越境ECを始めたものの成果が出ない企業は多い。そこで、アジア向け越境ECのモール出品や貿易・フルフィルサービス、デジタルマーケティング、オフライン販売支援などを総合的に手がけるアジアンブリッジ代表の阪根嘉苗氏(=
写真)に、越境EC担当者に求められるスキルなどを語ってもらった。
さまざまなメーカー、事業者の担当者とやりとりをしていますが、越境ECで成功する企業と失敗する企業とを分ける要素として大きいのは、越境EC担当者のスキルだと思います。そのスキルとして最初に挙げたいのが社内調整力です。
越境ECを始めるのに当たって事業計画を立てると思いますが、多くの場合、見込んでいた売り上げ、利益と現実とにギャップが生じます。その際、社内に海外市場の実態をしっかり説明できなければいけません。計画と違うからといって支援会社を変更しても海外市場の状況は変わりませんので、狙っている市場によりフィットする手を打てるかどうかです。
例えば、定期購入型の通販で成功している日本の企業がアジア市場でも定期購入型通販を展開したいと思っても、アジアでは馴染みが薄く浸透しないというケースがあります。
そのとき、会社が求めているのは必ずしも定期購入型にこだわるのではなく、売り上げと利益をしっかり確保できればいいという場合もあります。
そうであれば、売り上げと利益が伴う商売の方法を支援企業と一緒に考えればいいのです。商習慣が異なるのに定期購入の仕組みをゴリ押しするのはダメです。
そもそも定期購入はアジアでは浸透していないし、アジアの人はまとめてお得に買いたいニーズが高いです。日本よりもクレジットカード保持率が少ないので、毎月引き落としされる定期購入の仕組みに馴染みません。
それに、日本の定期購入によくある、初回だけ安くて2回目以降は高くなるという売り方はアジアにはあまりないので、すぐに解約されてしまいます。
海外では消費者が守られていることも多く、例えば、台湾ではインターネットで購入した商品は、到着後7日間は返品できる法律があって、その商品を使っても問題なく返品可能です。そのため、ECは気軽に返品できるという感覚が強く、いわゆる”定期縛り”は通用しません。
海外のEC市場では一般的に返品率が多いので、返品率を下げる努力だけでなく、返品率が多いことを前提にした事業計画を立てることも大事です。
商品価格についてですが、海外では二重価格で販売するキャンペーンが目立ちます。やはりECでお得に買いたいという人が多く、割引されていない商品は買ってもらえません。日本は二重価格に対するルールが厳しいですが、定価で買ってもらうのが難しい越境ECでは、少し割り切った販売手法が必要かもしれません。
一方で越境EC担当者にとって語学力は重要ではなく、ほとんど必要ないと言ってもいいくらいです。支援会社もサポートしますし、翻訳ツールでも簡単な商品説明などはまかなえます。それよりも、現地の商習慣を理解し、販売戦略を調整できる柔軟性の方が越境EC担当者には大事です。
支援会社を活用せずに自力で越境ECに乗り出す場合は、少なくとも市場調査、競合調査を行うスキルが不可欠です。自社で売りたい商品の競合商品が海外市場にもありますので、それらがどういう売り方をしているのかを知っておく必要があります。現地に行かずとも、最近はオンライン上で市場調査はできますし、セミナーなどに参加して情報収集することも可能です。
また、越境EC担当者には迅速な対応力も必要です。海外のEC市場では法律の変化や販売手法のトレンドの変化などが早いので、常にアンテナを張り、競合他社の成功事例などを収集できないといけません。
加えて、越境ECの現状を定量的に分析することも大事です。集客施策ができていないのに、「売り上げが伸びないのはニーズがなかったから」などと結論づけてはダメです。定量的に分析するためにも、「グーグルアナリティクス」を使って集客構造を理解できるようにしましょう。商習慣の違いはあっても、EC集客の仕組みは日本でも越境ECでも同じですので、日本で蓄積した集客施策は海外でも生かせる。
