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消費者委員会の松本恒雄委員長に聞く――健食表示制度改革の行方は

2010年 9月16日 21:23

6men.JPG 消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理を受け、今後、委員会では特定保健用食品(トクホ)の表示許可制度や健康食品表示の効果的な規制の手法などを継続審議していくことになる。ただ、委員会の任期は1年しか残されておらず、テーマが幅広い分野に及ぶことを考えると迅速に対応することが求められてくる。委員会が今後、どのように審議を進めていくのか、消費者委員会の委員長を務める松本恒雄一橋大学大学院法学研究科教授に聞いた。(聞き手は本紙記者・佐藤真之)

 消費者委員会(委員会)では今後、審議をどう進めていくのか

 「具体的な方法はまだ固まっていません。ただ委員会は2年目に何を行うか問われている時期でもあり、9月中に決めなければと考えています」

 委員会で審議するのか、もしくは既存、新規の部会や調査会を活用するのか。

 「委員会は任期が残り1年しかありません。来年8月末で部会や調査会を含めた今の組織は解散となり、メンバーも再任を除き入れ替わります。その間に一定の結論を示さねばならず、短期間でどこまでやれるか分かりませんが効率性を考慮して考えます」

 引き継いで審議できないのか。

 「中間報告を出すことは考えられますが、内閣が変わることと同じですから基本的にはありません。それを引き継ぐか全く新しい方針、組織編制で行うかは次の委員会が決めることです」

 1年で行うには難しいテーマではないか。

 「そうですね。ただ、消費者庁の検討会は、花王の『エコナ』を巡る問題がきっかけになっていますから、『トクホの表示許可制度』についてはある程度議論を深めなければいけない」

 テーマに優先順位をつけるということか。

 「論点整理は、法制度の整備に向けた論点と運用面の論点に大別されます。重視するのは法制度の整備に向けた部分。(表の)(5)や(6)については早急に結論を出すテーマではありません」

 個別テーマについて伺いたい。トクホの表示許可制度についてはどう審議を進める。

 「(1)と(2)は法改正につながる議論のため法律の専門家の参加が必要になりますが、一方で"どの程度のエビデンス(科学的根拠)を判断基準とするか"という技術的な問題も絡むため学識経験者の助言も必要になります」

 既存の「新開発食品調査部会」を活用することも考えられる。

 「確かに科学者を中心に構成されていますが、制度設計の専門の方がメンバーになっていません。『新開発食品調査部会』の下部組織として3つ目の調査会を作り、新たに法律家や技術の専門家を選任して行うことは考えられます」

 「健食表示の効果的な規制や情報提供の仕組み」についてはどうか。

 「(3)はむしろ消費者庁の『食品表示課』と『表示対策課』でいかに連携を図るか検討してもらったほうが良いと思う。ただ『(健康増進法などの)制度の拡充』という部分は法律論なので委員会で議論を深める必要があります」

 「(4)は、『食品表示の一元的な法体系の検討と整合性をとりつつ』と書かれているが、そもそもこのテーマ自体、消費者庁でどう進むのか分からない。そちらの議論が進まなければ議論の行いようがありません」

 「食品表示部会」を活用する方法はないか。

 「『食品表示部会』はJAS法関連の表示が中心で、健食そのものに正面から取り組んでいるわけではありません。各法の連携や(4)のようなテーマを議論することは考えられますが、(健増法の)制度拡充となると難しい」

 テーマごとに審議の場を分けるイメージか。

 「その考えはあります。とにかく、あらゆるテーマを含むため一つの組織で議論するのは難しい」

 新組織を立ち上げるとなるとスケジュールはどうなる。

 「今から人選を始めて大臣の承認を得るとなれば審議開始は11月頃になってしまう。そうなると任期終了まで約半年。新たに組織をつくるより既存の枠組みを活用するほうが議論は早く進むとは思います」

 予算の面からも新しい組織をつくることは難しい。

 「予算より人事や運営スタッフの確保が大変ではないかと思う。今でさえ7つの部会等を運営している状態ですから」

 新組織を発足する際の人選は。

 「事務局の選んだ候補から選出する方と、大臣による政治任命という形があります」
 委員会のメンバーは既存や新規の調査会に参加できるのか。
 「担当委員という形で参加できます」

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