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同社ではEC商品の実店舗からの出荷について、中長期的に拡大することを目指している。この仕組みは、注文された商品が顧客の最寄りの実店舗に在庫がある場合、ECの倉庫からではなく、当該店舗から直接出荷することで、注文を受けたその日の翌日には最短で到着するというもの。配送リードタイムの短縮と物流コストの削減になるとしている。
もちろん、当該店舗で梱包や出荷作業を行うことから店舗スタッフのオペレーションに影響する面もある。これまでそういった部分をトライアルしていきながら様々な問題点・課題を洗い出し、できるところは今後システム化していく予定。対象店舗数についても今後拡大する考え。
同様に、実店舗でのEC商品の受け取りを増やすことも進めている。これは昨年から取り組んでいたもので、今期は前年比240%まで利用数が増えているという。
実店舗出荷と同じく、意図的に実店舗受け取りを増やすことで、物流コストや効率の面で高い効果があるという。また、最大のメリットは実店舗への来店機会の創出につながるということ。実際にECでの注文商品を実店舗で受け取った顧客は、その後、実店舗のリピーターにもなりやすいという。
「コンビニやカジュアルウェア店などとは違い、紳士服は来店頻度がそこまで高いわけではない商材。これが仮に年1回の来店が2回に増やせるとなるとかなり大きい」(同社)と説明。受け取り時には実店舗スタッフが、前回購入された商品をフックにした接客もできるため、深いコミュニケーションが図れると見ている。
実店舗受け取りは元々利用数が右肩上がりで増えていたものだが、今期は実店舗受け取りの利用で2カ月間限定で実店舗で使える20%クーポンを配布。それにより、さらに大きく利用者が増えた面があるようだ。
「マーケティング的にはどのように顧客のライフスタイルの中に『洋服の青山』が入ってくるかが大事。ただメールを送ってセールを伝えるよりも、受け取りのついでに気になる情報を直接伝えることで、より『次も行こう』と思える」(同)とし、”ついで感”の演出をどのように作るかを大事にしているとした。
同社の場合、「洋服の青山」で699店舗、「TSC業態」で60店舗の実店舗網(9月末時点)を持っていることから、リアルの拠点を活用したEC連携は今後も欠かせないようだ。
なお同社のEC事業の売り上げについて、今上半期(4~9月)は前年同期比29・4%増の14億1000万円だった。今通期の計画としては、前年比30・8%増の34億円を計画している。
下半期についてはEC限定セールをはじめ、各種デジタル媒体も使った1to1によるコンテンツ配信など、情報発信の最適化を実施する。SNSについてはライブコマースのように双方向のコミュニケーションが図れる施策を強化していく考え。(おわり)