ジャパネットグループのジャパネットウォーターが展開するウォーターサーバーサービス「ジャパネットウォーター富士山の天然水」が順調に会員数を伸ばしている。2018年6月からスタートした同事業だが、今年3月時点での会員数は前年比3万人増の15万人弱まで拡大しており、以降も同ペースでの増加を見込んでいる。使いやすさを高めるための改善や工夫を繰り返す取り組みが奏功しているようだ。同社を率いる茨木智設社長にウォーターサーバー事業の現状や今後について聞いた。
2年契約後も8割が継続
ーーウォーターサーバー事業の現状の会員数は。
「(稼働顧客ベースで)2024年3月時点で約14万6000人だ。2023年3月時点では約11万4000人だったため、3万人程度の純増となった」
ーー順調に拡大しているが要因は。
「テレビ通販を軸にウォーターサーバーのある生活の素晴らしさをしっかりとお伝えすることで順調に新規のお客様が加入頂いていることに加えて、継続率が高いことだ。当社では基本24カ月契約をお願いしており、その後は違約金なく、いつでも解約頂けるような設計としているが、24カ月経過後もおよそ8割のお客様が継続して加入頂いている。お客様に長くご愛顧頂けていることも(会員数増)の大きな要因だと思う」
ーー継続率の高さの理由は。
「ジャパネットが販売している商品を購入されるきっかけとして、たまたまテレビをつけたら紹介していたから”衝動買い”してしまったという方も多いと思う。我々としてはお客様にとって価値のある商品・サービスをご提供することで衝動買いであっても満足頂き、次の購入につなげていくことが重要と考えている。水に関しても同様で品質改善はもちろん、サービス面を含めて様々な改良や工夫を重ねている」
アプリの機能をさらに強化
ーー具体的には。
「例えばウォーターサーバー契約者が水の届け日の変更や水の追加注文ができる専用のアプリ『ジャパネットウォーター公式アプリ』の機能の追加や改善などだ。今年からお客様の不在時に『置き配』を設定できる機能を追加した。また、『お届け日の変更』についても従来は『次回』の変更はできたが、次回分だけでなく、『今後4回分』の日時を指定・変更できる機能を追加した。もちろん、ウェブでも指定できるし、お電話でも対応してはいるが、アプリは契約者のうちの42%が利用しており、かつ身近なツールだ。お客様の『水が余ってるのに次が来てしまった』や、逆に『水が足りていないのにすぐ届かない』などの対応をより簡単な手段で用意することでお客様のストレスを少しでも解消できればより多くのお客様に使われるので、今後も改善を行っていこうと思っている」
ボトル口のシールはがしやすく
ーー商品面での改善や工夫は。
「細かいところだが今年に入って水のボトルの口に貼り付けているシールを変更した。ウォーターサーバーにボトルをセットする際に、そのシールをはがしてセットするが、これまでのシールははがしにくかったため、このシールの下側に糊付けしていない突起を付けた形にして、そこから簡単にはがせるようにした。細かい変更だが、実際に実現するのは簡単ではなかった。お客様がはがしやすいシールということは工場内でもはがれやすいわけで、製造工程で不具合が起こってしまいやすくなる。そうならないように工場のラインをカスタマイズしたり、画像認識でシールを確認する工程を加えるなどする必要があり、結局、シールを変更するだけでも半年以上かかってしまった」
ーーそこまでしてシールを変えなければならないほどクレームがあったということか。
「こうしたちょっとした不満やストレスはクレームという形では出てこない。『ちょっとはがしにくい』だけで基本的には問題ないからだ。ただ、ウォーターサーバーを契約している社員らにヒアリングをしたりすると、わざわざ口に出すほどではないちょっとした不満やストレスが出てくる。我々はこうしたお客様の声なき声を汲み取って改善していくことでよりよいものに改善していこうと皆で努力を続けている」
ーーオリコンが実施したウォーターサーバーに関する満足度調査「2023年オリコン顧客満足度調査ウォーターサーバー」でも「ジャパネットウォーター富士山の天然水」が総合1位となった。しかも3年連続の1位だ。顧客満足度の高さは客観的な評価も出ている。
「初年度、2年目は単純にうれしいだけだったが、この3年目は多少、1位のプレッシャーがあった(笑)。やってきたことをこうして評価頂けるというのは本当にありがたい」
ーー今後の方向性は。21年に山梨・山中湖村にミネラルウォーターの工場を新たに稼働させたが例えば工場を新設するなどの計画はあるか。水は重量もあるため、輸送費圧縮のためにも他の地域で工場を持つ利点もある。
