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消費者庁の健食表示制度改革、健食の機能性評価モデル事業へ、次年度予算8300万円計上

2010年 9月 2日 10:43

海外情勢など踏まえ10成分選定

消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」が論点整理を終えて1カ月が経過し、徐々に特定保健用食品(トクホ)を含む健康食品の制度改革の方向性が明らかになってきた。まず次年度の予算計上と共に具体化したのが「食品(健食)の機能性評価に関するモデル事業」。消費者庁は、「本当に機能性があるのか否か、見極めるため」(食品表示課)としており、必ずしも健食の有効性を積極的に評価し、産業としての明確な位置づけを主たる目的とするものではない。が、今後の改革がどのように進められていくか、注目する必要がある。

「食品の機能性評価に関するモデル事業」について、消費者庁では次年度、8300万円の予算を計上する。

 モデル事業は民間の事業者にマネジメントを委託。消費者庁では、複数の学者や技術者からなる「評価委員会(仮称)」を中心として、個別の成分について機能性を評価する「機能性評価専門チーム(同)」を設置する構想だ。

 各チームは学術論文や研究機関のデータ収集、諸外国の実態把握などを行い、必要に応じて疫学調査も実施。チーム発足に伴う人件費や調査費を予算として計上した。

 実際、機能性評価を行う成分は未定だが、「検討会資料や農林水産省が行っている『食に関する将来ビジョン(※1)』の審議内容、コーデックス(※2)の評価を参考に10成分程度を選ぶ」(食品表示課)。

 海外ではDHAやEPAといった成分の有効性が、高い科学的根拠を持った例として示されているケースもあり、こうした中から成分が選ばれる可能性もある。消費者庁では来年4月から委託事業者の選定を始め、年度内に機能性評価について報告をまとめる。

 このモデル事業は、検討会の論点整理における「一定の機能性表示を認める仕組みの研究」に基づいて行われるもの。検討会では当初、トクホ許可表示の要件緩和などが盛込まれていたが、消費者団体などの反発を受け、「機能表示を認める可能性があるかどうか引き続き研究を進める」と大きく後退した経緯がある。

 そのため、事業の目的も「そもそも一定の機能性があるか否か、検討の必要性を探る前段階の研究。仮にトクホレベルでなくても一定の機能性が認められるのであれば、トクホとは別に新たな機能性表示の制度を検討する必要はある」(同)とするに留めている。



 このほか、論点整理にはトクホや健食の広告についてガイドラインを作成や、トクホの表示方法の改善が盛込まれている。各課題の実施時期について「早いものは年内、遅くとも年度内には方向性を示す」(同)としているが、具体的なタイムスケジュールは明らかにされていない。

 ただ、検討会においても、トクホの広告宣伝については、表示許可を受けた内容を越えるものが散見されることが複数の委員から指摘されおり、トクホの広告ガイドラインは、健康増進法(健増法)に法解釈を加えた内容となる見通し。

 例えば、表示許可の範囲。健増法では、「容器・包装、添付文書」に留まるが、テレビCMなど広告は含まれておらず、表示を逸脱した内容の広告もみられる。こうした広告が健増法に抵触することなどを示すようだ。また、健食についても違法な広告の具体的な事例を示す。

     ◇

 一方、8月27日に行われた消費者委員会では、(1)トクホ表示許可制度(再審査手続きの判断基準など)、(2)健食の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みについて、議論を継続することなど、論点整理の内容が報告された。
 ただ、今後、どのような形で審議を行うかについては「できるだけ早く着手するが、(下部組織となる)専門調査会の設置の有無や業界団体からのヒアリングの必要性など審議の進め方、審議開始のタイミングや人選は未定」(事務局)として、全くの白紙。月2回開催される委員会で検討していくとしている。

 ※1=農林水産分野の新たな成長戦略を策定する目的で今年4月から行われている会合。健食(機能性食品)も新たなビジネスとして支援のあり方が議論の対象となった。

 ※2=国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が共同で設立した合同食品規格委員会。





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