楽天 「日本のEC化率」20%へ、三木谷社長が講演、オンラインで店舗向けイベント
2020年 9月 3日 14:00
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コロナ禍でネット販売へのシフトが進んでいる。三木谷社長は「EC化のスピードは、20%ほどリフトアップされたのではないか。楽天市場の流通総額は約3兆円だが、これが5兆円になり7兆円になり、10兆円になるという時代が現実化した。店舗の流通額も今の3倍、5倍、10倍になる可能性が高い。皆さんと一緒に頑張りたい」と店舗に呼びかけた。
楽天市場の4~6月におけるショッピングEコマース(楽天市場と日用品、衣料品、書籍、ネットスーパーなど同社直販事業のほか、フリマアプリなど)の流通総額は、同48・1%増となっており、7、8月も好調に推移している。新規購入者と復活購入者の増加が好調の要因だ。「日本の家計消費におけるEC化率は6・76%で中国やヨーロッパに比べるとまだまだ低い。コロナ禍を受けて、EC化率20%まで突っ走るのではないか」。
ただ、EC化率20%の達成に向けては課題もある。その1つが物流だ。同社では近年の「宅配クライシス」を受け、自前の物流網の構築を始めた。今年6月には千葉県習志野市で物流拠点が稼働を開始したほか、来年上期には神奈川県大和市で稼働を予定しており、計6カ所となる予定だ。
同社が出店者の物流業務を請け負うサービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」利用店舗は高い売上成長率になっているという。70%以上の商品をRSLから出荷する店舗の4~6月における平均月次流通総額の前年同期比は、全店舗の同じ数字に比べて35・9ポイント高くなっている。年末にも予定配達時間のお知らせ機能を導入するほか、RSLを利用する複数店舗の商品を1回の配送で届ける「まとめて配送」を導入する予定だ。
3月に導入した送料無料となる購入額を税込み3980円で統一する「送料無料ライン」は、80%以上の店舗が導入しており、導入店舗の4~6月流通総額における前年同期比は、未導入店舗の同じ数字に比べて、約20ポイント高い。同社調査では「送料が分かりやすくなった」「楽天市場での買い物がお得になると思った」などといった声が目立つという。三木谷社長は「全店舗への導入が実現できれば、もっと伸び率は高くなるはずだ。『楽天市場は4000円以上買えば送料無料になる』という共通認識がユーザーに広がれば、皆さんの流通総額はもっと上がる」と述べ、未導入店舗に施策への参加を促した。
◇
同社にとって今年の大きなトピックスとなるのは、4月から本格展開を開始した携帯キャリア事業「楽天モバイル」だ。ユーザー数は100万人を突破した。
三木谷浩史社長は「将来的には1500万人、2000万人、2500万人という人たちが楽天モバイルを使い、楽天市場でのショッピングをするということが実現できると思う」と自信を示した。
同社によれば、7月末までの楽天モバイル(キャリアサービス)契約者のうち、7月に楽天市場で買い物をした割合は47%。また、MM総研のアンケート調査によれば、楽天モバイルユーザーのうち「楽天スーパーポイント」を利用しているのは74・5%、楽天市場を利用しているのは62・9%となっており、他キャリアよりもクロスユースが進んでいるという。
楽天モバイルでは、無料通話ができるコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を提供している。アプリ下部には「ウォレット」ボタンがあり、スマートフォン決済「楽天ペイ」などが起動できるようになっている。三木谷社長は「今後はRakuten Linkと楽天グループのサービスが融合していく。将来的には2000万人以上の楽天モバイルユーザーがRakuten Linkを使い、コミュニケーションの中にうまく融合した形でさまざまなサービス、とりわけショッピングが紹介されるようになるだろう」と構想を語った。