三越の通信販売事業部は物流改善の取り組みを強化している。効率化を目的に物流業務全般を請け負う3PL事業者を初めて採用、今年7月に新物流センター(=写真)を稼動させた。新センターは従来と比べ、1日当たりの出荷件数が3,000―4,000個増とスピードアップした一方、利用する延べ床面積は縮小した。また、商品到着後の問い合わせを減らすため、明細書の項目を変更したほか、個人情報保護の観点から出荷直前まで配送伝票を印字しない工夫などを行っている。
三越通信販売事業部はこれまで自社で物流センターを賃借、人員管理などを行っていたが、旧センター(東京ベイ通販センター)の老朽化に伴い物流戦略の見直しに着手。3PL方式を導入し、物流専門会社センコーへの業務委託に切り替えた。「旧センターは十七年間、つぎはぎで拡張してきたためメンテナンスが難しく、再設計する必要があった」(森玲治事業企画部システムBPR担当課長)。
7月18日から稼動した新物流センターは「三越通販南海神センター(センコー船橋ファッションロジスティクスセンター)」(千葉県船橋市)。産地直送商品と、冷凍・冷蔵商品を除く全商品(アパレル、宝飾、食品、雑貨、寝具など)をここで在庫、出荷する。
新センターは4階建てで延床面積は約3万9,000平方メートル。三越は全フロアを利用するが、全面使用ではないため、実質的な利用延床面積は2万9,200平方メートルとなる。旧センターと比べスペースを8%(2,600平方メートル)減少させ、固定費の削減を図った。もっとも、三越が利用しない面積分についてもセンコーが一括で借り上げており、今後の事業規模拡大に伴い三越が全館を利用する計画だ。
1日の出荷能力は定時(朝9時―夕方6時)で、以前よりも3,000―4,000個増の1万8,000個に拡大した。また、平常時間外を併せた稼動で、新センターになって過去最高の1日3万個を出荷した。旧センターでは5フロア(1―5階)を利用していたが、例えば4階からダイレクトに出荷フロアである1階への導線が弱く、必ず3階や2階を経由しなければならなかった。そのため、2階でトラブルが起きた場合に、正常な3階や4階の作業も滞ってしまう問題があった。新センターではエレベーター4基と、3階と2階に張り巡らせているベルトコンベアーは、並列で1階まで到着するため、例え2階が停止しても3階、4階は影響を受けない仕組みとした。
また、格納する場所を固定しない「フリーロケーション」の採用により、1フロア当たりの効率化を図った。これらにより、14時出発の出荷トラックに間に合う数量が増え、配送リードタイムが短縮化できた。14時便は都内であれば同日の夕方に届く速さだ。
顧客サービスも向上させた。1つは明細書の充実。例えば4つの商品を注文した際、在庫があるのは3つで残り1つは別便となる場合も、明細書には4つの商品を明記。間に合わなかった商品名の隣に別便となる旨を明記し、「4つ注文したが3つしか届かない」という誤解を生まない工夫をしている。
2つ目は顧客の個人情報を保護するため、住所が印字される配送伝票は、出荷の直前、梱包作業の最終過程で印字するように変更した。従来はピッキング指示書を印刷する際、同一の紙に印字されていた。(次回以降の連載は本紙で)
三越通信販売事業部はこれまで自社で物流センターを賃借、人員管理などを行っていたが、旧センター(東京ベイ通販センター)の老朽化に伴い物流戦略の見直しに着手。3PL方式を導入し、物流専門会社センコーへの業務委託に切り替えた。「旧センターは十七年間、つぎはぎで拡張してきたためメンテナンスが難しく、再設計する必要があった」(森玲治事業企画部システムBPR担当課長)。
7月18日から稼動した新物流センターは「三越通販南海神センター(センコー船橋ファッションロジスティクスセンター)」(千葉県船橋市)。産地直送商品と、冷凍・冷蔵商品を除く全商品(アパレル、宝飾、食品、雑貨、寝具など)をここで在庫、出荷する。
新センターは4階建てで延床面積は約3万9,000平方メートル。三越は全フロアを利用するが、全面使用ではないため、実質的な利用延床面積は2万9,200平方メートルとなる。旧センターと比べスペースを8%(2,600平方メートル)減少させ、固定費の削減を図った。もっとも、三越が利用しない面積分についてもセンコーが一括で借り上げており、今後の事業規模拡大に伴い三越が全館を利用する計画だ。
1日の出荷能力は定時(朝9時―夕方6時)で、以前よりも3,000―4,000個増の1万8,000個に拡大した。また、平常時間外を併せた稼動で、新センターになって過去最高の1日3万個を出荷した。旧センターでは5フロア(1―5階)を利用していたが、例えば4階からダイレクトに出荷フロアである1階への導線が弱く、必ず3階や2階を経由しなければならなかった。そのため、2階でトラブルが起きた場合に、正常な3階や4階の作業も滞ってしまう問題があった。新センターではエレベーター4基と、3階と2階に張り巡らせているベルトコンベアーは、並列で1階まで到着するため、例え2階が停止しても3階、4階は影響を受けない仕組みとした。
また、格納する場所を固定しない「フリーロケーション」の採用により、1フロア当たりの効率化を図った。これらにより、14時出発の出荷トラックに間に合う数量が増え、配送リードタイムが短縮化できた。14時便は都内であれば同日の夕方に届く速さだ。
顧客サービスも向上させた。1つは明細書の充実。例えば4つの商品を注文した際、在庫があるのは3つで残り1つは別便となる場合も、明細書には4つの商品を明記。間に合わなかった商品名の隣に別便となる旨を明記し、「4つ注文したが3つしか届かない」という誤解を生まない工夫をしている。
2つ目は顧客の個人情報を保護するため、住所が印字される配送伝票は、出荷の直前、梱包作業の最終過程で印字するように変更した。従来はピッキング指示書を印刷する際、同一の紙に印字されていた。(次回以降の連載は本紙で)