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【ゾゾが手がけるD2C事業とは?㊦】 参加者がSNSを積極活用 初日完売のブランドも

2021年 1月21日 07:30

 ZOZO(ゾゾ)は、センスのある個人と一緒にファッションブランドを作るD2C事業「ユアブランドプロジェクト・パワードバイ・ゾゾ」の出だしが好調だ。

 生産業務を自社で行うことで利益率を高められるのに加え、プロモーションでは参加するインフルエンサーが積極的に情報発信することで、大きな費用をかけることなく購入につながっている。

 「ユアブランドプロジェクト」の商品作りについては、基本的には各インフルエンサーの意見を聞いた上で、流行りのシルエットなど「ゾゾタウン」の売れ筋を踏まえた意見を顧客目線で伝えるなど、インフルエンサーの思いに加え、服好きなゾゾ社員の感覚とデータ、これまで培ってきたサプライチェーンのノウハウを投入して商品化した。

 D2Cブランドは昨年10月22日から順次始動。「ゾゾタウン」での販売から5分程度で在庫切れが相次ぎ、発売当日に全商品が完売したブランドもあった。プロジェクトの中で売り上げトップのブランドは、通常の新規ショップ開設後5日間の平均値と比べて売上高が6倍に、1品番当たりの売上高が200倍になった。

 出だし好調の背景としては、プロジェクト参加者(インフルエンサー)によるSNSでの積極的な情報拡散がある。合格者を発表した9月下旬からの約1カ月間、参加者は自身のSNSのストーリーズやライブ配信、イベントカレンダーの設定といった機能をフル活用してブランドコンセプトや商品の紹介を行った。

 発売開始前に全ラインアップを発信し、質問を受け付けて丁寧に答えることで、販売開始前に商品の不明点やサイズの不安を払拭したほか、当日の販売状況をリアルタイムでシェアするなど、参加者とフォロワーとのコミュニケーション強化が奏功した。

 プロジェクトリーダーの藤本真美さん(画像)によると、初速が良かったブランドの共通点は、「インフルエンサーがブランドに対して”自分事”として取り組んだこと」とする。

 今回、SNSのフォロワー数は数万人規模から、20~30万人までプロジェクト参加者の発信力に差はあったものの、インスタグラムのライブ配信など動画コンテンツを駆使し、継続的に配信することでフォロワー数が数万人の参加者でもしっかり売り上げにつながった。また、初日から完売アイテムが出たことは各インフルエンサーのモチベーションにつながったという。

 藤本さんも自身のブランド「nimiru(ニミル)」のアカウントを通じて販売開始の1週間前や前日にインスタライブを実施。藤本さんもプロジェクトの各参加者と同様に本業がある中でブランドを立ち上げているが、「頑張ればできるということを示したかった」とし、参加者にライブ配信を参考にしてもらったという。

 すでに、21年春夏シーズンに向けた商品企画を進めており、各D2Cブランドの展開型数は大きくは増やさず、1型当たりの販売数拡大に努める。

 ただ、将来的にはD2Cブランドの展開型数や販売数を爆発的に伸ばしたい意向で、「ゾゾタウン」の取扱高拡大に貢献することを目指す。また、利益率向上への寄与や、各インフルエンサーが抱えているフォロワーを「ゾゾタウン」の新規会員として獲得することなども重視する。

 足もとでは、20年秋冬シーズンにデビューしたD2Cブランドをしっかり育成しながら、新しいインフルエンサーの発掘も進めるほか、「成功パターンの再現率を高め、継続的に取り組んでいけるかが重要になる」(藤本さん)としている。

 なお、今回のD2Cブランドはジャンル、年齢層は幅広かったものの、アパレル業界のインフルエンサーや女性向けブランドが多かったことから、今後は男性向けのブランドや、異業種で活躍するインフルエンサーの参加にも期待している。(おわり)

 
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