ファンケルが「肌不調(肌の調子の悪さ)」に着目した新スキンケアを立ち上げる。リニューアルや別ブランドではなく、ファンケルブランドから新シリーズを出すは22年ぶり。手薄な30歳前後の層にアプローチする。
新スキンケア「toiro(トイロ)」(=
画像)は、食習慣や生活習慣、気候変動、とくに睡眠との関連から表れる悩みである「肌不調」に焦点を当てる。
商品は、化粧液、乳液、各詰め替え用の4アイテム(税込3300~3740円)。肌不調だけでなく、美白や肌荒れなど明確な悩みに対応する効果成分2種を配合した医薬部外品で展開し、複合的な肌悩みもケアする。4月18日から通販と直営店で販売を開始する。
ここ数年、美白やシミ・シワなどの肌悩みを持つ層は一定数のシェアで推移するが、「キメの粗さ」や「カサつき」、「くすみ」など、生活の乱れに起因する肌不調の実感層は増加傾向にある。
また、敏感肌と肌不調には、共通点もあるが、敏感肌は「ひりひり・かゆみ・しみるなどの刺激」、肌不調は、「メイクのりの悪さ・毛穴・シミ・くすみ」など異なる特徴的な悩みがある。「肌不調」の悩みを持つ層は全体の約6割。このうち、敏感肌の悩みを持つ層は2割を占めるなど、「肌不調」は約3倍の規模があるという。これら市場にアプローチすることで、より幅広い層の顧客と接点を築く。今後も増加するとの予測から「化粧品事業は、肌不調の解消をテーマに事業展開する」(堂下亮執行役員化粧品事業本部本部長)と話す。「トイロ」の初年度の売上目標は開示していない。
処方は、とくに肌不調と「睡眠」の関連性に関する研究成果を生かす。
20~30代の肌不調は、睡眠に対する不満が多い人ほど「毛穴・乾燥肌・敏感肌・テカリ・ニキビ」など皮脂関連の肌悩みが表れ、関連が深い。一方で、これら30歳前後の皮脂量はばらつきがある。皮脂の「量」より「質」の影響に着目する。
皮脂を構成する成分の一つであるトリグリセライドは、分解酵素(リパーゼ)の働きで遊離脂肪酸になり、皮脂のバランスやバリア機能の低下に影響する。これが毛穴やテカリなどの肌不調につながる。睡眠時間にばらつきの多い人ほど遊離脂肪酸の増加や肌水分量の低下がみられるという。
「トイロ」は、リパーゼの活性を抑える「早摘みグレープフルーツエキス」などの独自成分の配合により皮脂のバランスや質を良好に保つ。
商品は、ファンケルの無添加・安全性基準を満たしつつ、「120ミリリットル(化粧液)」、「60グラム(乳液)」という約2カ月分の容量で展開する。ほかのシリーズは、化粧液、乳液ともに「30ミリリットル(約1カ月分)」。新シリーズは、使用原料、容器のプラスチック量削減などで環境に配慮する。
ブランド立ち上げは、ファンケルを掲げない別ブランドとして16年に「ビューティブーケ」、18年に「アンドミライ」を立ち上げている。
総顧客数を増やす
<堂下亮化粧品事業部長に聞く 新シリーズ立上げの狙い>
ファンケル化粧品事業本部本部長の堂下亮氏(=
写真)に新スキンケア展開の狙いを聞いた。
ーー「肌不調」をテーマに掲げた。
「悩みの解消に本腰を入れる。肌不調を解消する商品は拡充していきたい」
ーー注力する販路は。
「通販、直営店、外部ECを使うが、ウェブ中心のコミュニケーションになる」
ーー敏感肌ケアのスキンケアをすでに展開している。
「無添加の安全性基準は同じ。敏感肌の方にも使えってもらいつつ、複合的な肌悩みの対応、容量の増加などこれまでの研究知見、技術の”進化”を示すもの。これまでできたことは基本的にカバーしている」
ーー敏感肌ケアのスキンケアは継続販売するのか。
「少量のボトルを丁寧に使うことに共感や支持もある。一方で”たっぷり使いたい”と容量が欲しい方、少量のため休止する方もいた。『肌不調』は『敏感肌』の悩み層の約3倍の規模がある。新スキンケアで総顧客数を増やしたい」
ーー新スキンケアは、従来品より容量が大幅に増えた。ほかのファンケルブランドも容量を増やすのか。
「防腐剤を使わず容量を増やす処方難易度は高く、研究を進めている段階」
ーー30歳前後を対象にしたブランドでは、「アンドミライ」もある。
