京阪電車を運営する京阪グループの京阪百貨店の通販サイト「よろずを継ぐもの」の売れ行きが好調だ。物販を前面に打ち出すのではなく、モノへのこだわりや背景などを踏まえたコラムを軸としたサイト構成と各地の離島で採れる食材や全国の道の駅で扱う商品など特定のテーマに特化したエッジの効いたショップ展開などが奏功。百貨店来店客の中心層とは異なる20~40代の新規層をつかみ、今夏の立ち上げから来訪者数を増やし、売上高も当初の計画を上回る勢いをみせている。今後、直販商品の拡充など自社によるEC展開を強化しつつ、外部の事業者の出店誘致も進め、様々なジャンルでこだわった商品を取り扱うショップを増やし、仮想モール型通販サイトとして規模拡大を図っていく考え(
画像㊤「よろずを継ぐもの」を統括するECプラットフォーム事業部の新宅担当部長(左)と橋本部長代理)。
「よろずを継ぐもの」は今年5月31日に新設した通販サイト。京阪百貨店では歳暮・中元、各種記念日などのギフト商品をメインとした通販サイトを運営しているが、それとは別ドメインのサイトとなる。「(既存サイトの顧客は)京阪電鉄の沿線や京阪百貨店の商圏となる関西エリアの方々がほとんど。京阪百貨店を知らない商圏外の全国のお客様を相手にしたいことから地方百貨店の通販サイトと色眼鏡で見られることなく本当によいモノをそろえている通販サイトと認識頂けるよう、また、機能面も含めて京阪百貨店のサイトとは切り離した新サイトを立ち上げるほうが良いと判断した」(ECプラットフォーム事業部・新宅義秀担当部長)という。
なお、同サイトはインターファクトリーが提供するクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」を利用して構築した。
「よろずを継ぐもの」のコンセプトは「”知る人ぞ知る”を知る面白さ」。「メジャーな商品や型番品の安売りではなく、次代に継いでいくべき優れたモノや技術、人を照らして世の中でまだ広く知られてない商品をその背景も含めて紹介していく。当社のような百貨店が着手すべき通販サイトのあり方を目指した」(同・橋本尚樹部長代理)とする。
サイトは特定の商品や事象をテーマとしたコラムである「STORIES‐読みもの‐」と複数の仮想店舗が出店する形で特定のジャンルや切り口でそれぞれ厳選した商品を並べ販売する「STORES‐ショップ一覧‐」で構成する。
トップページの上部を占め、他サイトとの差別化のための目玉コンテンツであるコラムは特定の製品や事象に関する詳しい特徴や筆者の思い出などを記載した読み物だ。記事は外部に委託せず、すべて同社社員が執筆を担当、月3回ペースで更新する。これまでに静岡の銘菓「うなぎパイ」や老舗の和菓子屋である舟和の「芋ようかん」などをテーマにコラムをアップ。商品に関わる内容のものも多いがコラム終盤に取り上げた商品の購入ページへ誘導するリンクを貼っているわけでなく、あくまで”純読み物”だ。「(通販ページへの)導線を貼った方がよいとの指摘も受けるが、このコラムは販売する商品をコンテンツマーケティングする場所ではない。読み物と物販をしっかり分けることでユーザーの信頼感の醸成にもつながる。またコラムを積み上げていくことで認知度や集客の効果も出てくる。時間はかかってもやってみようと考えた」(橋本部長代理)とする。
トップページ下部には出店する“ショップ”へのリンクを掲載。「よろずを継ぐもの」では物販は仮想モール形式での展開としており、スタート時点では奄美大島や小豆島、屋久島など離島の産品など取り扱う「島の幸々」や全国の道の駅で販売する商品を販売する「道のえきから」、様々な形状やメーカーのこだわりの傘を集めた「傘もよう」、数々のブランドから厳選した”白い商品”のみを取り扱う「COLLECT W(コレクトダブリュー)」の4ショップが出店。各ショップとも京阪百貨店のそれぞれの分野やカテゴリーに精通したバイヤーが中心に運営する同サイト用の独自ショップで、ショップ内でも単に商品を販売するだけでなく、商品紹介ページでは担当バイヤーが自らコラムさながらの詳しい商品のこだわりや背景を記載し、サイト全体のコンセプトである”良いモノを伝える”という統一感を保っている。
