イーベイジャパンが運営する仮想モールの「Qoo10」では、メイン顧客が20代~30代の女性となっており、必然的に競合の仮想モールと比べるとZ世代を強く意識した売り場構成となっている。トレンドに敏感で消費意欲が旺盛な一方、”コスパ”に対する強い意識も持ち合わせているとされるZ世代。Qoo10での取り組みを例に、彼らを取り込む有効な打ち手を見てみる。
同モールはもともと、2018年に米eBayに買収される以前に韓国と繋がりの強いECとした始まった経緯もあり、韓国の定番コスメやファッション、K―POP関連グッズなどを多く取り扱っていた。また、モバイルアプリもいち早く展開していた背景もあり、品ぞろえの効果と合わせて日本の若い女性たちをメイン顧客層として抱えていくようになったという。
eBay傘下となった現在についても、商品ラインアップの内容は大きく変わらず、モールの商品カテゴリーの内、ビューティー、ファッションで半分以上を構成。近年は、韓国グルメを軸とした食品や、美容家電などのデジタル商材も伸長している。
消費者としてのZ世代の印象については「彼女たちがしたくないことは何よりも『失敗』。消費に対して積極的になれるものを意識して絞っている。一例としては”推し活”などでの強い消費行動がある」(=
写真㊤、戦略マーケティング室のモラーノ絢香部長)と分析。優先順位の高いものから絞った買い物となるため、それだけ失敗したくない気持ちを強く感じているようだ。
加えて、過去に同社で顧客調査を行った際には、Qoo10だけでなく3~4つの通販サイトやモールを厳選して使いこなし、欲しい商品の価格などを比較、吟味しながらその中で一番納得できる価値に投資する傾向も強く見てとれたという。
また、Z世代自体が1990年半ば~2010年代に生まれた世代という定義のため、思っている以上に年齢のレンジは広い。当然、可処分所得という点では個人差があると見られるが、一般的には平均所得の高い中高年層と比べると消費に使える金額は限られていると言えるだろう。それゆえに「コスト意識が高くなる」(同)というのだ。
とは言え、消費に関しては積極的な人達が多いようで、前述の顧客調査によると、ネットを使用している時間で最も楽しさを感じるのが「買い物」となり、「SNS」や「検索」よりも高くなったという結果もあった。
くちコミ逃さない広い視野
そして、もう一つの特徴として言えるのが価格だけでなく、トレンドにも敏感であるということ。以前に、若い女性向けの眉毛用のカラーリングマスカラの販売状況を見た際に、特定のカラー品番だけが売り切れるという現象が起きた。
モール内で特別にその品番だけを切り出して販促をしたわけでもなかったことから、同社で理由をたどってみたところQoo10公式アカウントのSNSをフォローしている一部の顧客が「このカラー品番が、眉毛の色を薄くして地毛に近い色にしてくれる」という趣旨のコメントをSNSやレビューなどで投稿していた。
何気ないつぶやきではあるが、その一つのくちコミを起点に、出店者も予想できなかったほど短期間で爆発的に人気が広がったというのだ。買い物のためだけではなく、情報収集も兼ねて日々モールにログインしている顧客も多いことから、自分の買いたい商品に関連があるくちコミは小さなものでも見落とさず発見して行動に移せるのだろう。その点では情報嗅覚は非常に高く、売り場側が販促をかけるよりも早く先回りができると考えられる。
「不定期にテレビCMも行っているが、(Z世代の消費者は)自分に合うか合わないかは、顧客側が発信したものを人づてに共有して判断している。そのため、ブランド側が発売当初には意図していなかったような商品価値が後からついてくることもあるのでは」(同)とした。(
つづく)
同モールはもともと、2018年に米eBayに買収される以前に韓国と繋がりの強いECとした始まった経緯もあり、韓国の定番コスメやファッション、K―POP関連グッズなどを多く取り扱っていた。また、モバイルアプリもいち早く展開していた背景もあり、品ぞろえの効果と合わせて日本の若い女性たちをメイン顧客層として抱えていくようになったという。
eBay傘下となった現在についても、商品ラインアップの内容は大きく変わらず、モールの商品カテゴリーの内、ビューティー、ファッションで半分以上を構成。近年は、韓国グルメを軸とした食品や、美容家電などのデジタル商材も伸長している。
消費者としてのZ世代の印象については「彼女たちがしたくないことは何よりも『失敗』。消費に対して積極的になれるものを意識して絞っている。一例としては”推し活”などでの強い消費行動がある」(=写真㊤、戦略マーケティング室のモラーノ絢香部長)と分析。優先順位の高いものから絞った買い物となるため、それだけ失敗したくない気持ちを強く感じているようだ。
加えて、過去に同社で顧客調査を行った際には、Qoo10だけでなく3~4つの通販サイトやモールを厳選して使いこなし、欲しい商品の価格などを比較、吟味しながらその中で一番納得できる価値に投資する傾向も強く見てとれたという。
また、Z世代自体が1990年半ば~2010年代に生まれた世代という定義のため、思っている以上に年齢のレンジは広い。当然、可処分所得という点では個人差があると見られるが、一般的には平均所得の高い中高年層と比べると消費に使える金額は限られていると言えるだろう。それゆえに「コスト意識が高くなる」(同)というのだ。
とは言え、消費に関しては積極的な人達が多いようで、前述の顧客調査によると、ネットを使用している時間で最も楽しさを感じるのが「買い物」となり、「SNS」や「検索」よりも高くなったという結果もあった。
くちコミ逃さない広い視野
そして、もう一つの特徴として言えるのが価格だけでなく、トレンドにも敏感であるということ。以前に、若い女性向けの眉毛用のカラーリングマスカラの販売状況を見た際に、特定のカラー品番だけが売り切れるという現象が起きた。
モール内で特別にその品番だけを切り出して販促をしたわけでもなかったことから、同社で理由をたどってみたところQoo10公式アカウントのSNSをフォローしている一部の顧客が「このカラー品番が、眉毛の色を薄くして地毛に近い色にしてくれる」という趣旨のコメントをSNSやレビューなどで投稿していた。
何気ないつぶやきではあるが、その一つのくちコミを起点に、出店者も予想できなかったほど短期間で爆発的に人気が広がったというのだ。買い物のためだけではなく、情報収集も兼ねて日々モールにログインしている顧客も多いことから、自分の買いたい商品に関連があるくちコミは小さなものでも見落とさず発見して行動に移せるのだろう。その点では情報嗅覚は非常に高く、売り場側が販促をかけるよりも早く先回りができると考えられる。
「不定期にテレビCMも行っているが、(Z世代の消費者は)自分に合うか合わないかは、顧客側が発信したものを人づてに共有して判断している。そのため、ブランド側が発売当初には意図していなかったような商品価値が後からついてくることもあるのでは」(同)とした。(つづく)