楽天グループは5月24日、自治体職員を対象とした「自治体地域イノベーションフォーラム」の第2回を都内で開催した。約60自治体から約100人が参加している。
今回のテーマは「ポストコロナの変革期を乗り切る『胆力ある自治体づくり』~官民の”共創力”を高める秘訣とは~」。楽天との連携も含めて、官民連携で地域のデジタル・トランスフォーメ―ション(DX)を推進している自治体や、データを利活用することで、自治体の外から”外貨”を継続的に獲得している自治体の担当者を招いた。省庁や自治体などの外部コンサルタントとして活動する、スペックホルダー社長の大野泰敬氏が基調講演を行ったほか、愛媛感や群馬県みなかみ町、長野県須坂市の担当者が事例を紹介した。
愛媛県では、同県の営業組織である「愛のくに えひめ営業本部」でマネージャーを務める松岡真仁氏(=
写真)が、官民連携によるDX事業推進や産業振興について講演を行った。
同県では、何らかの形で関与した商品や事業の売上高を「県関与年間成約額」と位置づけており、2012年には8億4000万円だったものが、22年は247億6000万円まで拡大。26年には300億円を目指している。えひめ営業本部は「県内の優れた県産品を国内外にPRし、県内事業者の新たな販路開拓に向け、提案活動をする行政組織」として、目標達成に向けた活動を行っている。
組織は12年に発足。13年には大規模商談会や個別営業を通じた実需の創出を図った。ECへの取り組みは19年から。楽天と共同で、県産品のポータルサイト「愛媛百貨店」を仮想モール「楽天市場」内に立ち上げ、県産品の販売促進・認知度向上を進めている。
販促としては、楽天が提供する、ビッグデータを分析して消費行動を理解するAIエージェント「Rakutenn AIris」を使い、愛媛県に潜在的に興味がある層へのアプローチを実施。楽天IDに紐づいた、施策ごとの顧客の行動データを蓄積・分析して利用するとともに、その結果を県内の参画事業者へのフィードバック。商品開発や商品の見直し、サイトの改良につなげている。松岡氏は「今後とも楽天と連携しながら、県産品の販促・販路拡大に取り組んでいきたい」と意欲的に語る。
県内の市町と連携した相互送客施策を実施しているのも出色だ。「自治体は縦割り行政が基本だが、愛媛県の場合は20の市町と良好な関係を築いている」(松岡氏)。例えば今治市との取り組みでは、愛媛百貨店内の今治市の対象ショップで使える300円割引クーポンを配布。さらに、愛媛県の対象商品に使える割引クーポンも配布、併用可能にすることで、消費者の購買意欲を高めることができたという。
インフルエンサーや地元の放送局である南海放送と共同で、ライブコマースも行っている。昨年12月に実施した番組は、2日間で59万人が視聴した。転換率などは不明だが、「番組で取り上げられた商品はかなり売れた」(松岡氏)という。
松岡氏は「自治体にいると『事業者を支援してあげる』という発想になりがちだが、事業者に自ら稼ぐ力を身につけてもらうのが理想だ」と話す。同県では「楽天トラベル」や「楽天ふるさと納税」といった、楽天グループの事業を使った支援以外にも、事業者向けセミナーも実施。「セミナーというと『どんな通販サイトを作れば売れるか』などという話になりがちだが、TikTokやYoutubeの活用法や、検索ワードの設定など、販促について深掘りした研修を行っている」(同)。研修は楽天と共同で行っているもので、数カ月に渡り実施するセミナーもある。
こうした取り組みの成果もあり、愛媛百貨店に出店する事業者のうち、月商100万円未満の事業者は、19年度は約半数を占めていたが、22年度は3分の1以下まで減少。月商300万円以上の店舗のシェアは、3年間で6・1ポイント拡大、愛媛百貨店自体の流通額も6・6倍になっている。松岡氏は「事業者がもっともっと稼げるように支援していきたい」と力を込める。
今回のテーマは「ポストコロナの変革期を乗り切る『胆力ある自治体づくり』~官民の”共創力”を高める秘訣とは~」。楽天との連携も含めて、官民連携で地域のデジタル・トランスフォーメ―ション(DX)を推進している自治体や、データを利活用することで、自治体の外から”外貨”を継続的に獲得している自治体の担当者を招いた。省庁や自治体などの外部コンサルタントとして活動する、スペックホルダー社長の大野泰敬氏が基調講演を行ったほか、愛媛感や群馬県みなかみ町、長野県須坂市の担当者が事例を紹介した。
愛媛県では、同県の営業組織である「愛のくに えひめ営業本部」でマネージャーを務める松岡真仁氏(=写真)が、官民連携によるDX事業推進や産業振興について講演を行った。
同県では、何らかの形で関与した商品や事業の売上高を「県関与年間成約額」と位置づけており、2012年には8億4000万円だったものが、22年は247億6000万円まで拡大。26年には300億円を目指している。えひめ営業本部は「県内の優れた県産品を国内外にPRし、県内事業者の新たな販路開拓に向け、提案活動をする行政組織」として、目標達成に向けた活動を行っている。
組織は12年に発足。13年には大規模商談会や個別営業を通じた実需の創出を図った。ECへの取り組みは19年から。楽天と共同で、県産品のポータルサイト「愛媛百貨店」を仮想モール「楽天市場」内に立ち上げ、県産品の販売促進・認知度向上を進めている。
販促としては、楽天が提供する、ビッグデータを分析して消費行動を理解するAIエージェント「Rakutenn AIris」を使い、愛媛県に潜在的に興味がある層へのアプローチを実施。楽天IDに紐づいた、施策ごとの顧客の行動データを蓄積・分析して利用するとともに、その結果を県内の参画事業者へのフィードバック。商品開発や商品の見直し、サイトの改良につなげている。松岡氏は「今後とも楽天と連携しながら、県産品の販促・販路拡大に取り組んでいきたい」と意欲的に語る。
県内の市町と連携した相互送客施策を実施しているのも出色だ。「自治体は縦割り行政が基本だが、愛媛県の場合は20の市町と良好な関係を築いている」(松岡氏)。例えば今治市との取り組みでは、愛媛百貨店内の今治市の対象ショップで使える300円割引クーポンを配布。さらに、愛媛県の対象商品に使える割引クーポンも配布、併用可能にすることで、消費者の購買意欲を高めることができたという。
インフルエンサーや地元の放送局である南海放送と共同で、ライブコマースも行っている。昨年12月に実施した番組は、2日間で59万人が視聴した。転換率などは不明だが、「番組で取り上げられた商品はかなり売れた」(松岡氏)という。
松岡氏は「自治体にいると『事業者を支援してあげる』という発想になりがちだが、事業者に自ら稼ぐ力を身につけてもらうのが理想だ」と話す。同県では「楽天トラベル」や「楽天ふるさと納税」といった、楽天グループの事業を使った支援以外にも、事業者向けセミナーも実施。「セミナーというと『どんな通販サイトを作れば売れるか』などという話になりがちだが、TikTokやYoutubeの活用法や、検索ワードの設定など、販促について深掘りした研修を行っている」(同)。研修は楽天と共同で行っているもので、数カ月に渡り実施するセミナーもある。
こうした取り組みの成果もあり、愛媛百貨店に出店する事業者のうち、月商100万円未満の事業者は、19年度は約半数を占めていたが、22年度は3分の1以下まで減少。月商300万円以上の店舗のシェアは、3年間で6・1ポイント拡大、愛媛百貨店自体の流通額も6・6倍になっている。松岡氏は「事業者がもっともっと稼げるように支援していきたい」と力を込める。