前号に続き、auコマース&ライフ(=auCL)の八津川博史社長に、仮想モール「auPAYマーケット」における昨年の取り組みや今年の目標を聞いた。
◇
――体験型サービスの取り扱いを開始した。利用動向は。
「昨年12月の段階では約3500店舗が掲載しており、緊急事態宣言が明けてから一気に利用が伸びた。物販の利用者がコト系を利用するケースも増えているが、今後、キャンペーンの開催など、コト系の集客を強化することで、コト系の利用者が物販を利用するという逆の流れも作り出していきたい。また、ライブコマース×コト系は新しい領域だと思うので、チャレンジしていく」
「コト系の利用者は、モール全体の利用者に占める割合としてはまだまだ少ないが、モールの流通額がかなりの規模になっているので、利用者数としてはなかなかの規模だと思う。どこまで伸ばしていけるかが来期に向けての楽しみとなっている」
――コト系商材の利用者に物販のレコメンドをしていく、というような取り組みはしているのか。
「まだそこまでは進んでおらず、コト系利用者に親和性の高い商材を探るのは今後のチャレンジ領域だ」
――データ活用に関して。
「顧客のライフステージによってお金のかける部分は全く変わってくる。また、ライフスタイルも重要で、例えばコロナ禍でペットを飼う家庭が増えたように思う。こういったデータは、当社のプラットフォームはもちろん、au経済圏全体のデータもあるので、こうしたデータをしっかりと利活用していくことで、顧客に寄り添ったサービスにしていきたい」
――競合となる仮想モールに対する強みは。
「
au経済圏全体で取り組んでいるので、データの広さや深さは他社とは違うものだと思う。顧客に提案するだけではなく、店舗に対しても販促に使える武器として提供していく。店舗へのマーケティングオートメーション(MA)ツールの提供も始まっており、店舗からすると適切なタイミングに適切な顧客が絞り込めるようになってきている」
――auでは「povo」が始まるなど、業界全体で「携帯電話料金の値下げ」という大きな変化があったが、仮想モールにはどんな影響をもたらしたか。
「顧客との接点が広がった。それに応じた認知度拡大や利用促進を進めている途上で、そのための取り組みの1つが、UQモバイルの店舗における、モールへの入会勧誘だ。povoはトッピング型サービスなので、モールを認知してもらう機会が増えるのではないか」
――販促に関しては、以前に比べると割引クーポンの発行が減っているようだ。
「『お得なポイント交換所』の活用を、より進めていきたいという意図がある。クーポンをバラバラに発行するよりも、交換所の利用を分かりやすく訴求していきたい」
――昨年導入した出店者向け支援策は。
「ライブコマースサービス『ライブTV』において、11月11日に店舗による『ライブ配信機能』の提供を開始した。今までとは違う顧客にリーチできるという点から、新しい打ち手といえるのではないか。また、先ほどMAツールについて説明したが、販促のオートメーション化も進んでいる。例えば、商品購入の手前で離脱した顧客に向けた割引クーポンの自動配信など、店舗への武器となる機能の提供も10月から開始した」
――ライブコマースの利用は進んでいるのか。
「思いのほか視聴者数が積み上がってきており、少しずつ市民権を得てきているように思う。吉本興業とコラボレーションした取り組みを行っているが、継続して取り組んでいるという部分も大きいのではないか。また、3の付く日に開催する『三太郎の日』と絡めると効果が出ることも分かっており、ライブ配信『17LIVE』との同時配信といったチャレンジも進めている」
――商品を購入してもらうための工夫は。
「ライブ配信中の購入だけではなく、アーカイブ配信からの購入も重要になってくる。そのため、配信で紹介された商品のページにアーカイブへのリンクを張れるようにしている。静的な画像・テキストよりも圧倒的な情報量があるので、購入に関しても右肩上がりで伸びている」
――店舗におけるライブ配信機能の活用は。
「美容や化粧品のカテゴリーは親和性が高いので、店舗からの問い合わせはかなり来ている」
――下期の取り組みは。
「ライブTVを強化していく。他社サービスとの連携も含めて、チャレンジしていきたい。データの利活用もこれまで以上に進めていく。12月にはポイント10~20%還元の商品を、日替わり・週替わりで掲載する『超還元セレクト』と、スマートパスプレミアム会員限定の割引商品を日替わり・曜日替わりで掲載する『auスマートパスプレミアム会員限定 お買い得市』を始めるなど、売り場を拡充して顧客との接点を増やしている」
――他の仮想モールでは物流支援サービスを強化している。
「確かに重要な部分だが、モールとしての規模感の問題があり、当モールは楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングには大きく及ばない。一足飛びに似たようなサービスを展開する段階ではなく、やらなければいけないことがたくさんある。当モールだからこそ、出店者に提供できる価値は、物流支援サービス以外にまだまだあると思っている」
――2022年の取り組みに関して。
「
コト系サービスは伸びしろの大きい領域だと思っているので、さまざまな仕掛けをしていく。そこから新しい顧客を獲得し、物販とのシナジーを生んでいきたい。また、データ回りに関しては、活用することで、いかに顧客に寄り添った、居心地の良いサービスにしていけるか。店舗にも武器としてデータを活用したサービスを提供していく」(おわり)
