織機能に関しては、完全に統合した形で新会社の運営をスタートしている」
――合併によって事業規模は。
山岸「事業としては売上100億円規模となり、約500名の社員に専門性を持つパートナーが加わる体制となった」
――新会社におけるサービスの提供方針は。
山岸「EC運営で求められるすべてのシステム・業務を利用型サービスとして提供可能だ。システムについては情報連携基盤などを含めた広範囲な機能をSaaS化し、業務についてはウェブデザイン、マーケティング、撮影、バックオフィス(カスタマーサポート、オペレーション、ロジスティクス)を標準化したシェアリングプロセスとしてサービス化している」
「市場の変化に対応した高付加価値な仕組みを最適なコストで、タイムリーに提供し、顧客のビジネス目標の実現に〝共走〟することを目指している」
――コロナ禍以降、ファッション・アパレル企業のニーズはどう変化しているか。
山岸「顧客より求められるサービスは多岐に渡るが、大きく二つの領域で引合いが増加している」
「一つ目は、ECプラットフォームのリプレイスとして『F.ACE』への引合いだ。顧客のリプレイス理由は、システム老朽化が主な理由だが、システム更新と同時に店舗とEC連携、いわゆるOMOに関する相談も増えている。OMOについては、各社の成熟度が異なっている。例えば、店舗在庫表示や会員アプリ導入にとどまっており、期待した成果が出せずに悩んでいる企業も多いと認識している。当社が持つファッション・アパレル領域のOMO事例、ノウハウを付加価値として顧客に提案していきたい」
「二つ目は、より専門性が高い業務領域における委託ニーズが高まっている。具体的には、EC事業の成熟化の過程において、スタジオ撮影やカスタマーサポートの内製化を進めていたものの、より高い品質を求め、当社にご相談頂くケースが増えている。改めて、当社の高いサービス品質をご評価頂き、採用されている」
――新領域のサービスにも取り組む。
山岸「AIを活用したEC運用の業務効率化を図る『aico(アイコ)』や、デジタルオーダーメイドサービス『オンプリ』をスタートする。『aico』は〝EC運用は、AIでもっとスマートに。〟をコンセプトに、EC運営で手間のかかる受注管理やカスタマーサポート業務、集客業務、分析業務、撮影業務などについてAI活用で業務負荷を軽減することを目指している。テクノロジー先行型ではなく、本当に使えるAIを見極めたい。当社は、自社で撮影スタジオやカスタマーサポートなどの現場を持っているので、エンジニアが現場で会話しながら業務の効率化につながるAI活用を進めている」
「一例を挙げると、通販サイトのモデル着用画像に関するスペックの入力作業といった業務負担を軽減するために、画像認識AIで身長を入力する手間を省くことができる」
――「オンプリ」については。
山岸「『オンプリ』は、Tシャツやバッグ、タオルなどのオリジナルグッズを必要な分だけ作るオンデマンドプリントサービスで、4月にスタートする予定だ。オンラインストアで商品を選択し画面上でデザインを行い、数量を決めて注文すると、当社倉庫でプリントして届ける」
――「オンプリ」の将来性は。
山岸「一般消費者が好きなデザインの商品を購入するだけでなく、自社で漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターの知的財産権を持っている企業とコラボレーションする展開も考えている。また、この取組みで培ったノウハウを今後の当社サービスにも活かす予定だ」
――新生ダイアモンドヘッドとして大事にしていることは。
寺山「新会社のフィロソフィーとして『新しい買い物を創造し 人と地域と社会をつないでいく』、ビジョンとして『Create New Fitting 人とひと、人とモノとの新たな出会いを彩る』と定義している」
「自社の視点だけでなく、身近な人々や地域、クライアント、顧客を含む広い社会、現代を生きる人々の目線で新しい風潮や兆しを見つけ出し、自社の技術力と推進力を活かして、その将来と未来を共に創り出し、分かち合っていけるよう取り組んでいきたい」
――今後の売上などの目標は。
寺山「今ある事業を伸ばすだけでなく、外部の類似事業や関連サービスを取り込むことも視野にあり、100億円規模の売上高を2030年までに数倍に成長させたい」