前号に引き続き、ジュンの中嶋賢治取締役執行役員(
写真)に自社EC強化策やOMO戦略などを聞いた。
――オムニ化やOMO戦略に不可欠な在庫や顧客情報などの一元化の進捗状況は。
「実店舗と自社ECの会員情報はだいぶ前に統合している。在庫もほぼ一元化できていて、ECに在庫がなければ店舗の在庫を引き当てたり、店頭に在庫がない場合はEC側の在庫を引き当てる取り組みを進めている」
――OMOの実現にはコストもかかる。
「自社ECの『ジャドールジュンオンライン』では5月にエンジンを『ショッピファイ』さんに載せ替えたが、その大きな理由がOMOの推進だ。『ショッピファイ』さんは、日本では簡単にECが構築できるサービスとして話題になることが多いが、海外では大企業も導入しているし、在庫管理だけでなく配送や決済まで管理するシステムを提供している。当社ではエンタープライズプランの『ショッピファイプラス』をもとに、『ショッピファイPOS』も使ってOMOを実現していく」
――海外のECプラットフォームを選んだ理由は。
「国内ECベンダーさんのエンジンを当社用にカスタマイズしていくと、従来の自社ECの建付けと同じで、新しい機能やサービスを追加するたびに開発の時間とコストがかかる。建屋を増やし続けるようなことは避けたかった。今回、『ショッピファイプラス』パートナーのウェブライフジャパンさんに尽力頂いて、従来のエンジンと連結させて作ってきた部分も短い期間でつないでもらった」
――「ショッピファイ」の利点は。
「『ショッピファイ』さんはユーザーの数も開発チームの人数も多く、世界中で新しい機能やソリューションが開発されていることは強みになる。まずは『ショッピファイプラス』の導入で支払い方法の多様化や、実売商品と予約商品の同時購入も可能になるが、新しい機能をどうキャッチアップしていくかが大事で、それが当社に合うかどうかをテストしながら実装できる」
――「ショッピファイPOS」の導入は。
「8月から一部テストを始め、2~3カ月をかけて開発を進めている。今年中には形にしたい」
――投資の考え方については。
「ロジスティクスやDX化の動きも含めて、会社のインフラとして必要な部分をいかにお客様の行動の変化に合わせて変えていくかが大事になるし、その変化のスピードも速いので、大規模なものを何年もかけて投資していくよりは、フットワークの軽い開発の仕方が必要になる」
「『ショッピファイ』と『ショッピファイPOS』を使ったOMOの仕組みは、アパレルに限らず日本のリテールにとって重要な仕組みになっていくと思う。『ショッピファイプラス』は小さく試すためのコアな部分がしっかりしている」
――2年後に計画するEC化率40%の世界では、実店舗とECの併用客が相当増えるイメージか。
「併用客が増えるだけでなく、実店舗にいながらECを使い、ECを見ながら実店舗も利用するといった本当の意味でのクロスユースになるだろう。国内のアパレル業界でそうした取り組みを実現している企業はまだ少ないが、海外の事例を含めて『ショッピファイ』さんの活用のされ方を見ているとクロスユースの部分が進んできているので、当社としても真っ先に対応できるようにしたい」
――OMOを進める上で商業施設との契約面や店舗販売員の評価制度はどうなるのか。
「スタッフの評価制度は進んでいて、実店舗とECの壁はだいぶなくなっている。課題はデベロッパーさんとの部分だ。お客様にとって本当に良いサービスを開発するには、当社とデベロッパーさんとが力を合わせていく必要がある。『ショッピファイPOS』の導入もデベロッパーさんと協議させて頂く良い機会になる。お客様にとって商業施設が不便で魅力のない場所にならないようにしたい」
――店舗の提供価値はどう変化するのか。
「ショールーミングストアのような取り組みが増えてきているが、当社は全国に店舗を持ち、駅上の立地にも店舗を構えているので、従来型のブランドの縛りでお客様に提供してきたサービスだけでなく、ブランドの縛りを取り払ってお客様に提供できるサービスなどもあり得る。立地や働くスタッフなども踏まえて各店舗が提供するサービスや機能を再設計していくことになるのではないか」
――店舗の機能として、購入者の自宅に近い店から商品を発送するような取り組みは。
「考え方としては大事で、お客様の自宅に一番近くて在庫のある店舗から商品を届けられれば一番早く届く。実現するための機能はあって、そこにオペレーションを結びつけ、サービス水準を高められるかがOMO戦略としては重要だ。日本の場合、海外と比べて物流網が優れていて商品が届くスピードも早い。お客様が何を望まれるのかを重視し、日本独自のOMOのあり方を探っていきたい」
――足もとで注力している部分は。
「『ショッピファイプラス』と『ショッピファイPOS』を導入することで実現できるサービスは見えているが、それをオペレーションの観点から実店舗とEC側でお客様に分かりやすく伝えることが大事だ。サービスを使ってもらえるよう、購入後の案内なども含めて工夫しながら、フロントとバックヤードを結びつけていく必要がある」
「また、顧客体験を実店舗とECでどこまで近づけるかが大事で、その役割はは店舗スタッフが担っているし、もっと言えば店舗スタッフの役割がOMOにならないといけない」(おわり)