「3月に終売する。今後は、ファンケルブランドの中で対象層を開拓する。『ビューティブーケ』はシニア向けブランドとして継続する」
新スキンケア「toiro(トイロ)」(=画像)は、食習慣や生活習慣、気候変動、とくに睡眠との関連から表れる悩みである「肌不調」に焦点を当てる。
商品は、化粧液、乳液、各詰め替え用の4アイテム(税込3300~3740円)。肌不調だけでなく、美白や肌荒れなど明確な悩みに対応する効果成分2種を配合した医薬部外品で展開し、複合的な肌悩みもケアする。4月18日から通販と直営店で販売を開始する。
ここ数年、美白やシミ・シワなどの肌悩みを持つ層は一定数のシェアで推移するが、「キメの粗さ」や「カサつき」、「くすみ」など、生活の乱れに起因する肌不調の実感層は増加傾向にある。
また、敏感肌と肌不調には、共通点もあるが、敏感肌は「ひりひり・かゆみ・しみるなどの刺激」、肌不調は、「メイクのりの悪さ・毛穴・シミ・くすみ」など異なる特徴的な悩みがある。「肌不調」の悩みを持つ層は全体の約6割。このうち、敏感肌の悩みを持つ層は2割を占めるなど、「肌不調」は約3倍の規模があるという。これら市場にアプローチすることで、より幅広い層の顧客と接点を築く。今後も増加するとの予測から「化粧品事業は、肌不調の解消をテーマに事業展開する」(堂下亮執行役員化粧品事業本部本部長)と話す。「トイロ」の初年度の売上目標は開示していない。
処方は、とくに肌不調と「睡眠」の関連性に関する研究成果を生かす。
20~30代の肌不調は、睡眠に対する不満が多い人ほど「毛穴・乾燥肌・敏感肌・テカリ・ニキビ」など皮脂関連の肌悩みが表れ、関連が深い。一方で、これら30歳前後の皮脂量はばらつきがある。皮脂の「量」より「質」の影響に着目する。
皮脂を構成する成分の一つであるトリグリセライドは、分解酵素(リパーゼ)の働きで遊離脂肪酸になり、皮脂のバランスやバリア機能の低下に影響する。これが毛穴やテカリなどの肌不調につながる。睡眠時間にばらつきの多い人ほど遊離脂肪酸の増加や肌水分量の低下がみられるという。
「トイロ」は、リパーゼの活性を抑える「早摘みグレープフルーツエキス」などの独自成分の配合により皮脂のバランスや質を良好に保つ。
商品は、ファンケルの無添加・安全性基準を満たしつつ、「120ミリリットル(化粧液)」、「60グラム(乳液)」という約2カ月分の容量で展開する。ほかのシリーズは、化粧液、乳液ともに「30ミリリットル(約1カ月分)」。新シリーズは、使用原料、容器のプラスチック量削減などで環境に配慮する。
ブランド立ち上げは、ファンケルを掲げない別ブランドとして16年に「ビューティブーケ」、18年に「アンドミライ」を立ち上げている。
総顧客数を増やす
<堂下亮化粧品事業部長に聞く 新シリーズ立上げの狙い>
ファンケル化粧品事業本部本部長の堂下亮氏(=写真)に新スキンケア展開の狙いを聞いた。
ーー「肌不調」をテーマに掲げた。
「悩みの解消に本腰を入れる。肌不調を解消する商品は拡充していきたい」
ーー注力する販路は。
「通販、直営店、外部ECを使うが、ウェブ中心のコミュニケーションになる」
ーー敏感肌ケアのスキンケアをすでに展開している。
「無添加の安全性基準は同じ。敏感肌の方にも使えってもらいつつ、複合的な肌悩みの対応、容量の増加などこれまでの研究知見、技術の”進化”を示すもの。これまでできたことは基本的にカバーしている」
ーー敏感肌ケアのスキンケアは継続販売するのか。
「少量のボトルを丁寧に使うことに共感や支持もある。一方で”たっぷり使いたい”と容量が欲しい方、少量のため休止する方もいた。『肌不調』は『敏感肌』の悩み層の約3倍の規模がある。新スキンケアで総顧客数を増やしたい」
ーー新スキンケアは、従来品より容量が大幅に増えた。ほかのファンケルブランドも容量を増やすのか。
「防腐剤を使わず容量を増やす処方難易度は高く、研究を進めている段階」
ーー30歳前後を対象にしたブランドでは、「アンドミライ」もある。
「3月に終売する。今後は、ファンケルブランドの中で対象層を開拓する。『ビューティブーケ』はシニア向けブランドとして継続する」