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Zホールディングスがクイックコマースを強化、「ヤフーマート」専門会社設立し専属配達員も

2022年 8月25日 13:00

 Zホールディングス(=ZHD)が傘下のヤフーやアスクル、出前館とともに都内などで展開する日用品や食料品の即時配送サービス、いわゆるクイックコマースを強化する。専門子会社を新設して同サービスの専属配達員を雇用、配達までのリードタイム短縮や品質を高める。また、商品拡充の一環として拠点内で調理した揚げ物などを販売する試みも始める。このほか、商品在庫拠点の一部では拠点内で商品を販売する取り組みを開始。拠点周辺のサービス対象地域の住人へクイックコマース認知のためのPRを図るほか、拠点の運営費の一部をカバーしたい狙いもあるようだ。
 
 Zホールディングスは今年1月から本格展開を開始した、アスクルが仕入れたティッシュペーパーや洗剤などの日用品や冷凍食品、生鮮品、水、酒などの商品をあらかじめ複数の拠点に在庫しておき、同じく傘下の出前館が展開中のフードデリバリーサービス「出前館」の配達網を活用、顧客宅に即時配達するクイックコマースサービス「Yahoo!マート」を強化する。

 ヤフーは7月1日付で「Yahoo!マート」の拠点運営などを担い、サービス強化を図っていくための100%子会社、ヤフーマートオペレーションズを新設した。なお、同社社長はヤフーの事業推進統括本部の中尾英樹クイックコマース事業室長が就任している。

 専門子会社のもとで、サービス強化を図るため、「Yahoo!マート」の専属配達員の雇用、運用を開始した。従来まで商品の配達はフードデリバリーなどを行う出前館の配達員を活用してきたが、「直接雇用することで自社で教育をした専属配達員でより質の高いサービスを提供したい」(ヤフー)とする。また、フードデリバリーの配達などの兼ね合いもあり、配達時間が読みにくい出前館の配達員と異なり、商品を在庫する拠点内に常に待機し、受注後すぐに配達に向かうことが可能な専属配達員によりクイックコマースで重要な配送リードタイムの短縮や安定を図りたい考えもあるようだ。なお、専属配達員は7月から雇用を開始しているが、全拠点で運用しているわけではなく、配達員の待機スペースなどを設置・確保できている都内5拠点(志村坂上店、三軒茶屋店、高井戸店、明大前店、紀尾井町店)で運用中。拠点によって専属配達員のみで配達している場合と、専属配達員に加えて出前館の配達員も配達している場合があるという。今後、専属配達員を運用する拠点を増やしていく意向。専属配達員のみで配達するか、出前館の配達員も併用していくかは拠点ごと、また、今後、状況などをみながら判断していくという。

 また、新たな試みとして商品を在庫する拠点内で調理した総菜を「Yahoo!マート」で販売、配達する。「具体的な商品や品ぞろえは調整中」(ヤフー)としているがから揚げやコロッケなどの揚げ物などを提供していく考えで年内にも基本的には全拠点で販売をスタートしたいという。

 このほか、一部の商品在庫拠点で店販を開始している。5月25日からZホールディングスおよびヤフーの本社内にあり、同社社員のみが利用できる紀尾井町店(千代田区)のほか、6月10日からは代々木上原店(=写真=渋谷区)、8月5日からは大久保店(新宿区)で拠点内に商品を陳列し、現金やクレジットカードは非対応でQRコード決済などの電子マネーのみで決済可能な無人レジを設置して、来店者が拠点内で商品を購入できるようにした。なお、拠点の営業時間は午前9時から午後9時となる。近隣住民から寄せられた店内販売の要望に応えたという側面のほか、サービス対象エリアである拠点周りの住人へのクイックコマースのPRによる利用促進、また、拠点での商品販売により、拠点運営コストの一部をカバーしたい狙いもあるとみられる。今後も商品販売を行う拠点を増やしていくようだ。

 「Yahoo!マート」は昨年1月からの本格展開開始時には商品在庫拠点を都内7区に8カ所設け、約1500SKUの商品を販売していたが、現在、拠点は都内14区に19カ所、千葉・市川市内に1カ所の合計20拠点を構え、「都内の人口カバー率は8割程度」(ヤフー)という。また、今秋までに都内の練馬区内に設ける新拠点を含め3拠点を新設する計画で、当面の目標としていた東京23区全域のカバーに向け拠点設置を進めている。商品数も現在、各拠点平均で2000SKUを在庫するなど徐々に取扱商品を増やしている。なお、売れ筋は冷凍食品や飲料、コロナ対策のための衛生用品など。また、8月から販売を始めたPBのカークランドシグネチャー製品などを含む「コストコ」の商品などもコストコの店頭価格より高い価格設定となっているものの好調な売れ行きという。

 取扱商品は今後も拡充、予定していた3000SKUまでは増やしていく計画で、売れ筋ですでに400種類を取り扱う冷凍食品をさらに増やしていくほか、アスクルで販売中だが、「Yahoo!マート」では未販売の日用品や飲料などを拡充させていくという。また、今後はアスクルの取引先でマーケティング面などで連携する複数のメーカーと組んで、新商品の先行販売も行っていく考え。

 なお、「Yahoo!マート」の拡販のため、7月28日から8月24日まで割引クーポン券や対象品の割引販売、メーカー協賛品のプレゼントなどを行うキャンペーンを実施した。

 
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