現状の売れ筋は離島の産品や道の駅で取り扱う海鮮やスイーツなどの食品。また、「コレクトダブリュー」で販売する3万円程度の靴も予想以上の売れ行きを見せているよう。「まだ、ウェブ広告など本格的な集客策を行っていない段階でも一定のお客様に来訪頂き、リピーターもできた。百貨店の中心顧客層よりも若い20~40代のお客様、特に20、30代がボリュームゾーンとなっている。コラムを含めたサイトの作り込みやビジュアルにこだわった訴求の効果があったと見ている。ページビュー数も売り上げも当初の見込みを上回っている状況」(橋本部長代理)という。
今後は規模拡大に向けた施策を本格化する。検索連動型広告やディスプレイ広告などネット広告の出稿開始や、現状は京阪電鉄グループの情報誌でのPRなどにとどめているグループの会員基盤を活用したPR策をさらに進める。並行して取扱商品数を増やす。立ち上げ時点から徐々に商品数は拡大しており、9月時点で約700点を販売しているが、来年3月までに数千点まで拡大したい考え。一環として9月29日から、和雑貨を取り扱う「くらしのこみち」と冷凍食品とキッチン用品を販売する「5.0。F(ゴエフ)」という2つの新ショップを出店。この2ショップは京阪百貨店内にもリアルショップを設けている同社運営店だ。なお、今後は実店舗で行う実演販売などの模様を撮影した動画をネット上に掲載するなどの試みを行ない、リアルとネット両方の集客を図る取り組みなどを行っていくという。
また、外部事業者に「よろずを継ぐもの」への出店を誘致する取り組みも進める。現状の6ショップはすべて京阪百貨店自身が運営しているが、出店者の売り上げなどに応じて手数料を徴収する”賃貸型”の出店者を増やしていきたい考え。「すでに(京阪百貨店の)取引先などから出店したいという声を複数頂いている」(新宅担当部長)とし、今後、出店時や出店後の運営のサポートの度合いによってサービス料や手数料などの料率を変えた複数のプランを用意して出店者を募っていく。担当者の思いとしては「来年度(24年3月)までに30ショップが目標。そのうち、自社ショップが10、(外部事業者が出店する)テナントが20というイメージ」(橋本部長代理)とし、さらに販売商品数を増やし、手数料収入を含めた売り上げ拡大を進めたい考え。
「よろずを継ぐもの」は今年5月31日に新設した通販サイト。京阪百貨店では歳暮・中元、各種記念日などのギフト商品をメインとした通販サイトを運営しているが、それとは別ドメインのサイトとなる。「(既存サイトの顧客は)京阪電鉄の沿線や京阪百貨店の商圏となる関西エリアの方々がほとんど。京阪百貨店を知らない商圏外の全国のお客様を相手にしたいことから地方百貨店の通販サイトと色眼鏡で見られることなく本当によいモノをそろえている通販サイトと認識頂けるよう、また、機能面も含めて京阪百貨店のサイトとは切り離した新サイトを立ち上げるほうが良いと判断した」(ECプラットフォーム事業部・新宅義秀担当部長)という。
なお、同サイトはインターファクトリーが提供するクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart(エビスマート)」を利用して構築した。
「よろずを継ぐもの」のコンセプトは「”知る人ぞ知る”を知る面白さ」。「メジャーな商品や型番品の安売りではなく、次代に継いでいくべき優れたモノや技術、人を照らして世の中でまだ広く知られてない商品をその背景も含めて紹介していく。当社のような百貨店が着手すべき通販サイトのあり方を目指した」(同・橋本尚樹部長代理)とする。
サイトは特定の商品や事象をテーマとしたコラムである「STORIES‐読みもの‐」と複数の仮想店舗が出店する形で特定のジャンルや切り口でそれぞれ厳選した商品を並べ販売する「STORES‐ショップ一覧‐」で構成する。