――オムニ化やOMO戦略に不可欠な在庫や顧客情報などの一元化の進捗状況は。
「実店舗と自社ECの会員情報はだいぶ前に統合している。在庫もほぼ一元化できていて、ECに在庫がなければ店舗の在庫を引き当てたり、店頭に在庫がない場合はEC側の在庫を引き当てる取り組みを進めている」
――OMOの実現にはコストもかかる。
「自社ECの『ジャドールジュンオンライン』では5月にエンジンを『ショッピファイ』さんに載せ替えたが、その大きな理由がOMOの推進だ。『ショッピファイ』さんは、日本では簡単にECが構築できるサービスとして話題になることが多いが、海外では大企業も導入しているし、在庫管理だけでなく配送や決済まで管理するシステムを提供している。当社ではエンタープライズプランの『ショッピファイプラス』をもとに、『ショッピファイPOS』も使ってOMOを実現していく」
――海外のECプラットフォームを選んだ理由は。
「国内ECベンダーさんのエンジンを当社用にカスタマイズしていくと、従来の自社ECの建付けと同じで、新しい機能やサービスを追加するたびに開発の時間とコストがかかる。建屋を増やし続けるようなことは避けたかった。今回、『ショッピファイプラス』パートナーのウェブライフジャパンさんに尽力頂いて、従来のエンジンと連結させて作ってきた部分も短い期間でつないでもらった」
――「ショッピファイ」の利点は。
「『ショッピファイ』さんはユーザーの数も開発チームの人数も多く、世界中で新しい機能やソリューションが開発されていることは強みになる。まずは『ショッピファイプラス』の導入で支払い方法の多様化や、実売商品と予約商品の同時購入も可能になるが、新しい機能をどうキャッチアップしていくかが大事で、それが当社に合うかどうかをテストしながら実装できる」
――「ショッピファイPOS」の導入は。
「8月から一部テストを始め、2~3カ月をかけて開発を進めている。今年中には形にしたい」
――投資の考え方については。
「ロジスティクスやDX化の動きも含めて、会社のインフラとして必要な部分をいかにお客様の行動の変化に合わせて変えていくかが大事になるし、その変化のスピードも速いので、大規模なものを何年もかけて投資していくよりは、フットワークの軽い開発の仕方が必要になる」
「『ショッピファイ』と『ショッピファイPOS』を使ったOMOの仕組みは、アパレルに限らず日本のリテールにとって重要な仕組みになっていくと思う。『ショッピファイプラス』は小さく試すためのコアな部分がしっかりしている」
――2年後に計画するEC化率40%の世界では、実店舗とECの併用客が相当増えるイメージか。
「併用客が増えるだけでなく、実店舗にいながらECを使い、ECを見ながら実店舗も利用するといった本当の意味でのクロスユースになるだろう。国内のアパレル業界でそうした取り組みを実現している企業はまだ少ないが、海外の事例を含めて『ショッピファイ』さんの活用のされ方を見ているとクロスユースの部分が進んできているので、当社としても真っ先に対応できるようにしたい」
――OMOを進める上で商業施設との契約面や店舗販売員の評価制度はどうなるのか。
「スタッフの評価制度は進んでいて、実店舗とECの壁はだいぶなくなっている。課題はデベロッパーさんとの部分だ。お客様にとって本当に良いサービスを開発するには、当社とデベロッパーさんとが力を合わせていく必要がある。『ショッピファイPOS』の導入もデベロッパーさんと協議させて頂く良い機会になる。お客様にとって商業施設が不便で魅力のない場所にならないようにしたい」
――店舗の提供価値はどう変化するのか。
「ショールーミングストアのような取り組みが増えてきているが、当社は全国に店舗を持ち、駅上の立地にも店舗を構えているので、従来型のブランドの縛りでお客様に提供してきたサービスだけでなく、ブランドの縛りを取り払ってお客様に提供できるサービスなどもあり得る。立地や働くスタッフなども踏まえて各店舗が提供するサービスや機能を再設計していくことになるのではないか」
――店舗の機能として、購入者の自宅に近い店から商品を発送するような取り組みは。
「考え方としては大事で、お客様の自宅に一番近くて在庫のある店舗から商品を届けられれば一番早く届く。実現するための機能はあって、そこにオペレーションを結びつけ、サービス水準を高められるかがOMO戦略としては重要だ。日本の場合、海外と比べて物流網が優れていて商品が届くスピードも早い。お客様が何を望まれるのかを重視し、日本独自のOMOのあり方を探っていきたい」
――足もとで注力している部分は。
「『ショッピファイプラス』と『ショッピファイPOS』を導入することで実現できるサービスは見えているが、それをオペレーションの観点から実店舗とEC側でお客様に分かりやすく伝えることが大事だ。サービスを使ってもらえるよう、購入後の案内なども含めて工夫しながら、フロントとバックヤードを結びつけていく必要がある」
「また、顧客体験を実店舗とECでどこまで近づけるかが大事で、その役割はは店舗スタッフが担っているし、もっと言えば店舗スタッフの役割がOMOにならないといけない」(おわり)