楽天グループは7月21日、仮想モール「楽天市場」出店者向けのイベント「楽天EXPO2022」を開催した(1856号で既報)。楽天市場における下期事業戦略として、商品管理をSKU対応にすることが明らかとなったほか、三木谷浩史社長が当日配送サービスへの意欲を示した。上級執行役員の松村亮コマースカンパニーヴァイスプレジデントに詳しく聞いた。
ーー来年4月にSKU対応による商品管理を導入する。狙いは。
「これまではアパレルなら色やサイズではなく、アイテムというざっくりした単位で管理していた。色やサイズで分ける場合でも、データベース上は同一アイテムとして管理しており、項目別の選択肢を設けることで商品ページ上での変化を持たせていた。来年以降は、アパレルでいえば色やサイズまで分解した形で管理できるようになる」
「楽天市場は非型番商品が強い売り場だが、型番商品を扱う店舗から『もっと商品を探しやすくしてほしい』という声が以前からあった。統一性を高めることで、JANコードが付いているような商品は探しやすくなるし、オリジナル商品でも1つの商材で複数種類があるようなものは表現しやすくなる」
ーー価格の異なる同一商品を1つの商品ページで販売できるようになる。
「消費者にとっては、楽天市場内商品ページのユーザーインターフェースが改善し、探しやすくなる。また、店舗にとっては売り方の幅が大きくなるのが大きい。定期購入に関しても、各商品ページでの対応が可能となる。これまでは商品管理がSKU別ではないので、通常購入と定期購入で別商品として登録する必要があった。数量ごとの価格設定により、5個売るより10個まとめて売る方が安くできるというような、ボリュームディスカウントも可能になる。さらに、送付先エリアに基づく、より詳しい日付計算が可能になるため、最短指定可能日を検索・商品ページへ分かりやすく表示される」
「SKU対応でできることはたくさんあるが、今回の変更はフェーズ1にあたる。他にもさまざまな変更を予定しており、今よりも格段に売りやすく買いやすい売り場になるはずだ」
ーー「送料無料ライン」の導入から2年半が経過した。
「今年7月時点で93・3%の店舗が導入した。その背景にあるのは成長性だ。今年4月の施策導入店舗と未導入店舗の流通総額成長率を前年同期比で比較すると、前者が17・3ポイント上回っている。初めは『本当に伸びるのか』と思っていた店舗も、こうしたデータを見たり、周囲の店舗の声を聞いたりすることで導入に至っている」
「また、『送料の分かりやすさ』に関するユーザー評価も大きく改善しており、施策を開始した2020年3月から今年6月で16・9ポイント良くなっている。長年課題にしていた部分だが、送料の分かりやすさが武器となりつつある」
ーー95%以上の導入を目指すとのことだが、達成できそうか。
「時間の問題だと思っている。楽天EXPOや新春カンファレンスで公表したポジティブなデータが浸透してきているのではないか、また、タウンミーティングにおける店舗とのコミュニケーションも役立っている。ただ、95%に到達したからといって、施策の除外ジャンルを変更するようなことはない」
ーーライブコマースへの取り組みを本格化している。
「各店舗のライブ配信を紹介するページ『楽天市場ショッピングチャンネル』の視聴が伸びており、ライブショッピング経由の流通額は、昨年12月と今年6月を比較すると、約2・8倍となっている。『今までとは角度を変えた売り方を作って欲しい』という声が店舗からはずっとあり、その試みの1つがライブコマースだ。まだ試行錯誤をしている段階だが、流通は伸びてきているので、来年に向けて拡大していきたい」
ーーライブコマースへの今後の期待は。
「ライブコマースに限った話ではないが、売り方のフォーマットやチャネルを増やしていかなければいけない。もちろん『楽天スーパーセール』や『お買い物マラソン』のような大型セールや、『母の日』のようなシーズナルイベントは非常に強いし、今後も伸ばしていくが、それ以外にもさまざまな売り方を楽天が用意し、店舗が活用できるようになれば、良い循環が生まれる。ライブコマースだけではなく、ショッピングSNS『ROOM』におけるインフルエンサーとコラボレーションした商品企画などもこういった『新しい売り方』の1つだ」(つづく)