トップページの上部を占め、他サイトとの差別化のための目玉コンテンツであるコラムは特定の製品や事象に関する詳しい特徴や筆者の思い出などを記載した読み物だ。記事は外部に委託せず、すべて同社社員が執筆を担当、月3回ペースで更新する。これまでに静岡の銘菓「うなぎパイ」や老舗の和菓子屋である舟和の「芋ようかん」などをテーマにコラムをアップ。商品に関わる内容のものも多いがコラム終盤に取り上げた商品の購入ページへ誘導するリンクを貼っているわけでなく、あくまで”純読み物”だ。「(通販ページへの)導線を貼った方がよいとの指摘も受けるが、このコラムは販売する商品をコンテンツマーケティングする場所ではない。読み物と物販をしっかり分けることでユーザーの信頼感の醸成にもつながる。またコラムを積み上げていくことで認知度や集客の効果も出てくる。時間はかかってもやってみようと考えた」(橋本部長代理)とする。
トップページ下部には出店する“ショップ”へのリンクを掲載。「よろずを継ぐもの」では物販は仮想モール形式での展開としており、スタート時点では奄美大島や小豆島、屋久島など離島の産品など取り扱う「島の幸々」や全国の道の駅で販売する商品を販売する「道のえきから」、様々な形状やメーカーのこだわりの傘を集めた「傘もよう」、数々のブランドから厳選した”白い商品”のみを取り扱う「COLLECT W(コレクトダブリュー)」の4ショップが出店。各ショップとも京阪百貨店のそれぞれの分野やカテゴリーに精通したバイヤーが中心に運営する同サイト用の独自ショップで、ショップ内でも単に商品を販売するだけでなく、商品紹介ページでは担当バイヤーが自らコラムさながらの詳しい商品のこだわりや背景を記載し、サイト全体のコンセプトである”良いモノを伝える”という統一感を保っている。
現状の売れ筋は離島の産品や道の駅で取り扱う海鮮やスイーツなどの食品。また、「コレクトダブリュー」で販売する3万円程度の靴も予想以上の売れ行きを見せているよう。「まだ、ウェブ広告など本格的な集客策を行っていない段階でも一定のお客様に来訪頂き、リピーターもできた。百貨店の中心顧客層よりも若い20~40代のお客様、特に20、30代がボリュームゾーンとなっている。コラムを含めたサイトの作り込みやビジュアルにこだわった訴求の効果があったと見ている。ページビュー数も売り上げも当初の見込みを上回っている状況」(橋本部長代理)という。
今後は規模拡大に向けた施策を本格化する。検索連動型広告やディスプレイ広告などネット広告の出稿開始や、現状は京阪電鉄グループの情報誌でのPRなどにとどめているグループの会員基盤を活用したPR策をさらに進める。並行して取扱商品数を増やす。立ち上げ時点から徐々に商品数は拡大しており、9月時点で約700点を販売しているが、来年3月までに数千点まで拡大したい考え。一環として9月29日から、和雑貨を取り扱う「くらしのこみち」と冷凍食品とキッチン用品を販売する「5.0。F(ゴエフ)」という2つの新ショップを出店。この2ショップは京阪百貨店内にもリアルショップを設けている同社運営店だ。なお、今後は実店舗で行う実演販売などの模様を撮影した動画をネット上に掲載するなどの試みを行ない、リアルとネット両方の集客を図る取り組みなどを行っていくという。
また、外部事業者に「よろずを継ぐもの」への出店を誘致する取り組みも進める。現状の6ショップはすべて京阪百貨店自身が運営しているが、出店者の売り上げなどに応じて手数料を徴収する”賃貸型”の出店者を増やしていきたい考え。「すでに(京阪百貨店の)取引先などから出店したいという声を複数頂いている」(新宅担当部長)とし、今後、出店時や出店後の運営のサポートの度合いによってサービス料や手数料などの料率を変えた複数のプランを用意して出店者を募っていく。担当者の思いとしては「来年度(24年3月)までに30ショップが目標。そのうち、自社ショップが10、(外部事業者が出店する)テナントが20というイメージ」(橋本部長代理)とし、さらに販売商品数を増やし、手数料収入を含めた売り上げ拡大を進めたい考え。