EC・D2Cマーケティング支援を手がけるいつも.は、EC物流サービスの提供を行っている。「2024年問題」を背景に物流の社会的価値が高まる中、通販業界が認識すべき現状や、優先して取り組む対策などについて、同社の物流担当者であるフルフィルメント事業本部セールスグループのユニットマネージャーの青木美波氏に聞いた。
――物流に関わる今の大きなトレンドの一つとして2024年問題がある。
「これは、働き方改革の流れでトラックドライバーの労働時間に上限が課せられているもの。すでに聞こえている話としては、ドライバー不足の影響を受けて、倉庫への納品の予定が遅れ、受注に対して発送が遅れるということがしばしば起きているという。
例えば、受注後に製造元で名入れなど何らかの加工を行うサービスを取り入れている受発注型のEC企業の場合、これまでは、受注先から製造元に依頼をかけてからの配送されるリードタイムが『1日』とはっきり決まっていたが、その日にちを確定することができなくなり、流動的になったというケースがある。
名入れ加工の作業自体のスピードは変わっていなくても、最終的に顧客に対して配送日を明確に提示できなくなったということ。こうした場合、改善策の一つとしては、製造元から出荷元であるEC企業の物流拠点に横持ち配送をするという観点で、従来からある倉庫の場所を変えて横持ち配送のリードタイム自体を短くするということをまず行っている。
顧客は、商品が早く届いてほしいというよりかは、自分の生活リズムに合わせて受け取ることができるということを望んでいると思うので、こうしたことをしっかりと理解して対応できる出店者が成功するだろう」
――配送遅延が起きるということの意味。
「EC企業にとっては販売機会のロスにつながる大きな問題。この7月に楽天市場の新たな認証制度として『Rakuten最強配送』が始まったことに加え、その他のモールでもアマゾンでは『アマゾンプライム』、ヤフーショッピングでは『優良配送』という形で配送のクオリティの高さを認証する制度を取り入れている。
これらはモール内にある数多くの出店者の中から、消費者がユーザビリティの高い店舗を判断してもらうための一つの材料として提供しているもの。それぞれのモールで定める配送サービスの基準があるが、それに準拠するかしないかで売り上げで大きな差が出ることもある。非常に重要な指標であり、今のような遅延が生じてくると、こうした配送基準にも対応することができなくなることにもなる」
――24年問題の影響が如実に表れたと感じたのはいつ頃からか。
「日本の企業にありがちな話だが、変化が起きた時期としては期替わりや年度末などになる。やはり、日本の上場企業は大体、12月に傾向が出て、1、2月で方針を決めて4月からスタートをするというケースが多いからだろう。運送会社でも、年明けに『おおよそこれくらいのことが起きる』ということを荷主であるメーカーに伝えているからだと考えられる」
――クライアント企業からの声などは。
「今回、当社のクライアントでも消費財などを取り扱うある大手外資系メーカーから、今まではなかったような『幹線輸送の手配ができない』という相談を受けたことがあった。また、当社でアパレルの子会社を持っているが、そこで4トン車や10トン車の手配をする際、3月から1社当たり2万円の値上げになるという話も出てきている。
当社のクライアントからこの問題に関しての相談を受けたのはまだ全体の10%程度ではあるが、仮に日本全体の小売企業への納品として置き換えて考えるとなると、相当に大きな影響になるのではないか。値上げされた上で、幹線輸送のドライバーの確保が難しくなってきたということなので」(つづく)
――物流に関わる今の大きなトレンドの一つとして2024年問題がある。
「これは、働き方改革の流れでトラックドライバーの労働時間に上限が課せられているもの。すでに聞こえている話としては、ドライバー不足の影響を受けて、倉庫への納品の予定が遅れ、受注に対して発送が遅れるということがしばしば起きているという。
例えば、受注後に製造元で名入れなど何らかの加工を行うサービスを取り入れている受発注型のEC企業の場合、これまでは、受注先から製造元に依頼をかけてからの配送されるリードタイムが『1日』とはっきり決まっていたが、その日にちを確定することができなくなり、流動的になったというケースがある。
名入れ加工の作業自体のスピードは変わっていなくても、最終的に顧客に対して配送日を明確に提示できなくなったということ。こうした場合、改善策の一つとしては、製造元から出荷元であるEC企業の物流拠点に横持ち配送をするという観点で、従来からある倉庫の場所を変えて横持ち配送のリードタイム自体を短くするということをまず行っている。
顧客は、商品が早く届いてほしいというよりかは、自分の生活リズムに合わせて受け取ることができるということを望んでいると思うので、こうしたことをしっかりと理解して対応できる出店者が成功するだろう」
――配送遅延が起きるということの意味。
「EC企業にとっては販売機会のロスにつながる大きな問題。この7月に楽天市場の新たな認証制度として『Rakuten最強配送』が始まったことに加え、その他のモールでもアマゾンでは『アマゾンプライム』、ヤフーショッピングでは『優良配送』という形で配送のクオリティの高さを認証する制度を取り入れている。
これらはモール内にある数多くの出店者の中から、消費者がユーザビリティの高い店舗を判断してもらうための一つの材料として提供しているもの。それぞれのモールで定める配送サービスの基準があるが、それに準拠するかしないかで売り上げで大きな差が出ることもある。非常に重要な指標であり、今のような遅延が生じてくると、こうした配送基準にも対応することができなくなることにもなる」
――24年問題の影響が如実に表れたと感じたのはいつ頃からか。
「日本の企業にありがちな話だが、変化が起きた時期としては期替わりや年度末などになる。やはり、日本の上場企業は大体、12月に傾向が出て、1、2月で方針を決めて4月からスタートをするというケースが多いからだろう。運送会社でも、年明けに『おおよそこれくらいのことが起きる』ということを荷主であるメーカーに伝えているからだと考えられる」
――クライアント企業からの声などは。
「今回、当社のクライアントでも消費財などを取り扱うある大手外資系メーカーから、今まではなかったような『幹線輸送の手配ができない』という相談を受けたことがあった。また、当社でアパレルの子会社を持っているが、そこで4トン車や10トン車の手配をする際、3月から1社当たり2万円の値上げになるという話も出てきている。
当社のクライアントからこの問題に関しての相談を受けたのはまだ全体の10%程度ではあるが、仮に日本全体の小売企業への納品として置き換えて考えるとなると、相当に大きな影響になるのではないか。値上げされた上で、幹線輸送のドライバーの確保が難しくなってきたということなので」(つづく)