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「360度サポートする環境整った」【館安博課長と中山健人課長に聞く スクロール360の物流支援の取り組みは】 新物流センターは自動化にも対応

2021年 3月25日 12:30

 スクロール子会社でソリューション事業を手がけるスクロール360では、コロナ禍でクライアントの出荷量が増大したことなどから、2021年3月期業績は好調に推移している。昨年5月には茨城県つくばみらい市に、関東圏初の物流センター「スクロールロジスティクスセンターみらい(SLCみらい)」を開業。「次世代CRM物流」構築に向けた取り組みも進めている。営業部の館安博営業第1課長(写真(左))とソリューション戦略部の中山健人ECコンサルティング課長に近況を聞いた。

 






 ――コロナ禍の1年を振り返って。

 館安博営業第1課長(以下、館)「クライアントは商材やビジネスモデルによって好不調があったが、ソリューション事業は全体的に好調だった。各社、広告費をネットに投下したので、ネット販売の出荷量が増大した。また、ネット販売に進出する企業が爆発的に増えたことから、当社への問い合わせ件数は過去最高となっている。ネット販売へシフトしたいという事業者からの問い合わせが多く、食品の卸業者やレストラン、スイーツ系の店舗などが突出していた」

 ――SLCみらいの現状は。

 館「今年度で数十社の案件が決まっており、来期中に満床になるように案件を推進している。BCP(事業継続計画)対策として、在庫を各地の物流センターに分散して置きたいというニーズも高くなっているので、浜松市・大阪市のセンターとあわせて、3拠点を有意義に使っていきたい」

 中山健人ECコンサルティング課長(以下、中山)「新センターにはマテハンなど、物流に関する機器を多数導入している。例えば、バリアブル印刷ができる高速プリンターを導入した。定期購入者の後払い用の払込票同梱や、顧客の購買状況やステイタスでクリエイティブを変えて印刷・同梱するなどに対応した。自動梱包機も入れた。当社はこれまであまり使ってこなかったが、定期購入で重要な『出荷時にできるおもてなし』部分は残しつつ、自動化できるところは自動化していく方針だ。また、物流センター見学がなかなかできなかったので、VRでの見学を取り入れた。見学へのニーズは非常に高いものの、コロナ禍で移動が制限された状況だったので、一定の効果はあったのではないか」

 ――コロナ禍で見えてきたネット販売企業の問題点は。

 中山「コロナ禍でネット販売事業者が業績好調な一方、実店舗はガタガタになっている。つまり、有店舗企業がどんどんネット販売に参入し、競争が激しくなるだろう。また、日本経済も徐々に不況となることが予想され、企業のネット販売事業者にとっては環境がどんどん厳しくなっていく。既存顧客にリピートしてもらうことの重要性が増しており、そのためにはCRMを強化しないといけない。そのために、当社としてもマーケティングオートメーション(MA)ツールやコンサルティングサービスを強化している。また、ネット販売企業はいままで以上に身軽にならないと時代や環境の変化に対応できない時代が来ている。コアな事業は自社でやりつつ、それ以外は受託事業者を活用すべきだ。当社は今期、ページ制作から商品出荷まで、通販企業を360度サポートできる環境を整えることができた。その会社にカスタマイズされた物流だけではなく、顧客対応やコールセンターサービスを提供できる」

 ――ネット販売企業が自社で行うべきコアな事業とは。

 中山「『顧客についてもっと知る』ことだ。これこそが物売りの本質だと思う。徹底的にやることでデータとして蓄積され、それをもとに商品開発や顧客コミュニケーションの最適化を進めることが重要になる」

 ――来期の見通しについては。

 館「中小規模のEC企業向けの物流パッケージサービスを用意しており、上期には提供を開始できるのではないか。コロナ禍での問い合わせは多かったものの、当社では受けられない案件も多く心苦しかったが、スタートアップの企業でも使いやすいようにしていきたい。消費者が商品を購入した会社のブランド意識するのは商品が届いたときだ。配送用の箱や同梱物など、顧客にブランドを意識させるための取り組みをさまざまな視点から実施しており、そこが競合とは違う点だと思う」
 
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