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【楽天市場・チャット機能の現状㊦】 店舗向け動画で“使い方”指南、チャットボットで省力化も

2018年12月 6日 13:15

 楽天が11月28日に導入したチャットボットは、主に購入後にユーザーが疑問に思う点について、自動で応答するものだ。ユーザーは、購入履歴にある「ショップへの問い合わせ」を押すと、チャットボットの画面に遷移する。現在はパソコンとスマートフォンに対応しており、いずれはアプリからもチャットボットを使えるようにする予定だ。

 「返品ポリシー」と「営業時間」に関しては、該当する店舗ページから読み込んで表示する。また、新決済プラットフォーム「楽天ペイ(楽天市場決済)」に対応している店舗については、良くある質問に関して、楽天が用意したボットを通じて回答。答えられなかった質問については、同社のオペレーターがチャットで対応する。

 「購入後の問い合わせはできれば省力化したい部分だと思うので、ボットを用意した。決済に関するボットは10月末に楽天市場のサービスとして始めたばかりだが、問い合わせ量をかなり減らすことに貢献している」(担当のコマースカンパニーオペレーション&マーケティング統括部クライアントコミュニケーション部の西郷佐知子シニアマネージャー)。

 今後は、店舗が用意した良くある質問(FAQ)を自動で読み込み、ボットが答えられるようにする。西郷シニアマネージャーは「チャットで頻出する問い合わせが分かってきたら、その質問をひな形として全店舗向けに用意し、ボットが答える内容については、自分の店舗にあわせて変えられるようにしたい」と話す。

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 成果を出し始めているチャットサービスだが、課題もある。まずは「画像が使えないこと」だ。トライアル段階では画像添付を可能にしており、例えば、ユーザーからは部屋の画像を添えて「合いそうな色の壁紙を教えてください」などといった質問があり、画像がある会話の方が転換率は高かったという。

 また、担当者がパソコンの前にいない場合など、チャットが発生してもすぐに対応できない場合がある。すぐ気づけるよう、通知音の変更を予定している。「現在はパソコンからしか対応できないが、いずれは担当者のスマートフォンにチャット開始を通知し、そのまま応答ができるようにしたい」(西郷シニアマネージャー)。

 さらに、会話中のユーザーの特定はできない仕組みとなっているが、将来的には可能にする。楽天IDと紐付ければ、質問への素早い対応がしやすくなるだけではなく、例えばリピーターへのサービスなども可能になるからだ。ただ、ユーザー側で会員情報を知らせるか、ゲストでチャットに参加するかを選べるようにする予定だ。

 チャットは年内無料で利用できるが、来年1月以降はスタンダードプランが月額5000円(100会話以上は1会話につき10円)、がんばれ!プランとエンパワーメントプランは同3000円(同)を徴収する。全店舗から利用料を徴収することに関して、一部店舗からは「利用しない店舗からもなぜ料金を取るのか」「全店舗に利用して欲しいのであれば、無料にするべきではないのか」といった声も挙がっているという。

 これに対し、西郷シニアマネージャーは「『(チャットを)やりたい店舗だけやる』ということでは、サービスがモール全体の魅力にならない。(店舗には)できるだけ前向きにサービスを捉えていただければ」と話す。さらに「無料では駄目なのか」という意見については「チャットはグループ会社のものを使っているが、開発費用は必要だし、今後は楽天IDとの連携など拡充するための費用も必要になる。また、有料の方がサービスを利用する動機づけになると考えている」とする。

 とはいえ、「人数が足りずにチャット対応ができない」という小規模店の悩みは切実だけに、楽天からのサポートは必要だ。同社では、ネットから店舗が動画で学べる講座「RUx」で、有効な使い方や少人数でも対応できる工夫などを紹介していく。

 「利用している店舗からは『(チャットは)利益を生むコールセンター』という声も出ている」という西郷シニアマネージャー。「今でも当たり前のメールマガジンも、昔は『こんな面倒なことはできない』という声も強かったが、『売れる』と分かった途端に皆が使い始めた。チャットの効果は実証されているので、早めに対応すれば他店と差がつけられるのではないか」と説く。

 将来的には、有人チャットとチャットボット、さらにはユーザーからの問い合わせフォームという3つのツールを統合する形で、ユーザーと店舗がコミュニケーションできる形を目指す。西郷シニアマネージャーは「オンラインとオフラインの垣根をなくし、コミュニケーションアプリなどを通じてやり取りできるようにしたい」と意欲的に語る。(おわり)


 
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