「工場のキャパシティは現状、50%ほどで、現在の会員の倍くらいの数までは現在の工場1つで対応可能だ。確かに輸送を考えると多拠点化というメリットがあると思うが、『富士山の天然水』という商品名にこだわっていることもあり、他の地域に工場を設置することは考えていない。輸送費の圧縮に関しては当社でチャーター便を用意して山中湖村の工場から自社倉庫がある福岡・粕屋町と愛知・春日井市にまとまった量の水を幹線輸送するなどの施策を行っている。ウォーターサーバー設置時に初回に限って2本のボトルをプレゼントしていて、この水についてはお客様宅に近い自社倉庫からサーバーと一緒にお届けすることで迅速な対応の実現と物流費の圧縮を図っている」
ーー今期の目標は。
「会員数は前年よりも3万人程度増えた。今年もそのペースを維持して18万人くらいを目指していく。新規層へのアプローチでは昨夏には福山雅治さんを起用したテレビCMを放映した。今後も水の品質の良さやウォーターサーバーの便利さなど『ジャパネットウォーター富士山の天然水』の魅力をブランディングしていきたい。とはいえ、急激に会員数を伸ばしたいというよりも焦らず改善を繰り返しながら、お客様の満足度を高めて継続頂けるお客様を着実に増やしていく工夫をコツコツやっていきたい」
クラフトビールの通販展開へ
ーージャパネットウォーターではクラフトビールの製造販売も行っている。昨秋には製造するビール「Cleyera(クリエラ)」が「インターナショナル・ビアカップ2023」のセゾンビールを対象としたスペシャルティセゾン部門で金賞を受賞した。ビールの今後は。
「ビールに関しては今年10月14日に開業予定の当社グループが運営するスタジアムを軸にアリーナやホテル、商業施設、オフィスなどを組み合わせた長崎市内の大型複合施設『長崎スタジアムシティ』で生ビールで提供することを前提にテスト展開を進めてきた。確かにすごくおいしい最高のビールを作ることができた。ただ、瓶や缶で提供する場合、特にクラフトビールは時間が立つと少し味が変わってきてしまうなどの問題もあり、現状は小ロットで製造して、山中湖村のふるさと納税の返礼品など限られたところでのみしか販売していない。ただ、我々としては品質が変わらずお届けできるように繰り返し試行錯誤を進めてきており、ようやく、瓶や缶でもできたての美味しさのままお届けできる段階までたどり着けそうだ。今年中には通販で本格的に販売を始めたいと思っている」
2年契約後も8割が継続
ーーウォーターサーバー事業の現状の会員数は。
「(稼働顧客ベースで)2024年3月時点で約14万6000人だ。2023年3月時点では約11万4000人だったため、3万人程度の純増となった」
ーー順調に拡大しているが要因は。
「テレビ通販を軸にウォーターサーバーのある生活の素晴らしさをしっかりとお伝えすることで順調に新規のお客様が加入頂いていることに加えて、継続率が高いことだ。当社では基本24カ月契約をお願いしており、その後は違約金なく、いつでも解約頂けるような設計としているが、24カ月経過後もおよそ8割のお客様が継続して加入頂いている。お客様に長くご愛顧頂けていることも(会員数増)の大きな要因だと思う」
ーー継続率の高さの理由は。
「ジャパネットが販売している商品を購入されるきっかけとして、たまたまテレビをつけたら紹介していたから”衝動買い”してしまったという方も多いと思う。我々としてはお客様にとって価値のある商品・サービスをご提供することで衝動買いであっても満足頂き、次の購入につなげていくことが重要と考えている。水に関しても同様で品質改善はもちろん、サービス面を含めて様々な改良や工夫を重ねている」
アプリの機能をさらに強化
ーー具体的には。
「例えばウォーターサーバー契約者が水の届け日の変更や水の追加注文ができる専用のアプリ『ジャパネットウォーター公式アプリ』の機能の追加や改善などだ。今年からお客様の不在時に『置き配』を設定できる機能を追加した。また、『お届け日の変更』についても従来は『次回』の変更はできたが、次回分だけでなく、『今後4回分』の日時を指定・変更できる機能を追加した。もちろん、ウェブでも指定できるし、お電話でも対応してはいるが、アプリは契約者のうちの42%が利用しており、かつ身近なツールだ。お客様の『水が余ってるのに次が来てしまった』や、逆に『水が足りていないのにすぐ届かない』などの対応をより簡単な手段で用意することでお客様のストレスを少しでも解消できればより多くのお客様に使われるので、今後も改善を行っていこうと思っている」