越境ECは思った通りにならないと思いますが、失敗を恐れず、目の前のリスクを理解した上で前進できる人が担当者としては最適だと思います。
さまざまなメーカー、事業者の担当者とやりとりをしていますが、越境ECで成功する企業と失敗する企業とを分ける要素として大きいのは、越境EC担当者のスキルだと思います。そのスキルとして最初に挙げたいのが社内調整力です。
越境ECを始めるのに当たって事業計画を立てると思いますが、多くの場合、見込んでいた売り上げ、利益と現実とにギャップが生じます。その際、社内に海外市場の実態をしっかり説明できなければいけません。計画と違うからといって支援会社を変更しても海外市場の状況は変わりませんので、狙っている市場によりフィットする手を打てるかどうかです。
例えば、定期購入型の通販で成功している日本の企業がアジア市場でも定期購入型通販を展開したいと思っても、アジアでは馴染みが薄く浸透しないというケースがあります。
そのとき、会社が求めているのは必ずしも定期購入型にこだわるのではなく、売り上げと利益をしっかり確保できればいいという場合もあります。
そうであれば、売り上げと利益が伴う商売の方法を支援企業と一緒に考えればいいのです。商習慣が異なるのに定期購入の仕組みをゴリ押しするのはダメです。
そもそも定期購入はアジアでは浸透していないし、アジアの人はまとめてお得に買いたいニーズが高いです。日本よりもクレジットカード保持率が少ないので、毎月引き落としされる定期購入の仕組みに馴染みません。
それに、日本の定期購入によくある、初回だけ安くて2回目以降は高くなるという売り方はアジアにはあまりないので、すぐに解約されてしまいます。
海外では消費者が守られていることも多く、例えば、台湾ではインターネットで購入した商品は、到着後7日間は返品できる法律があって、その商品を使っても問題なく返品可能です。そのため、ECは気軽に返品できるという感覚が強く、いわゆる”定期縛り”は通用しません。
海外のEC市場では一般的に返品率が多いので、返品率を下げる努力だけでなく、返品率が多いことを前提にした事業計画を立てることも大事です。
商品価格についてですが、海外では二重価格で販売するキャンペーンが目立ちます。やはりECでお得に買いたいという人が多く、割引されていない商品は買ってもらえません。日本は二重価格に対するルールが厳しいですが、定価で買ってもらうのが難しい越境ECでは、少し割り切った販売手法が必要かもしれません。
一方で越境EC担当者にとって語学力は重要ではなく、ほとんど必要ないと言ってもいいくらいです。支援会社もサポートしますし、翻訳ツールでも簡単な商品説明などはまかなえます。それよりも、現地の商習慣を理解し、販売戦略を調整できる柔軟性の方が越境EC担当者には大事です。
支援会社を活用せずに自力で越境ECに乗り出す場合は、少なくとも市場調査、競合調査を行うスキルが不可欠です。自社で売りたい商品の競合商品が海外市場にもありますので、それらがどういう売り方をしているのかを知っておく必要があります。現地に行かずとも、最近はオンライン上で市場調査はできますし、セミナーなどに参加して情報収集することも可能です。
また、越境EC担当者には迅速な対応力も必要です。海外のEC市場では法律の変化や販売手法のトレンドの変化などが早いので、常にアンテナを張り、競合他社の成功事例などを収集できないといけません。
加えて、越境ECの現状を定量的に分析することも大事です。集客施策ができていないのに、「売り上げが伸びないのはニーズがなかったから」などと結論づけてはダメです。定量的に分析するためにも、「グーグルアナリティクス」を使って集客構造を理解できるようにしましょう。商習慣の違いはあっても、EC集客の仕組みは日本でも越境ECでも同じですので、日本で蓄積した集客施策は海外でも生かせる。
越境ECは思った通りにならないと思いますが、失敗を恐れず、目の前のリスクを理解した上で前進できる人が担当者としては最適だと思います。