「マウジー」や「スライ」などレディース衣料を中心に展開するバロックジャパンリミテッドは、今期からスタートした5カ年の中期経営計画で掲げるニューリテール構想の実現に向け、実店舗との連携を深めたEC事業の強化などに乗り出す。
外部ECモールは自社でデータを蓄積できないことから、同社では比較的に早い時期から自社ブランドを幅広く扱うモール型の自社通販サイト「シェルターウェブストア」(
画像)の強化に舵を切っており、今上期(2019年3~8月)のEC売り上げ約36億円に占める自社ECの割合は約6割、外部モール経由は約4割と、有力アパレルの中では自社ECの構成比が高いのが特徴だ。
この2年間は、アウトレット商材を扱う「シェルターウェブストア アウトレット」を開設したほか、EC専用ブランドの開発や「アズールバイマウジー」「ブラックバイマウジー」などで単独ブランドの通販サイト新設も進めてきた。
ただ、今上期の自社ECは、前年は歌手の安室奈美恵さんの引退コンサートに合わせて昔のミュージックビデオで着用していた「スライ」のコート、通称ベビドンコートがヒットしたが、今期は安室特需を補うヒット商品が開発できなかった。また、MD戦略の部分で実店舗の苦戦が自社ECにも響き、今上期の自社ECは前年同期比で3%の減収となった。
外部ECモールについては昨年9月頃に販売方針を変更した。それまでは一部ブランドで在庫消化を目的に安売りをするケースもあったが、「ゾゾタウン」での販売スタンスをクーポンやタイムセールなどに頼らない”自然体”に変えたことで、客単価は大幅に上昇したものの、購入客数が減り、この1年間は外部ECモール経由の売り上げは低空飛行で推移。今上期は前年同期比11%減となり、国内EC売り上げ全体でも同6・6%減と苦戦し、EC化率も同0・5ポイント低下して12・7%だった。
こうした状況を受け、バロックジャパンではECチャネルの安定成長に向けて外部モールの活用法を再構築する考え。割引販売を控えていた「ゾゾタウン」での販売手法を改めて販売力を再び高めるのに加え、「ゾゾタウン」以外のモールも積極活用する。
その際、外部モールとは商品マスターと在庫を連携させることで新規出店したり、既存の出店モールでも展開品番の拡充につなげる。今年9月には「マルイウェブチャネル」に新規出店したほか、「109公式通販」や「ファッションウォーカー」「マガシーク」などでの展開品番を充実させた。11月には「アイルミネ」とも在庫連携している。
一方、自社ECは従来以上にリアル店舗との連携を強化し、プロパー品を軸に販売する場にしていく。キーとなるのが約2年前にスタートした、自社ECと実店舗で共通利用できる会員証アプリ「シェルターパス」だ。
アプリの会員数は約120万人と順調に拡大しており、アプリで会員の属性を把握した上で自社ECのマーケティングに活用するとともに、実店舗も含めたオムニチャネル戦略にも生かしたい意向だ。
実店舗との連動面では、今上期に店頭とECの在庫一元化に着手し、フリー在庫を自社ECでも活用できるようにした。加えて、実店舗に在庫がない場合にEC在庫を引き当てて店頭で決済し、購入者の自宅に届けるサービスを「マウジー」と「スライ」の一部店舗でテスト運用を始めた。
同サービスはシェルターパス会員が対象で、来店客の欲しい商品が欠品している際に店頭のタブレット端末で案内する。売り上げは実店舗に計上されるため、販売スタッフが積極的に活用できるほか、商業施設側の理解も得やすい。現状、運用面や投資効果を検証中だが、店頭の機会ロス軽減につながっていることから、同サービスは全店に広げる計画という。(
つづく)
外部ECモールは自社でデータを蓄積できないことから、同社では比較的に早い時期から自社ブランドを幅広く扱うモール型の自社通販サイト「シェルターウェブストア」(画像)の強化に舵を切っており、今上期(2019年3~8月)のEC売り上げ約36億円に占める自社ECの割合は約6割、外部モール経由は約4割と、有力アパレルの中では自社ECの構成比が高いのが特徴だ。
この2年間は、アウトレット商材を扱う「シェルターウェブストア アウトレット」を開設したほか、EC専用ブランドの開発や「アズールバイマウジー」「ブラックバイマウジー」などで単独ブランドの通販サイト新設も進めてきた。
ただ、今上期の自社ECは、前年は歌手の安室奈美恵さんの引退コンサートに合わせて昔のミュージックビデオで着用していた「スライ」のコート、通称ベビドンコートがヒットしたが、今期は安室特需を補うヒット商品が開発できなかった。また、MD戦略の部分で実店舗の苦戦が自社ECにも響き、今上期の自社ECは前年同期比で3%の減収となった。
外部ECモールについては昨年9月頃に販売方針を変更した。それまでは一部ブランドで在庫消化を目的に安売りをするケースもあったが、「ゾゾタウン」での販売スタンスをクーポンやタイムセールなどに頼らない”自然体”に変えたことで、客単価は大幅に上昇したものの、購入客数が減り、この1年間は外部ECモール経由の売り上げは低空飛行で推移。今上期は前年同期比11%減となり、国内EC売り上げ全体でも同6・6%減と苦戦し、EC化率も同0・5ポイント低下して12・7%だった。
こうした状況を受け、バロックジャパンではECチャネルの安定成長に向けて外部モールの活用法を再構築する考え。割引販売を控えていた「ゾゾタウン」での販売手法を改めて販売力を再び高めるのに加え、「ゾゾタウン」以外のモールも積極活用する。
その際、外部モールとは商品マスターと在庫を連携させることで新規出店したり、既存の出店モールでも展開品番の拡充につなげる。今年9月には「マルイウェブチャネル」に新規出店したほか、「109公式通販」や「ファッションウォーカー」「マガシーク」などでの展開品番を充実させた。11月には「アイルミネ」とも在庫連携している。
一方、自社ECは従来以上にリアル店舗との連携を強化し、プロパー品を軸に販売する場にしていく。キーとなるのが約2年前にスタートした、自社ECと実店舗で共通利用できる会員証アプリ「シェルターパス」だ。
アプリの会員数は約120万人と順調に拡大しており、アプリで会員の属性を把握した上で自社ECのマーケティングに活用するとともに、実店舗も含めたオムニチャネル戦略にも生かしたい意向だ。
実店舗との連動面では、今上期に店頭とECの在庫一元化に着手し、フリー在庫を自社ECでも活用できるようにした。加えて、実店舗に在庫がない場合にEC在庫を引き当てて店頭で決済し、購入者の自宅に届けるサービスを「マウジー」と「スライ」の一部店舗でテスト運用を始めた。
同サービスはシェルターパス会員が対象で、来店客の欲しい商品が欠品している際に店頭のタブレット端末で案内する。売り上げは実店舗に計上されるため、販売スタッフが積極的に活用できるほか、商業施設側の理解も得やすい。現状、運用面や投資効果を検証中だが、店頭の機会ロス軽減につながっていることから、同サービスは全店に広げる計画という。(つづく)