薬機法の課徴金導入 「未承認薬」に照準、健食・機能性食品も対象に
2018年12月25日 13:10
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12月14日に行われた「医薬品医療機器制度部会」では、薬機法改正に向けた取りまとめ案を議論。「課徴金」の導入に反対意見はなかった。今後、制度の詳細を詰め、政府は来年の通常国会に改正案を提出する。
「課徴金」の導入は、違法行為で得た経済的利得への対応を念頭に置いたもの。「ディオバン事件」など、製薬業界で相次いだ臨床試験データの改ざん問題が背景にある。
対象として想定するのは、医薬品等の「虚偽・誇大広告」(66条)、「未承認医薬品の広告の禁止」(68条)。これら違反と合わせて行われる「未承認医薬品等の販売、授与等の禁止」(14条1項、9項、55条2項)だ。
ただ、取りまとめ案では、むしろ「未承認医薬品」への問題意識が強く表れている。医薬品販売の業許可を持たない事業者によって行われるなど、現行法による行政処分の抑止効果が機能しにくいためだ。
課徴金額の算定は、違反行為の対象になった製品の売り上げだくに一定の算定率を乗じる方式を採用する。ただ、「未承認医薬品」は、より高額になる可能性がある。広告表現の違反(医薬品的効能効果の標ぼう)であれば、対象期間は「表示期間」になるとみられるが、医薬品成分を含むことから違法認定を受けた場合、「販売期間すべて」が対象になる可能性がある。
制度には、除外規定も設ける。ほかの行政処分が機能している場合、課徴金を命じないというものだ。ただ、これも業許可を持つ事業者を想定したもの。薬機法に基づき、より重い業務停止命令、業務改善命令などの行政処分が行えるためだ。ただ、「未承認医薬品」はこうした除外規定が設けられる可能性は少ない。
また、課徴金を命じる権限は国と都道府県に付与する。ただ、自治体間の取締りのばらつきを招く可能性もある。
これまで薬機法に基づく「指導」は、基本的に国が行わず、自治体が行っていた。広告表現の違法認定では、判断にばらつきが生じる可能性がある。徴収した課徴金は、他法令の制度では国庫に納めるのが通例。ただ、地方が課徴金額の算定を行うとなると負担も増すことになる。