寝具のネット販売などを手がけているエムールでは商品開発やマーケティングコストの振り分けにおいて、データマーケティングの活用を強化し続け、成果を出している。
前期(2020年6月期)の成果として大きかったのが商品開発のスピードと質が上がったこと。これにより、スリッパラックやスティッククリーナーラック、トイレットペーパーホルダー、ごみ箱など生活にまつわる収納関連用品まで商材の幅が広がったほか、寝具では枕やマットレスといったメイン商品の開発も強化できた。
背景にはデータ分析を根拠に動くようになったことがある。まずはマーケティングリサーチツールを使って開発商品を選定。これまでは自社で売れている商品ジャンルからMDを考えていたが、今は市場データを基盤にして、国内外の販売データを幅広く取ってから潮流を把握し整理。そこに自社の企画でアレンジを加えた商品企画を起こすようになったという。
結果的に、新規開発の商品数が大きく増えることとなったが、その一方で、廃盤も並行して行っている。売り場スペースに限りのないECの場合、在庫回転率が落ちたり商品鮮度が落ちたものであっても継続して取り扱ってしまうケースもあるが、そこに独自システムを設けて売り上げと在庫回転率などを見て改廃基準を精緻化するルールづくりを整備していったのだ。
データは商品別だけでなく、OEM先企業別での在庫回転率なども計測。同社の場合、自社で企画するオリジナル商品が95%以上で、比較的多くのOEM製造企業を仕入れ先として持っている。自社で企画したアイデアをOEM先が実際の形として作り上げる流れだが、企画のイメージを伝達して正確に具現化する作業はOEM先によって成果がまちまちで、先方の担当者個人の力量によっても大きく差が出る場合が多い。「企画や設計はこちらで行っているが、その情報を受け取る能力やそこからの担当者の動きのスピードなどは取引先によって大きく差が出る」(同社)と説明。
これまではOEM先の選定などは感覚値で行っていた部分も強かったが「相手が長年の付き合いだから、大手だからということで思い込みが出てしまうが、数字で見るとそれがきちんと見極められる。当たり前の話だが、可視化しないとだめだった」(同)と振り返る。
前期からは主には在庫回転率を大きな指標としてマッチするOEM先を見極めて、それをもとに作業を進めており、結果的に毎月のようにヒット商品をつくることができるようになったという。
今年に入ってからのヒット商品の事例として、これまで主力ジャンルとはしていなかった座椅子(
画像)がある。座椅子自体は新しいジャンルではないものの、同商品の場合は、ひじ掛けや足を伸ばせる機能、ソファーに近い色合いの採用など、同社独自企画を組み入れて、それを適正のあるOEM先が上手く具現化したことで、差別化商品としてヒットできたという面がある。
また、足用の枕も同様にヒットした。他社では2000~3000円台の相場で販売しているジャンルだったが、同社では8000円で販売。ブランド名も「至福の睡眠」としてプレミア感を演出し、あえて価格競争に入るのではなく、形状や使い方の多様性、実際の使い心地など、数値化できない部分から訴求することで高価格ながら多くの支持を得て、仮想モールのジャンル別ランキングでもトップを継続することができた。「まずは市場データを見て調子が良いカテゴリーを把握し、そこにエムールの発想を入れて、そしてどこと組んでやるか。この3つをうまく組み合わせれば高確率でヒットが生まれる」(同)とした。
OEM先選びについては、国内外を問わず展示会などを視察し、常に新規開拓を図っている。他社と比べて取引先は多く、新規企業の割合も高いようだ。
なお、データ活用は広告費運用の管理でも徹底するようになっている。例えば各仮想モールでの広告出稿に関して、独自の管理ツールで費用対効果の指標を見て、予算の使い過ぎなどを把握する仕組みを前期から設けていった。「費用項目も細分化した。広告費を絞るのではなく、安定化させることが目的で、今は基準値を超えないようにすることができている」(同)とした。
前期(2020年6月期)の成果として大きかったのが商品開発のスピードと質が上がったこと。これにより、スリッパラックやスティッククリーナーラック、トイレットペーパーホルダー、ごみ箱など生活にまつわる収納関連用品まで商材の幅が広がったほか、寝具では枕やマットレスといったメイン商品の開発も強化できた。
背景にはデータ分析を根拠に動くようになったことがある。まずはマーケティングリサーチツールを使って開発商品を選定。これまでは自社で売れている商品ジャンルからMDを考えていたが、今は市場データを基盤にして、国内外の販売データを幅広く取ってから潮流を把握し整理。そこに自社の企画でアレンジを加えた商品企画を起こすようになったという。
結果的に、新規開発の商品数が大きく増えることとなったが、その一方で、廃盤も並行して行っている。売り場スペースに限りのないECの場合、在庫回転率が落ちたり商品鮮度が落ちたものであっても継続して取り扱ってしまうケースもあるが、そこに独自システムを設けて売り上げと在庫回転率などを見て改廃基準を精緻化するルールづくりを整備していったのだ。
データは商品別だけでなく、OEM先企業別での在庫回転率なども計測。同社の場合、自社で企画するオリジナル商品が95%以上で、比較的多くのOEM製造企業を仕入れ先として持っている。自社で企画したアイデアをOEM先が実際の形として作り上げる流れだが、企画のイメージを伝達して正確に具現化する作業はOEM先によって成果がまちまちで、先方の担当者個人の力量によっても大きく差が出る場合が多い。「企画や設計はこちらで行っているが、その情報を受け取る能力やそこからの担当者の動きのスピードなどは取引先によって大きく差が出る」(同社)と説明。
これまではOEM先の選定などは感覚値で行っていた部分も強かったが「相手が長年の付き合いだから、大手だからということで思い込みが出てしまうが、数字で見るとそれがきちんと見極められる。当たり前の話だが、可視化しないとだめだった」(同)と振り返る。
前期からは主には在庫回転率を大きな指標としてマッチするOEM先を見極めて、それをもとに作業を進めており、結果的に毎月のようにヒット商品をつくることができるようになったという。
今年に入ってからのヒット商品の事例として、これまで主力ジャンルとはしていなかった座椅子(画像)がある。座椅子自体は新しいジャンルではないものの、同商品の場合は、ひじ掛けや足を伸ばせる機能、ソファーに近い色合いの採用など、同社独自企画を組み入れて、それを適正のあるOEM先が上手く具現化したことで、差別化商品としてヒットできたという面がある。
また、足用の枕も同様にヒットした。他社では2000~3000円台の相場で販売しているジャンルだったが、同社では8000円で販売。ブランド名も「至福の睡眠」としてプレミア感を演出し、あえて価格競争に入るのではなく、形状や使い方の多様性、実際の使い心地など、数値化できない部分から訴求することで高価格ながら多くの支持を得て、仮想モールのジャンル別ランキングでもトップを継続することができた。「まずは市場データを見て調子が良いカテゴリーを把握し、そこにエムールの発想を入れて、そしてどこと組んでやるか。この3つをうまく組み合わせれば高確率でヒットが生まれる」(同)とした。
OEM先選びについては、国内外を問わず展示会などを視察し、常に新規開拓を図っている。他社と比べて取引先は多く、新規企業の割合も高いようだ。
なお、データ活用は広告費運用の管理でも徹底するようになっている。例えば各仮想モールでの広告出稿に関して、独自の管理ツールで費用対効果の指標を見て、予算の使い過ぎなどを把握する仕組みを前期から設けていった。「費用項目も細分化した。広告費を絞るのではなく、安定化させることが目的で、今は基準値を超えないようにすることができている」(同)とした。