総合アパレル企業のパルは、オムニチャネル施策を強化するほか、ECチャネルならではの品ぞろえの充実化を図る考え。
オムニチャネル化に向けては、昨年6月に自社通販サイト「パルクローゼット」とリアル店舗の在庫情報を一元化。自社ECで実店舗の在庫情報を確認できるようにし、実店舗にも来店しやすい仕組みを構築した。
昨年秋には「パルクローゼット」アプリにメンバーズ機能を追加。アプリ内でメンバー用のバーコードを表示して店頭でポイントの付与と使用ができるようにしたほか、ポイントを自社ECと共通化した。
今年4月にはおしゃれ雑貨を扱う主力ブランド「スリーコインズ」をアプリの対象に追加した。同ブランドはEC展開を行っていないが、店舗数、ユーザー数が多く、グループのアパレルブランドを利用して貯めたポイントも使いやすくなる。また、同社としてはアプリ会員の裾野拡大を期待しており、実際にアプリユーザーは増えているようだ。今年2月時点でアプリのダウンロード件数は約100万人だが、1年後には500万人を目標とする。
同社は今期(2020年2月期)、EC売上高は前年比約50億円増となる200億円を見込んでおり、そのうち外部ECモール経由は14%成長の140億円、自社ECは倍増の60億円を計画。自社EC比率を30%まで高めたい考えだ。
自社ECについてはオーガニック成長で1・5倍近くは可能と見ているが、倍増に向けてさらに伸ばすには新しい取り組みが不可欠とする。とくに店頭顧客に自社ECも使ってもらうことを重視。今後は実店舗とECの購入データに加え、アプリ内およびECの行動データを一元管理し、ビッグデータ化してマーケティングに生かしていく。
MD面では、SKU数の制限がないECの強みを生かし、「ECチャネルで幅を出せる商品群はどんどん開発していきたい」(堀田覚プロモーション推進部部長兼コミュニケーションデザイン室室長兼WEB事業推進室室長=
顔写真)としており、EC限定商品の開発やECでの先行予約アイテムなどの取り組みも重視する。また、今後のリアル店舗はこれまで以上に新しい商品、体験を提供する場所にしていく必要があるため、一定のニーズがあっても店頭には置けなくなったアイテムなどはECチャネルで販売。店頭の鮮度を保つための受け皿の役割も持たせてEC送客にもつなげる。
パルでは前期のEC売上高が150億円を超えたこともあり、「MDとしてのプラスの積み上げをしないと販売手法だけでは限界が出てくる」(同)とする。
一方、外部ECモールの活用については前期でEC売上高の7割弱を占める「ゾゾタウン」を引き続きメインの売り場として展開する。同モールは商品を探したり、知ったりするファッションメディアとしても利用されていることから、「ゾゾタウン」内でグループのブランドを知ってもらったり、商品を試してもらうことは「ブランド体験の始まりとして必要」(堀田部長)という。
今後、パルではゾゾが新サービスとして打ち出したマルチサイズプラットフォーム(MSP)事業と中国再進出で協業する計画だ。アパレル企業が企画した商品を20~50サイズで展開するMSP事業では、マルチサイズの商品を実店舗や自社ECでは販売しにくいため、「ゾゾタウン」向けの商品として同モールの顧客層に合わせたアイテムを企画していくことになりそうだ。(
おわり)
オムニチャネル化に向けては、昨年6月に自社通販サイト「パルクローゼット」とリアル店舗の在庫情報を一元化。自社ECで実店舗の在庫情報を確認できるようにし、実店舗にも来店しやすい仕組みを構築した。
昨年秋には「パルクローゼット」アプリにメンバーズ機能を追加。アプリ内でメンバー用のバーコードを表示して店頭でポイントの付与と使用ができるようにしたほか、ポイントを自社ECと共通化した。
今年4月にはおしゃれ雑貨を扱う主力ブランド「スリーコインズ」をアプリの対象に追加した。同ブランドはEC展開を行っていないが、店舗数、ユーザー数が多く、グループのアパレルブランドを利用して貯めたポイントも使いやすくなる。また、同社としてはアプリ会員の裾野拡大を期待しており、実際にアプリユーザーは増えているようだ。今年2月時点でアプリのダウンロード件数は約100万人だが、1年後には500万人を目標とする。
同社は今期(2020年2月期)、EC売上高は前年比約50億円増となる200億円を見込んでおり、そのうち外部ECモール経由は14%成長の140億円、自社ECは倍増の60億円を計画。自社EC比率を30%まで高めたい考えだ。
自社ECについてはオーガニック成長で1・5倍近くは可能と見ているが、倍増に向けてさらに伸ばすには新しい取り組みが不可欠とする。とくに店頭顧客に自社ECも使ってもらうことを重視。今後は実店舗とECの購入データに加え、アプリ内およびECの行動データを一元管理し、ビッグデータ化してマーケティングに生かしていく。
MD面では、SKU数の制限がないECの強みを生かし、「ECチャネルで幅を出せる商品群はどんどん開発していきたい」(堀田覚プロモーション推進部部長兼コミュニケーションデザイン室室長兼WEB事業推進室室長=顔写真)としており、EC限定商品の開発やECでの先行予約アイテムなどの取り組みも重視する。また、今後のリアル店舗はこれまで以上に新しい商品、体験を提供する場所にしていく必要があるため、一定のニーズがあっても店頭には置けなくなったアイテムなどはECチャネルで販売。店頭の鮮度を保つための受け皿の役割も持たせてEC送客にもつなげる。
パルでは前期のEC売上高が150億円を超えたこともあり、「MDとしてのプラスの積み上げをしないと販売手法だけでは限界が出てくる」(同)とする。
一方、外部ECモールの活用については前期でEC売上高の7割弱を占める「ゾゾタウン」を引き続きメインの売り場として展開する。同モールは商品を探したり、知ったりするファッションメディアとしても利用されていることから、「ゾゾタウン」内でグループのブランドを知ってもらったり、商品を試してもらうことは「ブランド体験の始まりとして必要」(堀田部長)という。
今後、パルではゾゾが新サービスとして打ち出したマルチサイズプラットフォーム(MSP)事業と中国再進出で協業する計画だ。アパレル企業が企画した商品を20~50サイズで展開するMSP事業では、マルチサイズの商品を実店舗や自社ECでは販売しにくいため、「ゾゾタウン」向けの商品として同モールの顧客層に合わせたアイテムを企画していくことになりそうだ。(おわり)