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楽天市場、グーグルやメタと協業して「外部向け広告」拡大 「ブランドサイト」も好調 

2024年10月10日 12:00

 楽天グループでは、検索連動型広告やターゲティング広告を活用し、外部から「楽天市場」への顧客取り込みに力を入れている。グーグルやメタと協業して展開しており、出店店舗の利用も拡大。ROAS(広告費用に対して得られた売上額)に関しても、楽天市場内で展開する広告商品と遜色のない数字が出ているようだ。

 グーグルと今年から展開している検索連動型広告「RPP-Expansion」は、グーグル検索画面のショッピング広告部分に、出店店舗が楽天市場のシステムを介して出稿できる商品画像付き広告。また、一昨年からメタと展開するターゲティングディスプレー広告「TDA-Expansion」は、フェイスブック、インスタグラムなどメタが提供するメディアにおいて、ユーザー個別の行動データに基づき、店舗の商品を自動的に組み合わせて配信する広告だ。

 いずれも、楽天市場内では取り込みにくい若年層などをターゲットとした広告メニューとなる。コマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業市場広告部の春山宜輝ジェネラルマネージャー(=㊤写真)は「楽天市場にいないユーザーを取り込めるということもあり、店舗はプロダクトの役割をすぐに理解してくれた。リリース直後からかなりの申し込みがあり、ROASも楽天市場内広告と遜色ないパフォーマンスを出す店舗もある」と説明。「楽天市場内広告の方がシェアは高いが、外部向け広告の成長率は当社の想像を超えるスピード」という。

 同社では10月7日、楽天市場の広告関連事業に関する記者発表会を開催。電通調査では、2023年度における物販系ECプラットフォーム広告費は2101億円だが、楽天によれば同社のシェアは50%強に達するという。楽天市場が、小売りとメディアが結びついた「リテールメディア」としての色を強めているのが好調の要因だ。「ECは単なる『売り場』でなく、ユーザーにとっては情報収集の場であり、メーカーにとっては情報共有の場になってきている」(春山ジェネラルマネージャー)。

 特に最近成果を挙げているのは、メーカーやブランドが、楽天市場内に「自社サイト」を設けることを可能にする「Brand Gateway(ブランドゲートウェイ)」。商品認知から購入までを連動させた一気通貫型サービスとなる。

 楽天市場の購買データを分析することでターゲット層を補足、楽天の広告商品を活用して楽天市場内のブランドサイトに送り込み、ポイントなどを活用して購入へと結びつける。さらにはリピーター化も促進する。「メーカーがコンテンツを使って消費者の態度変容を促したとしても、購入する場所は消費者によって違うし、離脱も起きてしまうのでなかなかデータの分析ができない。ブランドゲートウェイなら一気通貫で提供できる」(コマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業アカウントイノベーションオフィスの堀川直裕ジェネラルマネージャー(=㊦写真))。ブランドページからの送客先として、楽天市場内の店舗を指定するケースもあることから、楽天市場全体の流通額向上にもつながっている。

 成功事例も多数出ている。資生堂との取り組みでは、エイジングケアブランド「エリクシール」新商品発売の際、楽天市場内にブランドページを設置し、新商品の認知理解を促進。サンプリングも活用しながら、発売時に販促キャンペーンを実施することで、垂直立ち上げに成功した。

 またレゴジャパンは楽天市場のメディア性を高く評価。楽天市場では子供向けのプレセントを購入する消費者が多いことに着目、その際に「レゴ」を想起してもらうことを目的としてブランドページを設置した。さらに楽天イーグルスへの協賛や、楽天ガールズアワードへのブース出展、楽天ブックスとのタイアップ企画なども実施。楽天ユーザーがたくさんいる場において「レゴ」を想起してもらうための取り組みを継続的に行うことで、売り上げ増にもつながっているという。
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