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――体験型サービスの取り扱いを開始した。利用動向は。
「昨年12月の段階では約3500店舗が掲載しており、緊急事態宣言が明けてから一気に利用が伸びた。物販の利用者がコト系を利用するケースも増えているが、今後、キャンペーンの開催など、コト系の集客を強化することで、コト系の利用者が物販を利用するという逆の流れも作り出していきたい。また、ライブコマース×コト系は新しい領域だと思うので、チャレンジしていく」
「コト系の利用者は、モール全体の利用者に占める割合としてはまだまだ少ないが、モールの流通額がかなりの規模になっているので、利用者数としてはなかなかの規模だと思う。どこまで伸ばしていけるかが来期に向けての楽しみとなっている」
――コト系商材の利用者に物販のレコメンドをしていく、というような取り組みはしているのか。
「まだそこまでは進んでおらず、コト系利用者に親和性の高い商材を探るのは今後のチャレンジ領域だ」
――データ活用に関して。
「顧客のライフステージによってお金のかける部分は全く変わってくる。また、ライフスタイルも重要で、例えばコロナ禍でペットを飼う家庭が増えたように思う。こういったデータは、当社のプラットフォームはもちろん、au経済圏全体のデータもあるので、こうしたデータをしっかりと利活用していくことで、顧客に寄り添ったサービスにしていきたい」
――競合となる仮想モールに対する強みは。
「au経済圏全体で取り組んでいるので、データの広さや深さは他社とは違うものだと思う。顧客に提案するだけではなく、店舗に対しても販促に使える武器として提供していく。店舗へのマーケティングオートメーション(MA)ツールの提供も始まっており、店舗からすると適切なタイミングに適切な顧客が絞り込めるようになってきている」
――auでは「povo」が始まるなど、業界全体で「携帯電話料金の値下げ」という大きな変化があったが、仮想モールにはどんな影響をもたらしたか。
「顧客との接点が広がった。それに応じた認知度拡大や利用促進を進めている途上で、そのための取り組みの1つが、UQモバイルの店舗における、モールへの入会勧誘だ。povoはトッピング型サービスなので、モールを認知してもらう機会が増えるのではないか」
――販促に関しては、以前に比べると割引クーポンの発行が減っているようだ。
「『お得なポイント交換所』の活用を、より進めていきたいという意図がある。クーポンをバラバラに発行するよりも、交換所の利用を分かりやすく訴求していきたい」
――昨年導入した出店者向け支援策は。
「ライブコマースサービス『ライブTV』において、11月11日に店舗による『ライブ配信機能』の提供を開始した。今までとは違う顧客にリーチできるという点から、新しい打ち手といえるのではないか。また、先ほどMAツールについて説明したが、販促のオートメーション化も進んでいる。例えば、商品購入の手前で離脱した顧客に向けた割引クーポンの自動配信など、店舗への武器となる機能の提供も10月から開始した」
――ライブコマースの利用は進んでいるのか。
「思いのほか視聴者数が積み上がってきており、少しずつ市民権を得てきているように思う。吉本興業とコラボレーションした取り組みを行っているが、継続して取り組んでいるという部分も大きいのではないか。また、3の付く日に開催する『三太郎の日』と絡めると効果が出ることも分かっており、ライブ配信『17LIVE』との同時配信といったチャレンジも進めている」
――商品を購入してもらうための工夫は。
「ライブ配信中の購入だけではなく、アーカイブ配信からの購入も重要になってくる。そのため、配信で紹介された商品のページにアーカイブへのリンクを張れるようにしている。静的な画像・テキストよりも圧倒的な情報量があるので、購入に関しても右肩上がりで伸びている」
――店舗におけるライブ配信機能の活用は。
「美容や化粧品のカテゴリーは親和性が高いので、店舗からの問い合わせはかなり来ている」
――下期の取り組みは。
「ライブTVを強化していく。他社サービスとの連携も含めて、チャレンジしていきたい。データの利活用もこれまで以上に進めていく。12月にはポイント10~20%還元の商品を、日替わり・週替わりで掲載する『超還元セレクト』と、スマートパスプレミアム会員限定の割引商品を日替わり・曜日替わりで掲載する『auスマートパスプレミアム会員限定 お買い得市』を始めるなど、売り場を拡充して顧客との接点を増やしている」
――他の仮想モールでは物流支援サービスを強化している。
「確かに重要な部分だが、モールとしての規模感の問題があり、当モールは楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングには大きく及ばない。一足飛びに似たようなサービスを展開する段階ではなく、やらなければいけないことがたくさんある。当モールだからこそ、出店者に提供できる価値は、物流支援サービス以外にまだまだあると思っている」
――2022年の取り組みに関して。
「コト系サービスは伸びしろの大きい領域だと思っているので、さまざまな仕掛けをしていく。そこから新しい顧客を獲得し、物販とのシナジーを生んでいきたい。また、データ回りに関しては、活用することで、いかに顧客に寄り添った、居心地の良いサービスにしていけるか。店舗にも武器としてデータを活用したサービスを提供していく」(おわり)