ーー来年4月にSKU対応による商品管理を導入する。狙いは。
「これまではアパレルなら色やサイズではなく、アイテムというざっくりした単位で管理していた。色やサイズで分ける場合でも、データベース上は同一アイテムとして管理しており、項目別の選択肢を設けることで商品ページ上での変化を持たせていた。来年以降は、アパレルでいえば色やサイズまで分解した形で管理できるようになる」
「楽天市場は非型番商品が強い売り場だが、型番商品を扱う店舗から『もっと商品を探しやすくしてほしい』という声が以前からあった。統一性を高めることで、JANコードが付いているような商品は探しやすくなるし、オリジナル商品でも1つの商材で複数種類があるようなものは表現しやすくなる」
ーー価格の異なる同一商品を1つの商品ページで販売できるようになる。
「消費者にとっては、楽天市場内商品ページのユーザーインターフェースが改善し、探しやすくなる。また、店舗にとっては売り方の幅が大きくなるのが大きい。定期購入に関しても、各商品ページでの対応が可能となる。これまでは商品管理がSKU別ではないので、通常購入と定期購入で別商品として登録する必要があった。数量ごとの価格設定により、5個売るより10個まとめて売る方が安くできるというような、ボリュームディスカウントも可能になる。さらに、送付先エリアに基づく、より詳しい日付計算が可能になるため、最短指定可能日を検索・商品ページへ分かりやすく表示される」
「SKU対応でできることはたくさんあるが、今回の変更はフェーズ1にあたる。他にもさまざまな変更を予定しており、今よりも格段に売りやすく買いやすい売り場になるはずだ」
ーー「送料無料ライン」の導入から2年半が経過した。
「今年7月時点で93・3%の店舗が導入した。その背景にあるのは成長性だ。今年4月の施策導入店舗と未導入店舗の流通総額成長率を前年同期比で比較すると、前者が17・3ポイント上回っている。初めは『本当に伸びるのか』と思っていた店舗も、こうしたデータを見たり、周囲の店舗の声を聞いたりすることで導入に至っている」
「また、『送料の分かりやすさ』に関するユーザー評価も大きく改善しており、施策を開始した2020年3月から今年6月で16・9ポイント良くなっている。長年課題にしていた部分だが、送料の分かりやすさが武器となりつつある」
ーー95%以上の導入を目指すとのことだが、達成できそうか。
「時間の問題だと思っている。楽天EXPOや新春カンファレンスで公表したポジティブなデータが浸透してきているのではないか、また、タウンミーティングにおける店舗とのコミュニケーションも役立っている。ただ、95%に到達したからといって、施策の除外ジャンルを変更するようなことはない」
ーーライブコマースへの取り組みを本格化している。
「各店舗のライブ配信を紹介するページ『楽天市場ショッピングチャンネル』の視聴が伸びており、ライブショッピング経由の流通額は、昨年12月と今年6月を比較すると、約2・8倍となっている。『今までとは角度を変えた売り方を作って欲しい』という声が店舗からはずっとあり、その試みの1つがライブコマースだ。まだ試行錯誤をしている段階だが、流通は伸びてきているので、来年に向けて拡大していきたい」
ーーライブコマースへの今後の期待は。
「ライブコマースに限った話ではないが、売り方のフォーマットやチャネルを増やしていかなければいけない。もちろん『楽天スーパーセール』や『お買い物マラソン』のような大型セールや、『母の日』のようなシーズナルイベントは非常に強いし、今後も伸ばしていくが、それ以外にもさまざまな売り方を楽天が用意し、店舗が活用できるようになれば、良い循環が生まれる。ライブコマースだけではなく、ショッピングSNS『ROOM』におけるインフルエンサーとコラボレーションした商品企画などもこういった『新しい売り方』の1つだ」(つづく)