ボトル口のシールはがしやすく
ーー商品面での改善や工夫は。
「細かいところだが今年に入って水のボトルの口に貼り付けているシールを変更した。ウォーターサーバーにボトルをセットする際に、そのシールをはがしてセットするが、これまでのシールははがしにくかったため、このシールの下側に糊付けしていない突起を付けた形にして、そこから簡単にはがせるようにした。細かい変更だが、実際に実現するのは簡単ではなかった。お客様がはがしやすいシールということは工場内でもはがれやすいわけで、製造工程で不具合が起こってしまいやすくなる。そうならないように工場のラインをカスタマイズしたり、画像認識でシールを確認する工程を加えるなどする必要があり、結局、シールを変更するだけでも半年以上かかってしまった」
ーーそこまでしてシールを変えなければならないほどクレームがあったということか。
「こうしたちょっとした不満やストレスはクレームという形では出てこない。『ちょっとはがしにくい』だけで基本的には問題ないからだ。ただ、ウォーターサーバーを契約している社員らにヒアリングをしたりすると、わざわざ口に出すほどではないちょっとした不満やストレスが出てくる。我々はこうしたお客様の声なき声を汲み取って改善していくことでよりよいものに改善していこうと皆で努力を続けている」
ーーオリコンが実施したウォーターサーバーに関する満足度調査「2023年オリコン顧客満足度調査ウォーターサーバー」でも「ジャパネットウォーター富士山の天然水」が総合1位となった。しかも3年連続の1位だ。顧客満足度の高さは客観的な評価も出ている。
「初年度、2年目は単純にうれしいだけだったが、この3年目は多少、1位のプレッシャーがあった(笑)。やってきたことをこうして評価頂けるというのは本当にありがたい」
ーー今後の方向性は。21年に山梨・山中湖村にミネラルウォーターの工場を新たに稼働させたが例えば工場を新設するなどの計画はあるか。水は重量もあるため、輸送費圧縮のためにも他の地域で工場を持つ利点もある。
「工場のキャパシティは現状、50%ほどで、現在の会員の倍くらいの数までは現在の工場1つで対応可能だ。確かに輸送を考えると多拠点化というメリットがあると思うが、『富士山の天然水』という商品名にこだわっていることもあり、他の地域に工場を設置することは考えていない。輸送費の圧縮に関しては当社でチャーター便を用意して山中湖村の工場から自社倉庫がある福岡・粕屋町と愛知・春日井市にまとまった量の水を幹線輸送するなどの施策を行っている。ウォーターサーバー設置時に初回に限って2本のボトルをプレゼントしていて、この水についてはお客様宅に近い自社倉庫からサーバーと一緒にお届けすることで迅速な対応の実現と物流費の圧縮を図っている」
ーー今期の目標は。
「会員数は前年よりも3万人程度増えた。今年もそのペースを維持して18万人くらいを目指していく。新規層へのアプローチでは昨夏には福山雅治さんを起用したテレビCMを放映した。今後も水の品質の良さやウォーターサーバーの便利さなど『ジャパネットウォーター富士山の天然水』の魅力をブランディングしていきたい。とはいえ、急激に会員数を伸ばしたいというよりも焦らず改善を繰り返しながら、お客様の満足度を高めて継続頂けるお客様を着実に増やしていく工夫をコツコツやっていきたい」
クラフトビールの通販展開へ
ーージャパネットウォーターではクラフトビールの製造販売も行っている。昨秋には製造するビール「Cleyera(クリエラ)」が「インターナショナル・ビアカップ2023」のセゾンビールを対象としたスペシャルティセゾン部門で金賞を受賞した。ビールの今後は。
「ビールに関しては今年10月14日に開業予定の当社グループが運営するスタジアムを軸にアリーナやホテル、商業施設、オフィスなどを組み合わせた長崎市内の大型複合施設『長崎スタジアムシティ』で生ビールで提供することを前提にテスト展開を進めてきた。確かにすごくおいしい最高のビールを作ることができた。ただ、瓶や缶で提供する場合、特にクラフトビールは時間が立つと少し味が変わってきてしまうなどの問題もあり、現状は小ロットで製造して、山中湖村のふるさと納税の返礼品など限られたところでのみしか販売していない。ただ、我々としては品質が変わらずお届けできるように繰り返し試行錯誤を進めてきており、ようやく、瓶や缶でもできたての美味しさのままお届けできる段階までたどり着けそうだ。今年中には通販で本格的に販売を始めたいと思っている」